『ドラえもん』で授業を! 漫画を教材として活用しよう
「漫画は、授業の教材として魅力がある」――そう語るのは、漫画を活用した授業実践で注目され、「ドラえもん名作選」の監修者でもある、早稲田大学系属早稲田実業学校初等部の岸圭介先生。漫画の教材として魅力や、授業展開の工夫について、お話をお聞きすることができたのでご紹介します。

目次
漫画『ドラえもん』は、学習のきっかけになる教育的教材
―新刊「学年別ドラえもん名作選」では、『ドラえもん』を教材に使った授業実践をもとに、3年生版の解説を執筆されました。本シリーズの教育的教材としての魅力は何ですか?
岸 「ドラえもん名作選」シリーズでは、各教科の学習のきっかけになる楽しいお話をセレクトして、学年ごとにまとめました。
1年生版にはコマ番号がふってあり、漫画を初めて読む子や慣れていない子でも安心です。『ドラえもん』は、多くの話がひみつ道具を起点に進み、オチが「ひみつ道具がうまくいくか、いかないか」というわかりやすい展開になっているため、話の流れがつかみやすいのも特徴です。
一般的な学習漫画は、学習の意図やテーマが設定されていますが、「学年別ドラえもん名作選」シリーズの強みは、漫画の中に既習事項との関連や学習を、自由に見出せることです。学年別になっていますが、1年生の本でも、学習のねらいと合えば、高学年でも使うことができるでしょう。
漫画は、単元の間の接続的な教材として利用する
―実際の授業では、どのような使い方ができますか?
岸 単元の間に、接続的な役割で漫画を使うと効果的です。例えば、「登場人物における心情の変化をつかむこと」がめあてであれば、物語教材の間に入れるのもよいでしょう。漫画は、主に絵やコマを用いた表現形式です。「物語」という大きな枠組みの中では、共通する要素も見られます。
いずれにせよ、日々の単元との接点をいかに見出すかがポイントです。国語科では「物語の枠組み」、社会科では「社会の出来事」など、普段の授業と漫画のストーリーの中に接点を見つけられると、授業で使いやすくなるはずです。