【相談募集中】子供の信頼を得られていないようで不安です…

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先生のための個別相談サービス【みん教相談室】相談&回答一覧

愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

音楽専科の先生から「みん教相談室」に相談が寄せられました。指導が行き届かず、子供たちの信頼を得られていないのでは、と不安だそうです。ここでは、みん教で学級経営の記事を連載し、子供に寄り添ったアプローチを実践する愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦先生の回答をシェアします。

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Q. 指導が行き届かず、一部の子供たちが楽しめていないようで心苦しい

現在、小学校で音楽専科をしています。中学校で1年間、小学校音楽専科を半年経験して今に至ります。まだまだ経験は浅いです。 テストに「1学期を振り返って」という欄があり、ほとんどの児童が「楽しかった」と回答してくれていました。

しかし、「楽しかった。けど、周りにちゃんとしない人がいて『とても楽しかった』から『楽しかった』に変えました。」と回答している児童もちらほら見受けられました。 実際、担任の先生の前とでは態度が違っている児童もいます。特に担任が怖い場合が多いです。それを嫌だと感じている児童がいるのも確かです。

そうした真面目に授業を受けようとしている児童が嫌な思いをしたり、損をするようなことは絶対したくないと思っています。今はその対象の児童に対して怒ってくれていますが、今後「先生は何とかしてくれない」と思われてしまうのではないかという不安もあります。

満点の評価がほしいわけではありません。ただ、真面目に楽しもうとしている児童に申し訳ないのと、自分の指導の行き届かなさで悔しいです。今後こうしたことを減らしていくには、どのように対応していけばよいのでしょうか。(大福もち先生・30代女性)

A. 真面目に取り組む子供たちに感謝を伝え、授業の主役に

ご質問いただきありがとうございます。真面目に授業に参加しようとしている子供たちに応えたいと思われるその姿勢に敬服いたします。また自分も指導がうまくいかなかったり、「周りにちゃんとしていない人がいて……」のような申し出を受けたりしたことが幾度かあったので、大福もち先生が不安に思われるお気持ちに共感を覚えました。微力ではありますが、お力になれればと思います。

ご質問の中に「ほとんどの児童が『楽しかった』と回答してくれていました。」という一文がありました。音楽専科として様々な子供たちと関わっていくことは、とても大変なことだと想像しますが、その中でもきっと楽しい授業を展開されているのだと思います。

ここで、多くの子供たちが、楽しくない、行きたくないなどと授業に対する苦手感が出てきてしまっていてはいけませんが、どうやらそうではないようです。楽しい授業を展開するために、担任の先生に相談されながら、学習に集中するのが難しい子供たちとも関わっていった成果ではないでしょうか。

しかし、そうやって楽しい授業を展開していても、今回のようにほかの児童の取り組みに納得がいかないような意見が出てくることがあります。特にルールが浸透していく段階である1学期には、このような声がよく聞かれます。

また、大福もち先生が感じられているように、その学級のカラーも一因になっているかもしれません。規範意識が必要以上に高すぎる学級では「教員がいない時に規範から逸脱してしまう子供」や「規範を破っていないか監視する子供」が出てきてしまいます。

こういったケースを防ぐ1番簡単な方法は、担任の先生が怒るのと同じように厳しく指導をすることです。そうすれば、音楽の授業の時間だけ態度を変える子供はいなくなるでしょう。しかし、きっと大福もち先生は、そういった“怖さで子供を抑える指導”に違和感を覚えられているのではないでしょうか。

厳しく叱り続けることはしたくない、でも真面目に頑張っている子供が損をしないようにしたい。そんなジレンマを抱えた時に私は「真面目に頑張っている子どもに目を向けること」を意識します。真面目に頑張っている子供に着目し、繰り返し感謝を伝えることで、授業の主役をその子供たちにしてしまうのです。

例えば授業中に、真剣に話を聞いてくれている子供たちの中に、他事をしている子供がいたとします。そんな時に、この子供に「ちゃんと授業に集中しなさい」と強く注意をしたとします。きっとこの子供は、手を止めて自分の態度を改めるかもしれません。しかし、この時、ほかの子供たちは何もしていません。この時の主役は、この「他事をしていた子供です。」もしかしたら、周囲の子供たちは「あの子のせいで授業が楽しくない」と思ってしまうかもしれません。

そこで、まず「真剣に話を聞こうとしてくれている子がたくさんいて嬉しいです。」と感謝を伝えます。すると、さらに頑張って取り組む子供が増えてきます。そうしたら「頑張ろうとする人が増えてきたね、楽しい時間が過ごせそうです。」「最初にやる気を見せてくれた人のお蔭だね」などと声掛けを続けます。

“あの子のせいで授業が楽しくない“を“あの子のお蔭で楽しくなった”に変えてしまうのです。この時の主役は真面目に取り組んでいた子供たちです。

もちろん、なかなかやる気の出ない子供たちを見捨てる訳ではありません。周囲が頑張っていると、そのやる気の出ない子供たちも頑張ってみようかなと思う瞬間が出てきます。

この小さな瞬間を見逃さずに「あ、やってみたんだね」「今日はリコーダーを取り出すのが早かったね」などと声を掛けます。担任の先生に「今日は○○さんが頑張っていたから、大福もち先生が喜んでいたと伝えてもらえますか?」とお願いしてもよいかもしれません。

多種多様な個性をもつ子供たちをまとめるためには、何かしらの武器が必要です。しかし、その武器は“怖さ”だけではないはずです。どの子供たちも大切にしようとする“温かさ”や、頑張りを見つけようとする”ポジティブな見方“も武器の一つになるはずです。

大福もち先生が、子供たちとともに、これからも楽しい授業をされていくことを願っています。


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