小4道徳「法やきまりを守り、自他の権利を大切にしよう」指導アイデア

大学教員

佐藤幸司

執筆・イラスト/熊本大学教職大学院准教授・前田康裕
執筆/山形県公立小学校校長・佐藤幸司

教材(前半)

教材①

インターネットを使えばマメジロウの画像をかんたんにダウンロードできます
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教材②

社会の授業ではマメジロウの画像をスライドにはり付けて発表しました
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著作権について

インターネットによって、他人が作成した画像、音楽や映像といった著作物を簡単に複製やダウンロードできるようになりました。

著作権とは、知的財産権の一種であり、美術・音楽・文芸・学術など作者の思想や感情が表現された著作物を対象とした権利。著作者は著作物を独占的に利用することができますが、他人が勝手にその著作物を使用すれば、著作権侵害行為にあたります。

一方、著作権法第35条では、「教育を担任する者やその授業を受ける者(学習者)は、授業の過程で使用するために著作物を複製することができる」とあります。

つまり、他人の著作物でも授業においては使用することができるので、ネットで集めた写真などをプレゼンテーションで使うことが多くなっているのが現状です。

しかし、このような使い方を無意識に行っていれば、著作権に対する意識も薄くなってしまうのではないでしょうか。授業では複製が認められているとはいえ、著作者の許諾を得て使用することが原則です。

教育の場において著作権について考える機会を設けて、他人の著作物を大切にする心を育てることが必要なのです。

教材(後半)

教材③

夏祭りのポスターとチラシでもマメジロウのキャラクターを使いました
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教材④

マメジロウをそっくりまねするのはいけないのでちょっとだけまねしました
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実際の授業展開

タイトル
アニメキャラクター

指導目標
著作権法の意義を理解して進んでそれを守り、自他の権利を大切にしようとする態度を育てる。

内容項目
C 規則の尊重

準備するもの
・パソコン、プロジェクタなど
・教材①~④(掲示用)

指導の概略

板書計画例

板書例
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【導入】

図1を提示して、「ネットでアニメのキャラクターの画像や動画を見るにはどんな方法がありますか」と問うことで、経験のない子供たちにもイメージをもたせる。

【展開1】

図2を提示して、「授業でキャラクターを使うことはよいのだろうか?」と問いかける。キャラクターに限らず、他人が撮影した写真などについても触れる。

【展開2】

図3を提示して、「町内の夏まつりのポスターやチラシでキャラクターを使うことはよいのだろうか」と問うことで、学校外での使用について考えさせる。

【展開3】著作権法の意義

著作権法の考え方を説明した後に、図4を提示して「キャラクターをまねして使うのはよいのだろうか?」と問い、判断ができるようにする。

【終末】

「授業でどんなことを学びましたか」と問い、学びを文章化することでふり返りを促す。

ここがアクティブ!授業展開の補足説明

本教材は漫画で構成されているので、読み取りには時間はかかりませんが、できれば実際のWEBサイトを見せながら行うとよいでしょう。子供たちに話し合わせる場合は、その根拠をしっかりと考えさせるようにします。

【導入】

ネットでキャラクターを見る方法について問います。教師がその場でWEBサイトから検索して見せることで、経験のない子供もイメージがしやすくなります。

【展開1】

「授業でキャラクターを使うことはよいのだろうか?」と問います。その際、ネットに公開されている写真やイラストなども同様であることを述べて、判断の根拠となる考え方を子供たちが話し合えるようにします。結論としては、授業での活用は合法なのですが、ここでは結論を述べずに、展開3で述べるようにします。

【展開2】

授業外での使用について問います。「お金をもらうイベントじゃない」と強調することで、子供たちに揺れを生じさせます。結論としては違法なのですが、これも展開3で述べます。

【展開3】

著作権法について説明します。著作権法の基本となる考え方は、著作者の権利を守り、正当な創造活動ができるようにすることです。使う側の論理ではなく、著作者の権利に気付かせることが重要です。したがって、他人の著作物を使用する場合は、許諾を得ることが原則であることを知らせます。

また、著作権法第35条によって、授業で使えるのは特別な場合であることを伝えます。ここで、展開1は合法で、展開2は違法であることを述べるようにします。そして、「キャラクターをまねてもよいか」と問います。

著作権法の考え方を根拠とすると、意図的な模倣は明らかに違法となるからです。授業によっては、オリンピックエンブレムの盗用疑惑などの問題にも触れて、模倣の判断の難しさを知らせるのもよいでしょう。

【終末】

ネットの使い方に限らず、他人の著作物と権利を大切にすることの重要性を言葉にまとめていくことで、法律を守る行動を促していきます。

【保護者へのアプローチを】
今回の教材は漫画なので、学級だよりなどに印刷して保護者に知らせることが可能です。ぜひ、ご活用ください。

教科調査官からアドバイス

文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・浅見哲也

「指名のタイミング」

道徳科の授業においても「主体的・対話的で深い学び」が求められています。道徳科の「主体的な学び」と言えば、とにかく子供が真剣に考えること。「対話的な学び」と言えば、子供どうしが互いに考えを伝え合い、多面的・多角的な考えを自分のなかに取り入れること、「深い学び」と言えば、そのさまざまな考えのなかで、自分が大切にしたいと思うことを自分の生き方に生かそうとすること、と言えるでしょう。

つまり、子供が真剣に考えるところから道徳科の学びが始まります。そのきっかけをつくるのが教師の発問です。小学校中学年の子供たちには、教師の発問に対して積極的に手を挙げ、発表しようとするよさがあふれています。さて、教師が発問をしたら、どのくらいの時間をとって最初の子供を指名しているでしょうか。3秒から5秒くらいでしょうか。

もちろん、教師が発問すれば、学級全員の子供がすぐに手を挙げるわけではありません。しかし、もし、発問をして、すぐにある子供を指名して発表させたらどうでしょう。そのほかの子供の多くは考えることをやめてしまいます。つまり、教師が子供の主体的な学びを邪魔してしまうこともあるということです。発問をしたら、しばらく待つゆとりをもちたいものです。

子供が黙っていると不安に感じる教師も多く、すぐに指名してしまったり、教師がまたしゃべってしまったりすることもあるようですが、子供は黙って真剣に考えているのです。教師が指名のタイミングを見計らうことも「主体的な学び」につながることを、しっかりと留意しておくことが大切です。

『教育技術 小三小四』2019年7/8月号より

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