理科〜植物の栽培と授業づくり〜
理科の学習では、「実験の準備が大変」という声をよく耳にします。そこで、ここでは、植物の学習において、実験を円滑に進めるための準備や問題解決の力を養う授業づくりについて説明します。
執筆/福岡県公立小学校教諭・永田大修
目次
チェック! 実験に必要な物
植物の学習をするときに、「実験に必要なものを準備できていなかった」という経験はありませんか。5・6年生の植物の学習で、どのような実験道具や植物が必要なのか、教科書で確認しましょう。
年間の植物栽培計画
学習の直前に困ることがないように、年間を見通して、植物の栽培計画を立てましょう。また、実験終了後は、生命尊重の立場から、花壇などに植え替えるなどして、実験に利用した植物を枯らさないよう配慮しましょう。
インゲンマメ……イ
アサガオ…………ア
ジャガイモ………ジ
ホウセンカ………ホ
栽培のポイント 〜アサガオ〜
種まき
アサガオの種は、寒い時期にまいてしまうと発芽しないので、3月末から4月上旬にまきます。発芽に適した温度は、20〜25度です。また、種まきの前に、種を一晩水につけておくとよいでしょう。
- 指で1〜2センチメートル程度(人差し指の第一関節くらい)の穴を開け、種を入れます。横から見て、半円になっている部分を上にして置きます。
- 上から土を軽くかぶせ、ならします。押し固めないように気をつけ、たっぷり水をあげましょう。
水やり
土の表面が乾いたら、水やりをするのが基本です。昼間の暑い時間を避け、午前中に行いましょう。夏場は、夕方日暮れどきにもう一度水をあげましょう。
間引き
苗が混み合っていると生育が悪くなります。本葉が出始めるころに、一番生育のよいものを残し、他は抜きます。
支柱立て
ツルが15センチほど伸びてきたら、支柱を立て、伸びていくつるを誘導してあげましょう。
問題解決の力を養うこと
『学習指導要領解説 理科編』では、問題解決の力は、観察や実験などを行う過程で育成されると言われています。小学校では、学年を通して育成をめざす問題解決の力を次のように示しています。
これらの問題解決の力は、その学年で中心的に育成するものですが、実際の指導に当たっては、他の学年で掲げている問題解決の力の育成についても十分に配慮することが大切です。
ポイント1(比較する)
発芽した後、しおれてしまったインゲンマメと、よく育っているインゲンマメの写真を比べて、気づいたことや疑問に思ったことをもとに問題を見出しましょう。
ポイント2(関係づけ)
今まで学習したこと(4年のツルレイシの栽培)や生活の中で経験したこと(家庭での栽培)に基づいて予想してみましょう。
ポイント3
予想をもとに実験方法を考えます。見るポイントを示しておくことで、見通しを持って、実験を進めることができます。
ポイント4(条件を制御する)
変える条件と変えない条件を整えて調べます。条件を表に整理するとわかりやすいです。
ポイント5
結果は、写真を提示し、よく育ったA、Cと、あまり育ってないB、D で色を変えて枠をつける等、視覚的にわかりやすいように工夫しましょう。
ポイント6(多面的に考える)
考察では、調べた結果からどんなことが言えるのかを書きます。結果と予想や、結果と結果を関係づけたり、再検討したりしながら妥当な結論を導きましょう。
※「妥当な考えをつくり出す力」は、6年で中心的に育成しますが、5年でも考察段階で意識して授業づくりをするとよいと思います。
イラスト/種田瑞子
『教育技術 小五小六』2020年6月号より