小5社会「米づくりのさかんな地域」指導アイデア
執筆/北海道教育大学附属札幌小学校主幹教諭・河原秀樹
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登
札幌市立山鼻小学校校長・佐野浩志
目次
年間指導計画
・国土の地形と気候の概要
・低い土地のくらし
・高い土地のくらし
・あたたかい土地のくらし
・寒い土地のくらし
・米づくりの盛んな地域
・水産業の盛んな地域
・日本の工業生産と工業地域の特色
・自動車工業の盛んな地域
・工業生産を支える貿易や運輸
・放送などの産業とわたしたちのくらし
・情報を生かして発展する観光業
・情報を生かして発展する販売業
・情報を生かして発展する運輸業
・国土の自然災害
・私たちの生活と森林
・公害からくらしを守る
目標
我が国の稲作について、生産の工程、人々の協力関係、技術の向上、輸送、価格や費用などに着目して、地図帳や統計などの各種の資料で調べ、まとめる。食料生産に関わる人々の働きを考え、表現することを通して、稲作に関わる人々は、生産性や品質を高めるよう努力したり輸送方法や販売方法を工夫したりして、良質な食料を消費地に届けるなど、食料生産を支えていることを理解できるようにする。また、主体的に学習問題を追究・解決し、学習したことを基に、社会の一員として、これからの農業の発展について考えようとする態度を養う。
評価規準
知識・技能
①生産の工程、人々の協力関係、技術の向上、輸送、価格や費用などについて地図帳や各種の資料などで調べて、必要な情報を集め、読み取り、食料生産に関わる人々の工夫や努力を理解している。
②調べたことを図や文などにまとめ、食料生産に関わる人々は、生産性や品質を高めるよう努力したり輸送方法や販売方法を工夫したりして、良質な食料を消費地に届けるなど、食料生産を支えていることを理解している。
思考・判断・表現
①生産の工程、人々の協力関係、技術の向上、輸送、価格や費用などに着目して、問いを見いだし、食料生産に関わる人々の工夫や努力について考え、表現している。
② 食料生産と国民生活を関連付けて、食料生産が国民生活に果たす役割や食料生産に関わる人々の働きを考える。また、学習したことを基に、消費者や生産者の立場などから多角的に考えて、これからの農業の発展について自分の考えをまとめ、適切に表現している。
主体的に学習に取り組む態度
①我が国の農業における食料生産について、予想や学習計画を立て、学習を振り返ったり見直したりして、学習問題を追究し、解決しようとしている。
②学習したことを基に消費者や生産者の立場などから、これからの農業の発展について考えようとしている。
学習の流れ(11時間扱い)
問題をつくる 3時間
- 家庭から集めてきた食品トレイ等を地図に位置付ける。
- 単元の学習問題をつくり、学習計画を立てる。
(学習問題)
米づくりのさかんな地域では、だれがどのような工夫や努力をして米を生産し、わたしたちのところまで届けられているのだろう。
追究する 6時間
- 稲作の概要や稲作に関わる人々の工夫や努力を調べる。
- 調べたことを基に話し合う。
まとめる 2時間
- 稲作が抱える問題を基に、稲作の発展について考え、議論する。
- これからの稲作の発展について、グループでGoogle Jamboardに整理し、まとめる。
※Google Jamboardは2024年12月31日にサービス終了します。
問題をつくる
普段自分たちが食べているものの食品トレイや包装パックを持ち寄り、地図に位置付ける活動を通して、自分たちが消費している食べ物の種類や生産地などに着目して、学習問題をつくる。(1、2、3/11時間)
導入のくふう
自分たちが食べているもの(胃袋に入るもの)は、生産する誰かによって支えられている事実に気付かせる。生産者の工夫や努力を想像することで、自分の胃袋を支えてくれている食料生産に関わる人々の営みを追究したくなるように働きかける。
1・2時間目
自分たちが普段食べているもの(胃袋に入るもの)を調べる。
みなさんが普段食べているものは何ですか。
家庭から、食べ物のトレイや包装パックなどを持ち寄ってみましょう。
毎日食べているお米の袋を持ってきました。
お肉やお魚をよく食べます。食品トレイには産地も書いてあったので持ってきました。
みなさんが持ってきた食べ物のトレイや包装パックを、地図に貼ってみましょう。
※教室に大きな世界地図と日本地図を用意しておく。
日本や世界、いろいろな場所で生産されたものを食べていることがわかりました。
クラスのみんなの米袋を見ると、品種はいろいろあるけれど、北海道や東北で生産されたものが多いことがわかるわ。
3時間目
食料生産を支える人の働きを調べるために、我が国の主食である米(稲作)や水産業に目を向け、学習問題づくりをする。
みなさんが家庭から持ち寄った食料の資料を分類してみましょう。
日本の主食といえば、お米ですね。いろいろな品種のお米がありますね。それ以外にも、たくさんの産業によって、食料が生産されていることがわかります。
前の単元で、日本は海に囲まれた島国だって学習したわ。水産物も、いろいろな海で獲れるみたい。漁師さんがどのようにとっているのか、これから調べていきたいな。
私たちの暮らしを支える農業生産について以下のように学習します。
単元の学習問題をつくり、学習計画を立てましょう。
自分たちが毎日食べているお米づくりがどのように行われているのかを調べてみたいです。おいしいお米をつくるための工夫や努力もありそうなので、農家さんへのインタビューもしながら、調べていきたいです。
つくられたお米が私たちのところまでどのようにして運ばれてくるのかも調べてみたいわ。
米づくりのさかんな地域では、だれがどのような工夫や努力をして米を生産し、わたしたちのところまで届けられているのだろう。
追究する
稲の種類や分布、生産の工程、人々の協力関係、技術の向上、輸送、価格や費用、生産量の変化などについて、地図や統計などの資料で調べて読み取ったり、タブレット型端末を活用してインターネットで調べたりする活動を通して、稲作に関わる人々の工夫や努力について理解する。(4、5、6、7、8、9/11時間)
調べ学習のくふう
実際の米づくり農家の見学や聞き取り調査ができる場合は、米づくりの生産の工程がわかるように時期に合わせて見学できるように工夫する。見学や調査が難しい場合には、地図や統計、写真や動画などの資料から必要な情報を集め、読み取ることで、稲作の概要や人々の工夫や努力を理解できるようにする。
4時間目
なぜ北海道や東北地方で米が多く生産されているのかという理由を調べる。
北海道や東北地方で米が多く生産されている理由を調べてみましょう。
地図を見ると、平らな土地が広がっていて、稲作に適していると感じました。グラフからは、雪がたくさん降る地域であることもわかりました。
Google Earthで南魚沼市を調べてみたら、山があって川が流れていたから、雪解け水も豊富にありそうな感じがしたわ。
資料を活用するポイント
5年生の社会科が始まってまだ間もない時期です。学習問題の解決につながる資料を教科書や資料集、地図帳などから探す楽しさを味わい、根拠となる資料を基にしながら、確かな知識を身に付けるようにします。
5・6時間目
1年間の米づくりの生産工程について調べ、Googleスライドにまとめる。
イラスト/(資)イラストメーカーズ