小3算数「重さ」指導アイデア
執筆/新潟大学教育学部附属新潟小学校教諭・越村尚貴
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一 、新潟県公立小学校校長 ・遠藤昇
目次
本時のねらいと評価規準
ねらい
秤量(秤で量れる最大の重さ)の異なる台ばかりで重さを比較する活動を通して、目的に応じて台ばかりを適切に選んで測定することを理解する。
評価規準
台ばかりで量ることができる秤量と感量(秤の針が測定できる最低の重さ)を基に、重さを比較するためには、どのように台ばかりを用いればよいかを考えることができる。

問題
2つの箱があります。どちらが重いでしょうか。

どちらの箱が重いと思いますか。
見た目では、Bの箱のほうが大きいからBかな。
いや、実はAのほうが重いのかもしれないぞ。
持ってみれば分かるのにな。
持ってみてもいいですよ。
(持ってみて)
あまり違いが分からないな…。
2つの箱の重さを台ばかりで量りました。これならどちらが重いか分かりますか。

秤量が異なる台ばかりを使用しますが、違うものであると分からないように、目盛りは隠して提示して、子供の問いを引き出します。
目盛りを見ると、明らかにBの箱のほうが重いみたいだけど…。
あれ? 持ったときは、そんなに重さに違いは感じなかったけどなあ。この秤、何か変だな。
学習のねらい
どのようにすれば、正しく重さを比べることができるかな。
見通し
この秤だと正しくないのではないかと考えている人が多いようです。どうしたら AとBの箱の重さを正しく比べることができるでしょうか。
きっとこの秤は、目盛りが違うと思います。目盛りが分かれば比べられます。
2つの箱を同じ秤で量れば比べられます。今は量れる重さが違う台ばかりになっています。
自力解決
Aつまずいている子
目盛りを見ると、やっぱりBのほうが重い。
・目盛りの位置で重さを判断している。
B素朴に解いている子
一方の台ばかりにAとBの箱を載せたら、どちらもAのほうが重くなった。
・台ばかりを揃えている。
Cねらい通り解いている子
Aの台ばかりは最大で2kg量れて、Bの台ばかりは最大で1kg量れるから違いが出てしまう。
・台ばかりの違いを説明している。
学び合いの計画
自力解決で、Aの箱を置いた台ばかりと、Bの箱を置いた台ばかりが異なる台ばかりだと予想した子供に、実際に2つの台ばかりを操作させます。子供は、台ばかりを固定してAとBの箱を置いたり、箱を固定して2つの台ばかりに置いたりして、台ばかりの秤量や感量が異なることを説明します。
このとき、まだ目盛りは隠したままにしておきます。目盛りが見えていると、目盛りの違いだけで台ばかりの違いを説明できてしまうからです。目盛りを隠しておくことで、同じ箱でも目盛りが違うことから、1目盛りの大きさの違いに目を向けることができます。
本時の子供のノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
どのようにすれば、正しく重さを比べられましたか。
量る台ばかりをどちらかに揃えると、重さをきちんと比べることができます。
このままの台ばかりだと、なぜだめなのですか。
Aの箱の台ばかりは、多分2kg用の重さを量る台ばかりです。Aの箱をBの箱の台ばかりに置いたら、Bよりも重い目盛りを指しました。
逆の場合も試してみました。Bの箱をAの台ばかりに置いたらAよりも軽い目盛りを指しました。
(ここで台ばかりの目盛りを提示する)
皆さんが予想した通り、Aの箱を置いた台ばかりは、最大で2kgの重さを量ることができる台ばかりです。Bの箱を置い た台ばかりは、最大で1kgの重さを量ることができる台ばかりです。今の場合は、どちらの台ばかりで量るほうが分かりやすいですか。
1kgの台ばかりだと思います。なぜなら、Aの箱もBの箱もどちらも1kg よりも軽いからです。
2kgの台ばかりでも重さの違いは比べられると思います。
今は重さ比べだから2kgの台ばかりでもいいけど、違いが分かりやすいのは1kgの台ばかりになります。
学習のねらいに正対した学習のまとめ
正しく重さを比べるには、同じ台ばかりで重さを量って比べる。
評価問題
次の箱は、どちらの台ばかりで量ればよいでしょうか。

子供に期待する解答の具体例
もし箱が1kgより重かったら、1kgの台ばかりだと量れない。だから、まずは2kgの台ばかりで量ってみよう。もし1kgより軽かったら、今度は1kgの台ばかりで量ってみよう。
本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
正しく重さを比べるためには、同じ秤量の台ばかりで重さを量ればよいことを説明できる。
イラスト・小沢ヨマ 横井智美
『教育技術 小三小四 』 2019年10月号より