小5国語「天気を予想する」指導アイデア
教材名:「天気を予想する」光村図書
指導事項:指導事項 C 読むこと ウ・オ
言語活動:イ
執筆/福岡県公立小学校教諭・矢野万理
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、福岡県公立小学校校長・城戸祥次
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
筆者が自らの考えを述べている部分と、各資料を用いて事実を説明している部分との関係を捉え、全体の論の進め方や説明の工夫について読み取るとともに、自分の考えを広げたり深めたりする力を育成します。
②言語活動とその特徴
本単元には「文章構成や、図・表・グラフ・写真の意図を考え、説明の工夫を捉える」という言語活動を位置付けます。本教材には、図・表・グラフ・写真等の資料が多数用いられています。それぞれの資料が対応する文章を探し、資料をどのように解説しているかを確かめながら読みます。
また、資料を盛り込むことで、その文章がどのように説得力を増しているかを話し合い、説明の効果や工夫を確かめられるようにします。なお、本単元で学んだことは、次単元の「グラフや表を用いて書こう」で、統計資料を根拠に、意見文を書く活動へと生かしていくようにします。
以上のことから、「目的に応じて、要旨を捉えたり、事実と意見などとの関係を押さえ、自分の考えを明確にしながら読むこと」「本や文章を読んで考えたことを発表し合い、自分の考えを広げたり深めたりすること」(C 読むこと ウ・オ)の育成にふさわしいものであると考えます。
単元の展開(6時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
①「天気を予想する」を読んで、初めて知ったことや、説明がわかりやすいと思ったことなどについて話し合い、学習計画を立てる。
→アイデア1 主体的な学び
【単元】説明のしかたの工夫を見つけ、話し合おう
第二次(2~5時)
②「問い」と「答え」を探しながら全体の構成を読み、文章中の三つの「問い」と「答え」の文が、それぞれどのように関連しているかを考える。
③筆者の考えと事実の関係を捉えながら、それぞれの段落がもつ役割について考え、内容を読む。
④筆者が図・表・グラフ・写真を使う意図や、それらが読み手に与える効果について考える。
→アイデア2 対話的な学び
⑤筆者の考えの基になっている事実を読み取り、要旨を捉える。
第三次(6時)
⑥「資料を盛り込んで説得力を増す説明の工夫」について話し合い、自分の考えを相手に伝え、納得してもらえる説明のこつをまとめ、本単元を振り返る。
→アイデア3 深い学び
アイデア1 初読の気付きを基に、子供自らが目標を定める単元設定
子供はこれまでに、中心となる文や段落相互の関係を捉えることを学習してきています。本単元では、それらに加え、筆者の意図や表現の工夫、資料の活用の効果について考え、相手に説得力のある説明のしかたを身に付けることをねらっています。
そこでまず、初読の感想を交流する際、気付いたことや今までに学習してきた説明的文章との違いについて話し合うようにします。そして「子供の気付き」と本単元における「読むこと」の目標とをつなぐことで、子供が自ら単元の目標を定め、主体的に単元に向き合うことができるようにします。
この段階で、本単元で学んだことを、直後の単元「グラフや表を用いて書こう」に生かしていくようにすることを押さえておきます。そうすることで、「読むこと」への目的意識が強まり、意欲的で主体的な子供の学びの姿につながると考えます。
▼「初読の気付き」から「単元の目標」への学習の流れ
アイデア2 資料を用いて説明するよさを見つけるグループ活動
本単元では、文章だけでなく資料を活用することで、相手にわかりやすく伝える重要性について考えさせることが大切です。教材文で使われている「図・表・グラフ・写真」について、それぞれを説明する文章とつなぎながら、資料のもつ効果をグループで話し合ってまとめます。
その際、子供が文章全体を見通せる全文シートに自分の考えを書き込み、それを基にグループへの話合い活動へと移るようにします。そして、資料と文章とを結んで、資料の効果を考え、それを友達に説明することで、さらに自分の考えが深まることをねらいます。
グループでの話し合った資料活用のよさを学級全体で共有することで、今後に生かせる「資料活用のこつ」としてまとめ、伝えたいことの内容に合わせて適切な資料を選ぶことができるようにします。
▼グループでの話し合い
全文シートを使って、資料と文章をつなぎ、資料の効果やよさをグループで説明する。
▼板書例
アイデア3 積み重ねた学習を振り返ることで、次に生かせるまとめをつくる
単元の終わりに、改めて1時間ごとに何を学んだか、学級全体で話し合います。そして、今後に生かせる「相手に説得力のある説明のしかたの工夫」についてまとめて掲示し、次単元「グラフや表を用いて書こう」に活用していくようにします。
▼学習を振り返り次単元につなげるためのまとめ
深い学びへ誘うヒント
「適切な資料を用いて説明することが、自分の考えを相手に伝え、納得を促すのに効果がある」ということを、子供自らが実感できるようにすることが大切です。
その効果を実感できれば、使う資料を吟味し、積極的に活用して自分の考えを伝えようとする姿につながります。
イラスト/種田瑞子
『教育技術 小五小六』2019年11月号より