小6算数「6年のまとめ(整数の性質の発展)」指導アイデア
執筆/東京都公立小学校教諭・岡田紘子
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、東京都公立小学校校長・長谷豊
目次
本時のねらいと評価規準
ねらい
3つの数の積が偶数になるか奇数になるか考える活動を通して、整数の性質について考えることができる。
評価規準
3つの数の積が偶数か奇数か考えた時、偶数が多いことを説明することができる。
問題場面
1から6の数字が書かれたカードから3枚カードを引いて、その数をかけます。積は、偶数と奇数のどちらになることが多いでしょう?
(3つの数は 「小」×「中」×「大」となるよう並べます。例:1と2と3を引いたら、1×2×3=6で偶数)
☆6枚カードを用意して、数がわからないように黒板に貼ります。
偶数と奇数はどんな数でしたか?
偶数は2でわりきれる整数で、奇数は2でわりきれない整数です。
偶数は2×□、奇数は2×□+1の式で表すことができる数です。
☆最初に、偶数と奇数の性質について確認し、板書します。
1から6の数字が書かれたカードから3枚カードを引きます。引いたカードの数をかけます。積は偶数と奇数のどちらになることが多いでしょう? 予想してみましょう。
偶数かな。
同じくらいだと思います。
3枚カードを引いてください。
(子どもがカードを3枚選ぶ)
2と5と6です。かけ算すると、2×5×6=60
偶数だった。
何回かやってみましょう。
1と4と6です。1×4×6=24 また偶数だ。
3と5と4を引いたよ。3×4×5=60 またまた偶数だ。
なかなか奇数にならないな。
☆気づいたことがあったら、ノートにメモさせていきます。何回かカードを引いて確かめます。1から6までのカードをペアやグループに渡してやってみてもよいでしょう。
1と3と5。1×3×5=15 やっと奇数が出た。
でも、何回やっても偶数ばかりだ。
かけ算して奇数になる時は他にもないのかな。
奇数が少ないのはなぜでしょう。どうして、偶数が多くなるのでしょうか? 調べてみましょう。
本時の学習のねらい
どうして偶数が多くなるか考えよう!
自力解決の様子


学び合いの計画
発表・検討場面では、すべてのかけ算の式を書き出した子どもの考えから発表させます。落ちや重なりがないよう、「場合の数」の学習を想起させ、クラス全体ですべての式を確認していきます。
また、5年生で学習した「偶数と奇数」について、図や式を用いて、確認する場を設けます。偶数は、2×□という式で表せることから、数を複数の数の積としてみる見方を扱います。
ノート例

全体発表とそれぞれの関連付け
Aさんはどのように考えたと思いますか。
落ちや重なりがないように、小さい数から順番に式を考えています。
すべての式を考えています。20個式ができたけれど、奇数になる式は、1個しかないんだね。
では、次にBさんの考えを見てみましょう。
Bさんは、偶数は2でわりきれる数だから、2×□の式で表すことができることを使っています。
Bさんのように式を変形させると、1×3×5以外の式はどれも2×□になるから、積は偶数になります。
(すべての発表の後)
2人の考え方から、3つの数の積は、偶数と奇数のどちらになることが多いですか?
偶数の方が多いです。
奇数になる時は、1、3、5のカードを引いた時だけで、それ以外は偶数になることがわかりました。
学習のねらいに正対した学習のまとめ
- 3つの数の積は、1枚でも偶数が入ると必ず積は偶数になる。
評価問題
1~6に数字を4枚ひいて、その数をすべてかけます。積が奇数になることはあるでしょうか。わけもかきましょう。
【子どもに期待する解答例】
1~6に数字のうち4枚引くと必ず偶数が入る。
式に表すと2×◆×□×〇×△になるので、どんなカードを引いても必ず4枚をかけると偶数になる。
子供に期待する解答の具体例
- 1つでも偶数が出ると積は必ず偶数になってしまうから、積が奇数になるのが少ない理由がわかった。
- もしも、カードを3枚ではなく4枚以上引いたら絶対に積は偶数にしかならないと思う。
- カードの数を変えても偶数が多くなるか確かめてみたいです。
『教育技術 小五小六』2021年3月号より