小3らくらく授業開き【モトヨシ先生のスライドde外国語活動】
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ゆたかな言語活動を行うためにICTを活用した授業が求められる外国語活動。しかし、様々なツールや教材を切り替えながらでは、手惑う場面もしばしばでしょう。本好利彰先生がこれまでの授業で作成してきたパワーポイント(スライド)教材は、これひとつ、授業の導入から終末までモニターに映すだけで授業を組み立てられる”お助け教材”です。「モトヨシ先生のスライドde外国語活動」で外国語活動の授業を、らくらくクオリティアップ!
執筆/千葉県公立小学校教諭・本好利彰
監修/拓殖大学准教授・居村啓子
目次
楽しいと感じる授業開きを!
小学校3年生の「Let’s Try!1」の授業に入る前の授業開きの1時間の流れです。外国語活動を初めて学習する児童に外国語活動は楽しいと感じてもらえるような簡単な活動をいくつか準備し、1時間の構成を考えてみました。学級の実態に合わせてパワーポイント(スライド)を修正して活用してもらえればと思います。授業の終末には外国語活動の授業のルールを確認するとよいでしょう。
パワーポイント(スライド)を使った授業の進め方
この記事の最後で、パワーポイントのファイルをダウンロードできるようになっています。必要な教師の発話やイラスト、音源などを挿入してあり、この資料を使うことで1時間の授業を行うことができるように作成してあります。このスライドを活用して、クリックしながら授業を進めてみてください。
- クリックでスライドを進めるだけで、スムーズに授業を行えます。
- デジタル教科書を使用する場合は、パワーポイントから切り替えてください。
目標と授業の流れ
【目標】
動作や数字の英語に慣れ親しもう。
【言語材料】
◎stand up, sit down, touch your headなどの動作を表す単語
◎数字(1~12)
◎挨拶(hello, see you)
- あいさつ
- 動作の英語表現に慣れる
- サイモンセズ
- めあての確認
- 数字の練習(1~12)
- What’s missing?
- 記憶力ナンバーゲーム
- 歌を歌う
- イレイサーゲーム
・時間があれば爆弾ゲーム、パチパチ3 - 授業のルール&ふりかえり
各活動の流れ
①あいさつ、②動作の英語表現
3年生との初めて外国語活動の授業です。英語との出合わせ方が大切です。まずは英語での指示(動作の表現)から始めてみましょう。
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↓活動の流れ
※①②③…の数字は、上の項に示した各活動の番号です
●①Stand up, sit down.と教師がジェスチャーを入れながら、子どもたちをその場で立たせたり、座らせたりします。(①②を一緒にやってもOK!)
●②ここから少しずつ次のスライドにある他の動作の単語を先生がジェスチャーを入れながら真似をさせます。教師は、全体を見ながらどの単語の練習が必要か把握し、必要であれば苦手そうな単語を意図的に多く取り入れます。(実態に合わせて他の単語を入れてもよいと思います。例:Touch your nose.)
jump, walk, runはその場で行いましょう。歩き回らせると大変なことになります。(笑)
②1分程度行ったら、先生はジェスチャーをストップします。ここで子どもたちは先生のジェスチャーの真似することではなく、英語を聞いて判断し反応するようになります。
Touch your headの活動の行い方説明アニメ
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イムラ先生の〈ココがポイント!〉
TPR(Total Physical Response)全身反応教授法とは、アメリカの心理学者 James Asher が提唱した指導法です。基本的に「聴く」ことを重視し、学習者の言語のアウトプットを求めません。また、目標言語のみで指導します。指導者の言語のインプットを聴きとり、身体を使いながら反応することによって、目標言語が包括的に習得されます。また、学習者の心理的負担が軽減され、長期記憶に残りやすい等の学習効果があるとされています。Touch your head. は、このTPRの原理を応用した、Listen & Do「聞いて動作する」アクティビティです。コツは難易度をプラスワンで上げていくことです。ここでは、最初はジェスチャーつきで英語を聞かせ、慣れてきたらジェスチャーをはずしています。
③サイモンセズ
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ルールの説明の仕方は、実際にやっているところを見せるのが一番簡単にできることです。英語で説明しようとすればするほど、教師自身が苦しくなってしまいます。スライドデモンストレーションをALTや、もしくは児童に事前にお願いしておくこともできるでしょう。
Simon says の活動の行い方説明アニメ
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④めあての確認
学級の実態に合わせて自由に変更して活用してください。
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⑤数字の練習 ⑥What’s missing?
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スライドに作成してあるので活用してみてください。What’s missing?と言いながら児童を指名するか、挙手をしてもらい、リズムよく答えさせるとよいと思います。
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隠れるナンバーが、1回目→1枚、2回目→2枚、3回目→3枚となっています。続くLEVEL2ではカードがシャッフルされるので、さらに3回クリックできるようになっています。カードのシャッフルを見るだけで少しだけ児童のやる気もアップすると思います。
⑦記憶力ナンバーゲーム
●記憶力ナンバーゲーム
数字に慣れさせるための単純な活動です。教師がtwo, fourと言ったら、子どもたちがfour, twoと順番を逆にして言う活動です。いろいろな数字を使って活動してみてください。
確認しておきたい数字は意図的に多く入れる。→ 子どもが苦手とする数字8と12
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☆遊び心をもって!
ユニークにできる数字を使ってみましょう。
11、7と教師がいい7、11と子どもたちに言わせ、I like 7-11. Do you like 7-11? やWhat convenience store do you like? とちょっとした児童とのやりとりも可能です。TTで授業を行っている場合は、教師同士でやりとりをして児童に聞くことも可能です。実態に応じて行ってみてください。
11、7
7、11!
I like 7-11. Do you like 7-11?
⑧歌を歌う
歌のお勧めは、簡単に覚えられる「Seven Steps」です。歌が流れるので、それに合わせて全員で歌います。
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次のスライドのように、ある数(例3)の時だけ数字を言わずに手を叩かせるなどのちょっとした工夫をするだけで児童をやる気にすることができるので是非トライしてみてください。
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⑨イレイサーゲーム
ペアで数字を交互に発音しながら消しゴムを相手の机に置きあっていく定番の活動です。
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↓活動の流れ
●①まずデモンストレーションを行う。
教師とALT、もしくは事前に児童にデモをやってもらうことを伝えておくことも可能だと思います。ルールに関しては実際に見せることで理解させることが一番簡単で効率的な方法です。
●②音楽が止まった時に消しゴムが自分の机の上にある方が負けということを伝えます。実際にデモでやってみるのが効果的です。
If you have an eraser when the music stops, you are the loser.
イレイサーゲームの活動の行い方説明アニメ
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ペアを変えるときは、下図のように2列のうちの1列の児童を後ろの席に移動させるとよいと思います。外国語活動において、いろいろな友達とやり取りする機会を確保するのに一番簡単な方法です。1度このような座席表を見せると、次回からの活動時もオートマチックに児童を移動をさせることができます。
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毎回の活動が常に同じ児童との組み合わせよりは、毎回ペアを替えることだけで児童のやる気を向上させることができます。是非、実態に合わせて活用してみてください。
パチパチ3(⑨の代わりとして)
3の倍数の時に手を叩く簡単なゲームです。小学3年生だと倍数については学習していませんが、かけ算は習っているので、スライドで視覚的に提示することで3年生でも活動することができます。
※使用する場合は、パワーポイントの非表示を表示に切り替えて活用してください。
爆弾ゲーム(⑨の代わりとして)
ストップウォッチをお好きな時間(30~50秒)でセットします。スライドにあるようなタイマーをスタートさせてから、児童にoneと言って渡します。渡された児童はtwoと言って周りの友達に渡します。タイマーが鳴ってしまったら、Today is your lucky day! としてポジティブな形で終えるのがよいと思います。
※使用する場合は、パワーポイントの非表示を表示に切り替えて活用してください。
⑩授業のルール&ふりかえり
楽しんだ1時間目の終わりに、授業のルールの確認を行うとよいと思います。また実態に合わせて1学期の終わりに求める姿なども話せると見通しをもてると思います。
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モトヨシ先生のちょこっと教育技術
ペア活動の後などに学級を一瞬で静かにさせたいとき、先生に注目させたいときなどに使える指導のアイデアを紹介します。
先生が、「パンパパパンパン」など手拍子を打ったら、子どもたち全員で続けて「パンパン」と合わせるということを事前に決めておきます。声が通りずらいくらいペア活動に熱中していても、この合図ひとつでパッと切り替えることができてオススメです。
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居村啓子(いむらけいこ)
拓殖大学外国語学部英米語学科准教授。言語学博士。児童図書出版社、児童英語教育機関勤務、立教大学異文化コミュニケーション学部助教、上智大学言語教育研究センター嘱託講師を経て現職。2020年よりNHKラジオ「小学生の基礎英語」講師を務める。研究テーマは「子どもの第二言語習得」、「フレーゾロジー」。
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本好利彰(もとよしとしあき)
福島県公立小学校教諭。福島県小学校・中学校・千葉県小学校教諭を歴任。また地区外国語教育推進リーダーを務める。2018年より拓殖大学外国語学部で「小学校英語教育入門」を担当。2021年東京書籍アドバイザー。2023年より東京書籍の会員制教育情報サイト「東書Eネット」にて実践事例、指導技術などを連載中。
パワーポイント(スライド)ダウンロード
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構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ