小6社会「むらからくにへ」指導アイデア
執筆/川口市教育委員会指導主事・堀祥子
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登
国士舘大学教授・秋田博昭
目次
目標
狩猟・採集や農耕の生活、古墳、大和朝廷(大和政権)による統一の様子について、世の中の様子、人物の働きや代表的な文化遺産などに着目して、遺跡や文化財、地図や年表などの資料で調べ、まとめる。我が国の歴史上の主な事象を捉え、我が国の歴史の展開を考えるとともに、歴史を学ぶ意味を考え、表現することを通して、世の中の様子が、むらからくにへと変化したことを理解できるようにする。また、主体的に学習問題を追究・解決しようとする態度を養う。
評価規準
知識・技能
①世の中の様子、人物の働きや代表的な文化遺産などについて、遺跡や文化財、地図や年表などの各種の資料で調べ、必要な情報を集め、読み取り、狩猟・採集や農耕の生活、古墳、大和朝廷(大和政権)による統一の様子を理解している。
②調べたことを年表や文などにまとめ、世の中の様子が、むらからくにへと変化したことを理解している。
思考・判断・表現
①世の中の様子、人物の働きや代表的な文化遺産などに着目して、問いを見い出し、狩猟・採集や農耕の生活、古墳、大和朝廷(大和政権)について考え、表現している。
②狩猟・採集や農耕の生活、古墳、大和朝廷(大和政権)による統一の様子を関連付けたり総合したりして、この頃の世の中の様子の変化を考え、適切に表現している。
主体的に学習に取り組む態度
狩猟・採集や農耕の生活、古墳、大和朝廷(大和政権)による統一の様子について、予想や学習計画を立てたり、学習を振り返ったりして、学習問題を追究し、解決しようとしている。
学習の流れ(6時間扱い)
問題をつくる 2時間
- 三内丸山遺跡の想像図や出土品等を基に、狩猟・採集の生活の様子を調べる。
- 板付遺跡の想像図や出土品等を基に、農耕の生活の様子を調べ、狩猟・採集の生活の様子と比較し、学習問題を設定する。
(学習問題)
米づくりが始まり、その後、世の中の様子はどのように変わったのだろうか。
追究する 3時間
- 吉野ヶ里遺跡の想像図や出土品を基に、米づくりの広がりや、むらからくにへと移り変わっていく様子を調べる。
- 大きな古墳をつくる様子を調べ、古墳がつくられた理由を話し合う。
- 前方後円墳の分布やその出土品を基に、大和朝廷による統一の様子を調べる。
まとめる 1時間
- 狩猟・採集から農耕の生活となり、むらからくにへ変化したことを年表にまとめる。
問題をつくる
2枚の想像図を読み取り、衣・食・住の視点から生活の変化の様子について話し合う。(1、2/6時間)
導入のくふう
狩猟・採集中心の生活と農耕中心の生活の様子やその頃に使われていた道具を比較する活動を設定し、生活の様子が変化したことに気付くことができるようにする。
1時間目 三内丸山遺跡の想像図や出土品等を基に、狩猟・採集の生活の様子を調べる。
衣:毛皮、貫頭衣 食:狩猟、採集、漁で得たもの 住:たて穴住居、水辺⇒移動生活
道具:縄文土器、狩猟採集の道具 社会:貧富の差があまりない。
2時間目 板付遺跡の想像図や出土品等を基に、農耕の生活の様子を調べ、狩猟・採集の生活の様子と比較し、学習問題を設定する。
衣:貫頭衣 食:米、狩猟、採集、漁で得たもの 住:たて穴住居、平らなところ、用水路、高床式倉庫⇒定住生活 道具:弥生土器、米づくりの道具 社会:指導者が現れた
1時間目と2時間目で調べたことを比べて、どのようなことがわかりますか。
農耕中心の生活では、米づくりをする人々の中に、何か指示や命令を出している人が出てきました。
狩猟・採集中心の生活では、食料がとれないこともあったけれど、米づくりをすることで、食料を安定して手に入れられるようになりました。
狩猟・採集中心から農耕中心になると、生活や社会の様子が大きく変わりました。この後、世の中の様子は、どのようになっていったのだろう。
米づくりが始まり、その後、世の中の様子はどのように変わったのだろうか。
追究する
米づくりの広がりや古墳、大和朝廷による統一の様子について調べる。(3、4、5/6時間)
オンライン見学のくふう
1人1台端末などを活用して、遺跡や博物館等を見学したり、学芸員の話を聞いたりする活動を設定する。
3時間目 吉野ヶ里遺跡の想像図や出土品を基に、米づくりの広がりや「むら」から「くに」へと移り変わっていく様子を調べる。
これらの資料から、どのようなことがわかるか話し合ってみましょう。
大変! 争いが起きているよ。「むら」同士が戦っています。
「むら」の様子も前とはずいぶん変わっていて、柵や堀ができています。
米づくりが始まったことで、なぜ、争いが起きたのでしょうか。
米づくりの場所や食料などを巡って、争いが起きたのだと思います。
学芸員さん:この頃になると、米づくりに必要な田や水、種もみや鉄の道具などを巡って、むらの間で争いが起こるようになりました。そして、むらの指導者の中には強い力を持ち、周りのむらを従えて「くに」をつくり、豪族や王と呼ばれる人が現れるようになりました。
4時間目 大きな古墳をつくる様子を調べ、古墳がつくられた理由を話し合う。
イラスト/高橋正輝、横井智美