小3社会「事故から地域の安全を守る」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・井出祐史
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登、埼玉県公立小学校校長・清水健治
目次
目標
施設・設備などの配置、緊急時への備えや対応などに着目して、調べてまとめ、関係機関が相互に連携して緊急時に対処する体制をとっていることや、地域の人々と協力して防止に努めていることを理解できるようにします。地域社会の一員として自分たちにも協力できることを考えようとする態度を養います。

学習の流れ(8時間扱い)
問題をつくる(1時間)
○グラフを基に、自分自身の経験やこれまでの学習について話し合い、学習問題をつくる。
学習問題
事故や事件からわたしたちの安全を守るために、だれがどのような取り組みをしているのだろう。

追究する(4時間)
○関係機関が事故の発生時に対処する体制を調べる。
○警察署が事故や事件を防ぐためにしている取り組みを調べる。
○安全なまちづくりのための施設や設備を調べる。
○地域の人々が協力していることを調べる。

まとめる・生かす(3時間)
○これまで調べたことをふり返り、事故や事件から地域の安全を守る活動について関係図にまとめ、学習問題の結論を話し合う。
○地域社会の一員として、自分たちにできることを考え、話し合う。
導入の工夫
「 前単元の学習と同じように、だれかが何かしているのではないか」という予想を基に、前単元の学習問題を生かして学習問題をつくる。
問題をつくる(1/8時間)
市内で発生した事故や主な事件のグラフを読み取り、学習問題をつくる。

グラフを見てわかることはなんですか?
1年間で、2000件も交通事故が起きています。
皆さんも、ヒヤリとしたことはありませんか?
この前、自転車が急に飛び出してきたんだよ。
私も自転車で車にぶつかりそうになったことがあるわ。


件数が減っているのは、どうしてだと思いますか?
だれかが、何かしているのだと思います。
火災の学習のときは、消防署や地域の人が協力して守っていたから、今回も同じじゃないかな? 警察とか?
みんなの予想は、「警察署や地域の人が協力している」ですね。それなら、前回の学習問題が使えそうですね。
学習問題
事故や事件からわたしたちの安全を守るために、だれがどのような取り組みをしているのだろう。
まとめる(6・7/8時間)
事故や事件から安全を守る活動について、関係図にまとめる。
まとめ方の工夫
これまでの学習をふり返ってキーワードを確認したうえで、前単元でまとめた関係図や学習問題の結論を生かして、自分の考えをまとめる。
これまでに調べたことをふり返り、関係図にまとめましょう。

火事からくらしを守る学習でまとめた関係図が生かせそうだよ。

あなたの関係図は、どんなことを大切にしてまとめましたか。
「協力している」ことだよ。
「防ぐ」ことだと思うな。
みんなが言ったことは、どれも大切だよね。
予想した通り、前に学習した火事の単元と似ていたね。
単元づくりのポイント
本単元では、緊急時の対処とともに、「防止に努めていること」に重点を置いて指導します。そのためには、警察の仕事(パトロール、取り締まりなど)、施設や設備(標識、カーブミラー、防犯カメラなど)、交通に関する法やきまりなどを調べた際、「それは、まちの安全を守ることにどうつながるのか」を問いかけ、意味を考えさせることが必要です。また、前単元(火災)の既習内容や学習方法などを生かすことで、学習問題や予想、学習計画などに見通しをもち、主体的に学ぶことができるようになります。

イラスト/横井智美、佐藤雅枝
『教育技術 小三小四』2019年12月号より