やる気に火をつける「子供主導のカリキュラム・マネジメント」で二学期開始!

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千葉県公立小学校校長

藤木美智代

夏休みで、規則正しい学校生活から離れた生活を送った子供たちにとって、二学期の初日から通常授業を始めると、子供たちの体も心もギャップに悩まされることがあります。最初の1週間は慣らし期間ととらえてみてはいかがでしょうか。

執筆/千葉県公立小学校教頭 藤木美智代

カリキュラムマネジメントのイメージ

夏休み明けの学習は自らPDCA

主体的な学び「どのように学ぶか」

およそ40日間、時間を自分の自由に使えた夏休み。9月からは、毎日、決められた時間に決められた学習を行うとなると、そのギャップに苦しめられる子も多いことでしょう。そこで、9月の最初の一週間ほど、特別な時間割でスタートしてはどうでしょう。自分でやりたい学習を考え、計画を立て、実際行った後に振り返りをして、次の学習を考えるというものです。そうすることで、少しずつ学習への構えができ、1週間もたてば、一学期までの生活のリズムも取り戻せることと思います。能動的で学習者中心の学びがカリキュラム・マネジメントの第一歩です。

最初の一週間、1時間目と6時間目は自分の意志で学習内容を決めさせます。
・1時間目…国語か算数
・6時間目…社会、理科、図工など

特別な時間割
特別な時間割

1時間目

国語であれば、読書、書写、漢字練習、作文、創作、話合い(ディベート)などが考えられます。

算数であれば、一学期の復習(ドリル等練習問題)、二学期の予習、難問に挑戦、脳トレクイズ、数独などがあります。1週間を見通して計画をしますが、振り返りによっては予定変更も可になります。

6時間目

社会であれば、夏休みに旅行などで行った土地について調べる、いつか行きたいところ(観光地)の旅行計画を立てる、将来引っ越すとしたらどこに住んでどんな暮らし(仕事)をするか考えるなど。

理科であれば、育てたい生き物、植物について調べる、天気の予想をしてみる、熱中症などの病気やその予防について調べるなど。図工であれば、教科書等を参考にして、作りたいもの、描きたいものを決めるなど。

振り返りカード
振り返りカード

自己のキャリア形成 夢の宝地図(総合的な学習の時間)

アクティブ・ラーニングの視点による授業改善として、学ぶことに興味や関心をもたせ、自己のキャリア形成の方向と関連づけながら見通しをもって粘り強く取り組むことが求められています。夏休み明けに、このような視点から学びに向かわせるために、楽しみながら自分の将来を考え直す取り組みはいかがでしょう。なんとなく始めてしまうと、なんとなく終わってしまう二学期を充実させるために、叶えたい夢をはっきりとさせ、それに向かうために今、何をすべきかも考えさせることができます。

主体的な学び「何ができるようになるか」

「夢の宝地図」をご存じですか。将来、自分がなりたいもの、手に入れたいもの、やってみたいこと等を、写真や絵、言葉にしてボード(私は画用紙で代用しています)に貼り、目に見えるところに貼るというものです。夢や目標を毎日眺めて意識していれば、夢や目標に向かって生活できるということをねらっています。

対話的な学び「何を学ぶか」

せっかく作った「夢の宝地図」。ただ眺めているだけでは具体的な夢や目標には近づけないでしょう。やはり、保護者の協力、アドバイスが必要です。

そこで、何歳になったら何をするか、進学するならどんなところか、何を学び何を習得するべきか、今からできること等、学校ではなかなかできない話を、親目線からアドバイスしてもらい、親子で夢実現のための話し合いをしてもらいます。1、2週間かけての宿題とするとよいでしょう。親だけでなく、先生や地域の方から取材したり、書物やインターネットから先哲の考え方、生き方を調べたりする活動も取り入れたいものです。

仕上がった「夢の宝地図」を一人一人紹介することで、夢に向かう決意を新たにすることができます。二学期を無駄にせず、夢に向かう大事な第一歩として有意義に過ごすことができるのです。

教科と教科を関連づけるお米の学習(社会科・家庭科)

カリキュラム・マネジメントには、各教科の教育内容を相互の関係で捉え、教科横断的な視点で教育内容を組織的に配列することが求められています。学校や地域の特性や子供の実態、保護者の願いなど、それぞれの学校によってカリキュラム・マネジメントは様々ですが、5年生なら、まず考えられるのが「お米の学習」です。

社会科では、日本の農業として米作りについて学習します。また、家庭科では、栄養素の学習から始まり、調理実習では米の炊き方を学習します。その後、社会科と家庭科の合科、あるいは総合的な学習の時間として、「お米を使った料理」に取り組ませます。これらを教科横断的カリキュラムとすることが王道でしょう。

深い学び

「理解していること・できることをどう使うか」

米を学校で栽培しているところでは、9月頃には稲刈りとなるでしょうか。わが校では、夏休み前に案山子を作り、ネットを張って、野鳥に啄まれるのを防ぎました。

「案山子を作りたい」という意見は子供たちから出てきました。案山子というものが、米を守るのに本当に役立つかやってみたいというところからのスタートでした。実際にはあまり効果がなく、ネットを張らなければならなかったのですが、それもまた学習になったことの一つでした。

米はその後、「籾すり」や「瓶づき精米」を行い、白米に近づきました。昔ながらの方法を調べ、実際にやってみたのです。昔の人の努力と、現代の便利になった精米の方法を比べることもできました。いよいよお米を炊く学習です。市販されている米とわが校で作った「二俣米」を炊いて、味比べをすると、やはり市販の方が美味しいことは否めませんでした。米作りの大変さを、実感をこめて考えることになりました。

その後、お米を使ったいろいろな料理のレシピを調べ、発表しました。子供だけでは難しいものも、大人の手助けがあればできるでしょう。

ここでは、保護者の方に参加していただき、アドバイスや指導に当たってもらうことで、ちょっと手の込んだピラフ、リゾット、チャーハン、のり巻、ちらし寿司、おはぎなどにも挑戦させることができました。

イラスト/小沢マヨ

『小五教育技術』2018年9月号より

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