小6理科「燃焼の仕組み」指導アイデア

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執筆/大阪府大阪市立中大江小学校教諭・西岡賢一

編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・鳴川哲也、大阪府大阪市立滝川小学校校長・民辻善昭、大阪府大阪市立平野西小学校校長・細川克寿

主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善

平成32 年度から実施される学習指導要領に、

単元など内容や時間のまとまりを見通して、その中で育む資質・能力の育成に向けて、児童の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。

新しい学習指導要領の考え方 -中央教育審議会における議論から改訂そして実施へ-

と記されています。「主体的・対話的で深い学び」の視点から授業改善を行い、資質・能力を育成することが大切になります。では、これらの視点で授業をどのように改善していけばよいのでしょうか。

はじめに、「主体的な学び」については、自然の事物・現象に十分関わり、自分達で観察、実験を通して解決できそうな問題を見いだすことができるようにすることが大切です。また、自分なりの予想や仮説をもつことができるようにすることで、見通しをもって観察、実験などが行え、より妥当な考えをつくりだしていくことができると考えます。さらに、学習活動が意味付けられたり、得られた知識や技能を基に、次の問題を発見したり、新たな視点で自然の事物・現象を捉えようとしたりしていくために、自らの学習活動を振り返ることができるようにすることも大切です。

また、「対話的な学び」については、子供自身が自分の考えを広げたり深めたりしながらより妥当なものにするために、あらかじめ個人で考え、その後、意見交換をしたり、根拠を基にして議論しながら科学的に問題解決したりできるようにすることが大切です。

最後に、「深い学び」については、「理科の見方・考え方」を働かせることができるようにしながら問題解決を行うことで、資質・能力を育成することが大切です。また、問題解決の過程で、その時間やこれまでの学びを振り返ることができるようにしながら、様々な知識をつなげ知識を相互に関連付けてより深く理解したり、考えを形成したりできるようにすることも大切です。さらに、新たに獲得した資質・能力に基づいた「理科の見方・考え方」を、次の学習や日常生活などで働かせることができるようにすることも大切です。

それでは、六年理科の全単元で具体的なデザインを明らかにしていきます。

授業づくりのポイント

①自然の事物・現象から問題を見いだし、見通しをもって観察・実験を行う場面の設定。

②自分の考えを基にグループや全体で対話し、考えを広げたり深めたりする場面の設定。

③学びを振り返り、様々な知識をつないで、より科学的な概念を形成することに向かう場面の設定。

単元のねらい

空気の変化に着目して、物の燃え方を多面的に調べる活動を通して、燃焼の仕組みについての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主により妥当な考えをつくりだす力や主体的に問題解決しようとする態度を育成する。

単元計画(三次・全8時間)

一次

1時

●生活の中で火を使った経験を話し合う。

●瓶の中でろうそくを燃やして、ふたをする。ろうそくの燃え方を観察することを通して、問題を見いだす。

瓶の中のろうそく

考察①「瓶の中のろうそくが燃え続けるようにするには、どうすればよいのだろうか?」

考察②「瓶の中の空気はどうなったのだろうか?」

二次

2・3時

瓶の中のろうそくが燃え続けるようにするには、どうすればよいのだろうか?

●瓶の中でろうそくが燃えるようにするには、どうすればよいかを調べる。(活動アイディア①

瓶の中のろうそくが燃え続けるときには、空気はどのように流れているのだろうか?

●ろうそくが燃え続けるときの空気の動きを線香の煙で調べる。


4・5時

●空気はどのようなものかを調べる。

物を燃やす働きがある気体は何だろうか?

●窒素、酸素、二酸化炭素の中で物がどのように燃えるのかを調べる。


6・7時

ろうそくが燃える前と後の空気には、どのような違いがあるのだろうか?

●気体検知管や石灰水を用いて気体の変化を調べる。(活動アイディア②)

三次

8時

●「物の燃え方」新聞を作り、学習したことをまとめる。

単元デザインのポイント

単元構想

子供が主体的に問題解決に取り組むには、子供が問題を見いだすことが大切である。そこで、一次は、問題を見いだす場とした。そして、二次では、一次で見いだされた問題を解決し、三次では、単元の学習を振り返り、子供自身で自らの学びを自覚できる場となるように単元を構想する。

一次

一次では、ふたをするとしばらくしてから消えるろうそくの火の様子を観察する観察から得られた疑問を出し合い、疑問の中から、自分達で観察や実験を通して解決できそうな問題を設定することができるようにする。自分達で設定した問題という意識が問題解決を主体的にする。また、自然事象から問題を見いだす力を育成する場とする。

二次

二次では、目に見えない気体を扱うことから、線香の煙や気体検知管、石灰水などを用いて空気の変化を可視化する。さらに、空気の変化をモデル図等を使って説明することができるようにし、質的・実体的な見方・考え方を働かせながら問題解決することで、資質・能力の育成ができる場とする。また、予想をするときや、考察する際には自分の考えを基に、グループや全体で対話しながら自分の考えを広げたり、深めたりできる場とする。

三次

三次では、単元で学習した中で印象に残っていることや、さらなる疑問、感想、学習したことが生かされている事象などを新聞にまとめる場とする。

活動アイディア①
(一次・1時/二次・2時)

【一次・1時】

燃えているろうそく全体を覆うと火は消えたけど、ふたや底の粘土に工夫をすると、ろうそくは燃え続けるのかな。

ふたを取るとろうそくは燃え続けるのかな? やってみたいな。

ろうそくの火が消えた後の空気はどうなっているのかな?

底が粘土の集気瓶の中にろうそくを入れた説明図

【二次・2時】

問題

瓶の中のろうそくが燃え続けるようにするには、どうすればよいのだろうか?

予想

キャンプでご飯を炊いたかまどは、下に隙間があったので、瓶の底に隙間をつくると燃え続けると思うよ。

ふたを取れば燃え続けると思うよ。

方法

実験A,B
実験C,D

結果

実験結果の表

考察

私の予想と同じで、この4つの結果からは、瓶の上が大きく開いていると火は燃え続けたよ。

かまども上の方は空いているので、Bみたいに下に隙間があるだけでは燃え続けないんだね。

Bは火が消えた後、ろうそくの煙が瓶の中を回っていたよ。空気って動いているのかな?

結論

ろうそくが燃え続けるようにするには、ふたを大きく開けるとよい。

振り返りと次の問題

隙間があればそうろくが燃え続けるというわけではないんだね。ろうそくが燃えているときには空気が動いているようなので、空気がどのように動いているのかを調べてみたいな。

指導におけるポイント

問題を見いだす

  • 子供たちは自然の事物・現象を目の当たりにすると、様々な疑問をもつ。その疑問の中から、「観察や実験を行うことで結論が出せそうなもの」を問題として設定することで、自分達の問題であるという意識をもつことができるようにする。「燃やし続けたい」と望む子供からは、「ふたを取る」などの様々な工夫が意見として出される。

自分の考えを基にグループや全体で意見交換する

  • 自分の班の実験結果から考察するだけでなく、他の班の実験結果も併せて考えることで、客観性のある科学的な問題解決が行える。また、A、B、C、D のように複数方法があると、多面的な考えを働かせることができる。

学びを振り返る

  • 「何が分かったのか」「何ができるようになったのか」等の視点で学びを振り返ることで、子供は自分の成長を自覚することができる。成長の自覚が次の問題解決への原動力になる。

活動アイディア②
(二次・6、7 時)

酸素の中ではろうそくは激しく燃えたね。でも、やっぱり最後は火が消えたよ。

物が燃えた後の空気はどうなっているのか調べてみたいな。

空気中の酸素や二酸化炭素の体積の割合を調べる道具があるよ。空気の変化を調べよう。

酸素や二酸化炭素の体積の割合を調べる道具

問題

ろうそくが燃える前と後の空気には、どのような違いがあるのだろうか?

予想

酸素が物を燃やすのだから、物が燃えると酸素が減ると思うよ。だから、酸素は21% から減る結果が出ると思うよ。

私は違う意見で、それぞれの気体の割合は変らないと思うな。だから、空気中の割合と変わらない結果が出ると思うよ。

考察

気体検知管によると、酸素の割合が減って、二酸化炭素の割合が増えているけど、酸素が二酸化炭素に変化したのかな?

私は図で考えてみたけど、どうかな?

ろうそくが燃える前と後の空気の違いを図で表したもの

結論

ろうそくが燃えた後の空気は、酸素が減り、二酸化炭素が増えるという違いがある。

指導におけるポイント

見通しをもって観察・実験を行う

  • 見通しをもって問題解決を行うために、問題の予想だけでなく、実験結果がどのようになるのかを考えることができるようにする。結果が数値で出る場合は、根拠を明らかにしながらおおよその数値を予想できていると、考察する際に深まりが表れる。

自分の考えを基にグループや全体で意見交換する

  • 意見交換をするときには、実験結果である事実を解釈して結論を出すことが大切である。また、説明する際に、自分の考えを明らかにしたり、考えを説明したりするためにモデル図を使うことが考えられる。特に、空気をモデル図にして可視化することで、空気を質的・実体的に捉えられると考える。

調査官からのワンポイント・アドバイス

国立政策研究所教育課程調査官・鳴川哲也

「主体的・対話的で深い学び」の視点で授業改善を…

新学習指導要領では、子供たちや学校の実態、指導の内容に応じ、「主体的な学び」、「対話的な学び」、「深い学び」の視点から授業改善を図ることが重要とされています。これらの視点からの授業改善とは、単元をどのようにデザインするのかということです。

本実践では、第一次で、底のない集気瓶の中でろうそくを燃やすという活動を行い、そこから、様々な疑問を引き出そうとしています。日常生活において、物が燃えている様子をじっくり見るといった経験は少ないでしょう。ですから、その現象を見ることで、子供たち同士で「どうしてろうそくは消えるのか?」「もっと長く燃え続けさせるには、どうしたらよいのか?」「中の空気に変化があるのか?」などといった、解決したい問題を見いだすことができるのです。このようにして、自分たちで解決したい問題を見いだすことで、主体的に問題解決を行うことができるのです。

また、本実践では、集気瓶の中のろうそくを燃え続けさせるために、様々な条件で実験しています。

複数の事実から、解決したい問題について迫っていくことが重要です。まさに「多面的に考える」ということです。

イラスト/山本郁子 横井智美

『小6教育技術』2018年4月号より

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