小6社会「戦後の日本のくらし」指導アイデア
執筆/東京都公立小学校主任教諭・杉本季穂
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登、東京都公立小学校校長・杉渕尚
目次
目標
戦後の我が国の復興について、我が国の諸制度の改革やオリンピック・パラリンピック開催に伴う開発などを手掛かりに、戦後の我が国は民主的な国家として出発し、国民の不断の努力によって国民生活が向上し、国際社会の中で重要な役割を果たしてきたことを理解できるようにする。

学習の流れ(6時間扱い)
問題をつくる(1時間)
○戦後の日本の復興の様子を知り、学習問題を考える。
〈学習問題〉
日本は、戦後の21年間でどのように復興したのだろう。

追究する(3時間)
○日本国憲法などの法制度の制定について調べる。
○人々のくらしの変化について調べる。
○条約締結やオリンピックなど、世界との関わりについて調べる。

まとめる(2時間)
○学習問題に対する自分の考えをまとめる。
○これまでの歴史学習を振り返り、「これからの日本が目指す国づくり宣言」を考える。
導入の工夫
同じ国立競技場での出来事を比較し、わずか21年で変化した世の中の様子やその時代の背景について予想することで、戦後の日本の復興について調べる意欲をもてるようにします。
問題をつくる(1/6時間)
国立競技場で行われた学徒出陣壮行会と東京オリンピック開会式の写真を比較し、戦後日本の復興について気付いたことを話し合います。
学徒出陣壮行会は、大人だけでなく学生や生徒も戦争に参加するために行われたものでした。一方、21年後の同じ国立競技場で行われたのは、東京オリンピックです。
同じ競技場なのに雰囲気がまったく違う。
写真もカラーになっている。
一方は暗い話題で、もう一方は明るい話題だ。
次の年表は、日本が復興していく中での主な出来事です。
戦後の日本について学習問題を考えましょう。

国際連合に加盟したということは、世界に認められたということかな?
戦争の世の中から平和な世の中になったのは、なぜだろう?
学習問題
日本は、戦後の21年間でどのように復興したのだろう。
まとめる(6/6時間)
これまでの歴史学習の振り返りと、未来の主な出来事年表を基に、「これからの日本が目指す国づくり宣言」を考えます。
まとめ方の工夫
これまでの歴史学習を振り返り、印象に残っている歴史的な出来事を出し合います。その際、政治の中心地や世の中の様子などに着目し、今日の自分たちの生活と関わっていることを捉えることができるようにします。さらに未来の主な出来事年表を参考にしながら、「これからの日本が目指す国づくり宣言」を考えることができるようにします。
歴史の学習で過去の出来事を乗り越え、今の日本があることがわかりました。
では、あなたは、これから日本がどんな国になってほしいですか。
「ぼくのわたしの宣言」づくりは、年表の東京オリンピック・パラリンピックや日本国際博覧会(大阪)で世界に向けて演説をするといった条件を設け、国際社会に向けた日本の在り方を考えられるようにします。
単元づくりのポイント
本単元では、過去の出来事を基に現在及び将来の発展を考えるなど、歴史を学ぶ意味を考える活動が歴史学習のまとめとして重要です。単元のまとめでは、過去の歴史的な出来事を年表で振り返る時間を設け、その後、未来年表を基にこれからの日本の国際社会における在り方などを考えることができるようにします。
未来年表については、総務省や政府広報の各種資料や民間研究所等による発表データを用いるなど、教材化できるとよいでしょう。
<参照>総務省「未来をつかむ TECH戦略」、野村総合研究所グループ「NRI 未来年表」など
イラスト/横井智美、栗原清
『教育技術 小五小六』2019年11月号より