小4社会「豊かな自然環境を生かす小笠原諸島」指導アイデア

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執筆/東京都公立小学校主任教諭・栁沼麻美
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登、東京都教育庁指導部義務教育指導課・秋田博昭

小4社会「豊かな自然環境を生かす小笠原諸島」指導アイデア
写真AC

目標

自然環境を保護・活用している小笠原村の様子について、都内における位置や自然環境、人々の活動や産業の歴史的背景、人々の協力関係などに着目して、地図帳や各種の資料で調べ、白地図などにまとめることを通して、小笠原村の特色を考え、人々が協力し、特色あるまちづくりや観光などの産業の発展に努めていることを理解できるようにする。

学習の流れ(10時間扱い)

問題をつくる(2時間)

○ 地図や写真などを基に、小笠原諸島の位置や自然環境の様子を調べ、自分の住む地域との違いを話し合う。
○ 学習問題に対する予想を確かめる方法を話し合い、学習計画を立てる。

学習問題
小笠原村に住む人々は、豊かな自然のなかでどのように生活しているのだろう。

下矢印

追究する(6時間)

○ 小笠原諸島の自然環境やそれらを生かした観光業の様子を調べる。(2時間)
○ 世界自然遺産に認定された経緯を調べる。
○ 小笠原諸島の自然を保護・活用する取組(①外来種の駆除②絶滅危惧種の保護③自然との共生)を調べる。(3時間)

下矢印

まとめる(2時間)

○ 調べて分かったことをリーフレットにまとめる。
○ リーフレットにまとめた内容を基に、小笠原諸島に暮らす人々の生活やその特色(自然の保護・活用)について考える。

導入の工夫

自分たちの暮らす地域との相違点を話し合うことで、「小笠原諸島には、どのような特色があるのだろう」という問いをもち、主体的に追究できるようにします。

問題をつくる(1、2 / 10時間)

小笠原諸島に関する資料(地図、写真、映像、新聞記事など)から読み取ったことを基に、疑問に思ったことについて話し合います。

第1時

これらの資料を見て、小笠原村についてどのようなことを感じたのか話し合ってみましょう。

・ 竹芝桟橋(東京都港区)から父島の二見港まで約1000km。

日本地図(東京都の範囲と小笠原諸島との距離がわかるもの)

・ 週に一度の定期連絡船「おがさわら丸」で約25時間かかる。

連絡船おがさわら丸

竹芝桟橋から1000kmも離れていて、おがさわら丸で約25時間もかかるなんてびっくりしました。海に囲まれているから、漁業が盛んなのかな。

小笠原諸島に関する様々な記事

写真からは、海や山、イルカの群れなどの豊かな自然に囲まれているように見えます。1000kmも南にあるので、私たちの市よりも暖かい気候なのかな。

小笠原諸島は、2011年に世界自然遺産に登録されたのですね。登録されるまでに、小笠原諸島の人たちはどのような取組をしてきたのかな。

アカガシラカラスバト、小笠原マイマイ、タコノキは、小笠原諸島でしか見られないのですね。小笠原村の人たちが保護をしているのかな。

学習問題
小笠原村に住む人々は、豊かな自然のなかでどのように生活しているのだろう。

追究する(3~8/10時)

小笠原諸島の自然環境や産業、世界自然遺産に認定された経緯、小笠原諸島の自然を保護・活用する取組や人々の協力の様子を調べます。

提示資料の工夫

小笠原諸島の自然環境の保護を行っている人々の取組を資料化し、様々な立場の人々が協力して自然の保護・活用に取り組んでいることを理解できるようにします。

第7時

2005年には約40羽まで減ってしまった、絶滅危惧種のアカガシラカラスバトを増やすために、人々はどのようなことに取り組んだのでしょう。

アカガシラカラスバト
貴重な鳥を食べる野生化したネコ

NPO団体(島の住民)の話

2005 年に、野生化したネコ(野ネコ)が貴重な鳥を食べていたことが分かりました。このままでは、あと約20年で絶滅するので、保護活動を開始しました。

2008年 アカガシラカラスバト世界ワークショップの開催

アカガシラカラスバト世界ワークショップ

アカガシラカラスバトについて研究者、住民、国、都、小笠原村、獣医師らが参加して話し合いました。

  • 国(環境省)のネコ捕獲隊が野ネコを捕まえる。
  • 小笠原村が条例を作り、飼いネコを管理する。
  • 住民が条例を守り、野ネコにしない。
  • 「ねこ待合所」で待つネコを小笠原海運(おがさわら丸)が無償で運ぶ。
  • 「ねこ待合所」を作り、NPO 団体が、引っ越しまでのネコの世話をする。
  • 東京都獣医師会が東京都(本州)で里親を探す。
ねこ待合所
ねこ待合所(ねこまち)

⇒ 2016年には、アカガシラカラスバトは600羽に増え、島のいたるところで見られるようになった。

アカガシラカラスバトだけでなく、野ネコにとってもよりよい方法を考え、取り組んだのですね。

村の人だけでなく、村以外の人も話し合って取組を始めたから、アカガシラカラスバトが増え始めたのですね。

追究する活動を通して、子供が自然保護に関わる様々な人々の協力関係に気付けるよう、写真や映像、インタビューをまとめた文書などの資料を精選して提示することが大切です。

単元づくりのポイント

自然環境を保護・活用している地域について調べる

自然環境を保護・活用している地域を取り上げる際には、その地域の都道府県における地理的な位置や、自然環境や産業の歴史的背景、その地域で生活する人々の協力関係に着目して調べるようにすることが大切です。

本実践では、「問題をつかむ段階」で、小笠原諸島の位置が分かる地図を使用して、本州から見た位置や距離を捉えられるようにします。また、「追究する段階」では、島の自然環境を生かした産業の様子や2011年の世界自然遺産に認定されるまでの経緯、島の自然保護に取り組む人々の協力関係を捉えやすいようにします。


イラスト/横井智美、佐藤雅枝

『教育技術 小三小四』2020年2月号より

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