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「教室美化の秘密兵器トップ3」子供たちの可能性を引き出す!学級経営&授業アイデア#12

連載
子供たちの可能性を引き出す!学級経営&授業アイデア

宮城県公立小学校教諭

鈴木優太
「子供たちの可能性を引き出す!学級経営&授業アイデア」バナー 執筆:鈴木優太

自ら考え、活動したり学習したりする子供たちの可能性は無限大。そうした子供の内に秘めている可能性を引き出すための「学級経営&授業アイデア」を紹介する連載です。『教室ギア56』(東洋館出版社)などの著書をもつ鈴木優太先生が、学級活動、教室環境、授業アイデアなどの中から、毎月1本厳選して解説します。第12回(最終回)は、年度末の大掃除におすすめのアイテムと掃除術を紹介します。

執筆/宮城県公立小学校教諭・鈴木優太

来年度の担任の先生に、整った教室を引き継ごう

見渡してみてください。

その教室環境、本当に大丈夫ですか?

教室は、子供たちと先生方が共に過ごして学びを築いていく大切な場です。整理や清掃が不十分なままだと、子供たちや担任にとってマイナスからのスタートとなってしまう可能性だってあります。

特に年度末や年度はじめの教室引き継ぎでは、見落とされがちなポイントがいくつかあります。この記事では、それらを解決するための「教室美化の秘密兵器トップ3」をご紹介します。

アイテム1:掲示板のとげを抜く「ペンチ」

見落とされがちなポイントの1つ目が、掲示板の「とげ」です。画鋲が折れてしまい、先端部分が掲示板に刺さったままになっていることがあります。これは、子供たちがけがをする可能性があり、とても危険です。

このとげを取り除くために、「ペンチ」を活用します。

ただし、とげを見つけるのは難しいのです。放置されたまま引き継がれている掲示板が実は少なくありません。掲示板のとげを簡単に見つける方法を紹介します。

【手順】
①軍手を2枚以上重ねて(または厚手の革手袋を)装着し、雑巾を持つ。
②ゆっくりと掲示板を雑巾拭きすると、「とげ」が引っかかる。
③とげをペンチで引き抜く。

赤丸印が画鋲の芯だけが残ったとげ。雑巾を拭くことで見つけ、ペンチを使って抜く。
赤囲みが画鋲の芯だけが残ったとげ。雑巾で拭くことで見つけ、ペンチを使って抜く。

【心得】
・必ず教師が行い、安全を第一に心がける。
・抜いたとげは、使用済みの封筒などにまとめて回収する。
・使用したペンチは、図工室などの元あった場所に返却する。

職員作業として学校中の掲示板を一斉に点検し、とげを抜いて回るのもよいでしょう。作業中の様子を写真に収め、子供たちに「安全第一」の重要性を伝えることもよい教育機会になります。とげがなくなった掲示板を子供たちと磨くことで愛着が深まります。

安心安全の掲示板になると、感化を促す実物掲示【どの子も安心して学べる1年生の教室環境 #1】のアイデアで示したように、子供たちの手による更新頻度が上がります。掲示物の更新頻度が上がると、学級運営が活性化します。

アイテム2:シール跡を剥がす「スクレイパー」

見落とされがちなポイントの2つ目が、「シール跡」です。机やロッカー、窓ガラスなどにセロハンテープや布ガムテープが残っているか否かで、新年度を迎える教室の印象はがらりと変わります。

このシール跡をきれいに除去するために、「スクレーパー」を活用します。

【手順】
①シール剥がしスプレーをシール跡に吹きかけ、染み込むまで数分待つ。
②スクレーパーでシール跡を剥がす。
③剥がし終わった箇所を雑巾で拭き取り、仕上げる。

赤囲みがシール跡。シール剥がしスプレーを吹きかけ、数分待った後、スクイーパーの刃を軽く押し当てれば、きれいに剥がれる。
赤囲みがシール跡。シール剥がしスプレーを吹きかけ、数分待った後、スクイーパーの刃を軽く押し当てれば、きれいに剥がすことができる。

【心得】
・壁やロッカーなどの素材を傷付けないように心がける。
・跡がしつこい場合は、スプレーを再度吹きかけて時間を置くと効果的。
・作業後は、スクレーパーの刃をきれいに拭いて保管する。
(次の人が気持ちよく使用できるため)

子供たちと一緒にシールを剥がす作業を行い、教室美化への意識を高めるのもおすすめです。しかし、くれぐれも大切な教室や備品を傷付けないように、刃を軽く押し当てる程度で使いましょう。金属製だけでなく、傷の付きにくいゴム製やプラスチック製のスクレーパーもあります。

作業後は、きれいになった教室を見て達成感を共有しましょう。このような共同作業を通して、子供たちが教室を大切に使うきっかけになることも多いものです。

アイテム3:窓掃除には少し高価な「スクイージー」

見落とされがちなポイントの3つ目が、「窓」です。窓掃除をするだけで、教室が見違えるように明るくなります。教室全体の印象を大きく左右する窓を美しく保つことで、子供たちが学びやすい環境を整えましょう。

この窓を美しくするために、「スクイージー」を活用します。

先端にゴムのついたT字型のワイパーです。学校では、掃除用具庫に眠っていることが多いでしょう。手に馴染むものを自分用に持っておくと、異動先でも使いやすく便利です。少し高価でも、ホームセンターやインターネットでしっかりした作りのものを選ぶことをおすすめします。拭き筋が残らず、使い勝手が格別だからです。

【手順】
①窓の一番上にスクイージーを当て、少し傾ける。
②適量の洗剤をスプレーで吹きかける。
(洗剤が濃すぎると窓に残りやすいため、水で薄める)
③途中で止まらないように、一定の圧力のまま真下に動かす。

少し高価なスクイージーで掃除をすると、ここまでピカピカになる。画像は鈴木先生の愛用品。
少し高価なスクイージーで掃除をすると、ここまでピカピカになる。画像は鈴木先生の愛用品。

【心得】
・窓掃除をするなら曇りの日。
(汚れが見えやすく、湿度が高いので汚れが落ちやすいため)
・スクイージーのゴム部分は1回ごとに雑巾で拭き取る。
(拭き筋が残らないようにするため)
・ベランダのない校舎や、窓掃除は専門業者が行う学校もあるため、学校の方針に従い、安全に十分注意する。

スクイージーを使い慣れていない子供が窓掃除をすると、拭き筋が残ることがあります。拭き筋が目立つと、せっかく掃除をしたのに逆に汚れた印象になってしまうことがあります。子供たちの手で窓掃除を行う場合は、丸めた新聞紙を使うこともおすすめです。新聞紙に含まれているインクの油分には、油汚れを落とし、ツヤ出しやガラスの曇り止め効果もあるそうです。透明でピカピカの窓は、教室全体を明るくし、子供たちの集中力や気分の向上に寄与します。

新年度を迎える教室は、子供たちと新担任が新たな一歩を踏み出す大切な場です。その環境を整えるために、今回ご紹介した「ペンチ」「スクレーパー」「スクイージー」を上手に活用しましょう。

これらの作業を通じて、子供たちや次の担任への思いやりの心を形にすることができます。清潔で整った教室環境は、新年度の学びの意欲を引き出し、気持ちのよいスタートを切るための最良の準備です。ぜひ、「教室美化の秘密兵器トップ3」を取り入れ、新年度を素晴らしいものにしてください。


鈴木優太(すずき・ゆうた)●宮城県公立小学校教諭。1985年宮城県生まれ。「縁太(えんた)会」を主宰する。『教室ギア56』『教室ギア55』(共に東洋館出版社)、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)など、著書多数。

参照/鈴木優太『教室ギア56』(東洋館出版社)、鈴木優太『教室ギア55』(東洋館出版社)、鈴木優太『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)、多賀一郎監修、鈴木優太編、チーム・ロケットスタート著『学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク』(明治図書出版)

【鈴木優太先生 連載】
自治的な学級をつくる12か月のアイデア(全12回)
子供同士をつなぐ1年生の特別活動(全12回)
どの子も安心して学べる1年生の教室環境(全12回)

【鈴木優太先生 ご著書】
教室ギア56(東洋館出版社)
教室ギア55(東洋館出版社)
「日常アレンジ」大全(明治図書出版)
学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク(明治図書出版)

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