小3 国語科「引用するとき」全時間の板書&指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小3 国語科 「引用するとき」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小三 国語科 教材名:引用するとき(光村図書・国語 三上)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都練馬区立大泉学園小学校校長・加賀田真理
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都練馬区立大泉学園小学校・内川 航

1. 単元で身に付けたい資質・能力

この単元では、「引用」という言葉を知るとともに、引用のしかたや出典の示し方を理解し、使うことができる力を身に付けます。
具体的には「書き写した箇所にかぎ(「 」)をつけたり、本文よりも少し下げたりする」ことや「元の文章をそのまま抜き出す」「何から引用したのか(出典)を示す」などの決まりを定着させていく必要があります。

「引用」は、3年生から始まる社会科や総合的な学習の時間などで、調べ学習をする際に重要な技能となります。また、次の単元「仕事のくふう、見つけたよ」では書くことの学習が設定されています。
本単元で身に付けた資質・能力を、次の単元等で生かせるようにしていくことをねらいます。

2. 単元の評価規準

評価規準

3. 言語活動とその特徴

3年生の児童にとって「引用」という言葉や活動は、これまでの身近な日常生活の中で接した経験が少ないかも知れません。
しかし、将来的には、自分自身の考えを形成する過程や、自ら情報の発信を行う場合にも重要な役割を果たす大切な学習となります。正しく引用する態度は、常に出典を意識することでデマやフェイクニュース等の偽情報に惑わされずに、自分自身を守ることにつながっていきます。

そこで、本単元では「引用」の決まりをしっかりと押さえた上で、これまでに学習した教材である「こまを楽しむ」からお気に入りのこまについて紹介するという言語活動を設定し、引用の決まりや出典の示し方を活用することに取り組んでいきます。

既に学習した「こまを楽しむ」の文章であれば、実際に引用した部分の確認を、教科書を用いて児童同士で行うことができます。具体的には、引用箇所は「 」でくくられているか、引用箇所の誤字脱字はないか、出典は示されているかなどをお互いに点検することができます。

本単元は、引用について知り、引用した文章の書き方を身に付けることを目標としています。児童が意欲的に取り組めるように、「こまを楽しむ」以外であれば、子供が興味をもっている文章を選択したりすることも考えられます。

言語活動後には、あえて正しく引用できていない箇所を設けて「引用クイズ」を作成させます。
間違い探しをする感覚で、正しい引用の仕方を定着させることができます。また、自分が文章を書く際に、見直すポイントを理解することにもつながります。

「引用」の決まりとして、教科書には3点記載されています。

① かぎ(「 」)をつけたり、本文よりも少し下げたりして、分かるようにする。
② 元の文章を、そのままぬき出す。
③ 何から引用したのかをしめす。

①は、二つの方法が記載されているので、まずは、どちらかに学級で統一して指導していくと良いです。(本単元では、(「 」)で統一して行っています。)

また、②については、「そのまま」とはどういうことか丁寧に指導していきます。ひらがな、カタカナ、漢字の表記や句読点など、本に書いてある通りでなければいけないことを押さえていきます。

また、本から引用するだけではなく、人から聞いたことを引用する場合もあります。
本単元では取り上げていませんが、引用する経験をより多く積むために、予め設定したテーマをお家の人にインタビューして報告する文章を書くという言語活動も考えられます。児童の実態に応じて、取り入れてみると良いでしょう。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉「引用」の必要感を高める。

教科書の冒頭部分に示されている漫画には、引用する際の必要事項を書いていなかったために困ってしまった例が描かれています。そこで、「みなさんも同じような経験をしたことがありますか」と呼びかけることで引用の仕方について必要感をもって学習に入れるようにします。

また、1人1台端末が配布されていることもあり、情報モラルをよく学習している場合が考えられます。すると実態によっては、既に著作権という言葉についても知っている児童がいることも予想されます。引用の決まりを守らないと、自分も引用先の文章を書いた人も困らせてしまうことを理解した上で取り組めると、より学習の必要感をもつことができるでしょう。

〈対話的な学び〉「こまを楽しむ」を引用して、紹介し合う。

「こまを楽しむ」の文章を引用しながら、お気に入りのこまについて紹介するという言語活動を行います。書き終わった文章で、お気に入りのこまを友達と紹介しあい、正しく引用することができているかについても確認し合います。
複数の友達と読み合い、教科書p90に示されている引用の決まりに即して確認させることで、引用の仕方を繰り返し確認させ、引用の仕方の定着を図ります。
また、間違い等に気付いた場合は、友達に教えてもらい、直していくことで協働的に学びを進めていくことができます。

〈深い学び〉「引用クイズ」を楽しみ、活用につなげる。

紹介する文章を書くときに用いた「こまを楽しむ」の文章を使って、1箇所正しく引用できていない文章を「引用の仕方の間違い探しクイズ」(以下「引用クイズ」とします。)のモデルとして教師が作成し、児童に提示します。

「引用クイズ」の作り方を確認したら、各自、1人1台端末を利用して作成していきます。端末を使用することで、クイズを学級全体で共有することができます。

クイズは、そのクイズを作成した児童が一人ずつ発表し、クラス全体で回答していきます。児童は多くの友達のクイズを解くことで、楽しみながら正しい引用の仕方について学ぶことができます。

引用の仕方について、楽しみながら習熟することで、今後の国語や他教科での学習で引用する際に、活用することができるようしていきます。
また、児童の身の回りの引用の使われ方に目を向け、様々な引用の仕方を身に付けようとする態度を育てていきます。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)「引用クイズ」を作成し、クラス全体で共有する。

「こまを楽しむ」を引用して作成した、お気に入りのこまについての文章を1人1台端末で撮影し、ムーブノートなどの協働学習支援ソフトを使って学級全体で共有します。

端末を使用することで、正解の文章と間違っている文章を画面上で見比べることができるため、答え合わせもスムーズに行うことができます。

従来のようにワークシートで行う場合、正しい文章と間違った文章の二つを用意することになり、書くことが苦手な子供に対してはかなり負担を強いることとなりますが、前時に友達と確認し合って作ることができた正しい文章を撮影し、その後、間違いを作る箇所だけ修正した上で撮影すれば、作業を簡潔にすることができます。

今回は、児童一人一人がクラス全体に向けてクイズを出す想定ですが、気に入った問題を個々に出し合うことも考えられます。

6. 単元の展開(3時間扱い)

 単元名: 引用するとき

【主な学習活動】
・第一次(1時2時3時
〈 第1時 〉
〇 引用の仕方を知る。
・モデル文を用いて、本から写した(引用した)部分について考える。
・教科書冒頭の漫画から、正しく引用しないと困ることを捉える。
・「引用」の言葉を捉える。(教科書p160)
・「引用の仕方」を確認する。
  ① かぎ(「 」)をつけて分かるようにする。
  ② 元の文章を、そのまま抜き出す。
  ③ 何から引用したのかを示す。
・モデル文を正しい引用の仕方で書き換える。

〈 第2時 〉
〇 引用して、紹介する文章を書く。
・正しく引用するためのメモの取り方を知る。(p91)
・「こまを楽しむ」から必要な箇所を決め、メモを取る。
・メモを活用しながら、引用してお気に入りのこまについて紹介する文章を書く。
・正しく引用できているか、自分で確認する。
・友達と交流して、正しく引用することができているか確認し合う。
(「 」はついているか、元の文章のまま写しているか、どこから写したか書かれているか)

〈 第3時 〉
〇 文章に間違いを加えて「引用クイズ」を作る。
・前時に作成した文章をタブレットで撮影する。
・前時で作成した文章に、1箇所間違いを加えて「引用クイズ」を作る。
・間違いが含まれた文章を撮影する。
・クラス全体で「引用クイズ」を出し合う。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

引用の仕方を知っていく時間です。

イラスト/横井智美

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