小5 国語科「図書館を使いこなそう」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小5国語科「図書館を使いこなそう」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/神奈川県横浜市立東汲沢小学校校長・丹羽正昇
執筆/神奈川県横浜市立藤の木小学校・阿部真央
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
ここでは、一般的な図書の分類のしかた(日本十進分類法)について知っていきます。
おおまかな分類についてはこれまでにも学習していますが、本時では、さらに詳しい分類のしかたを知っていき、本を探す際に活用できる知識を学習していきます。
分類のしかたを理解した上で、テーマやキーワードに合わせて本を探す活動を通して、これからの読書や調べ学習の際に、自分の目的に応じて複数の棚を探すことのよさや必要性にも気付くようにしていきましょう。また、4月に学習することで、今後の学習の中でも自分の目的に応じて本を探す際にこの知識を役立てていけるようにします。
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
学校図書館における図書の分類のしかたを知り、テーマやキーワードに合わせて本を探す活動を行います。最初は、グループごとに与えられたテーマやキーワードで本を探していきます。
ただ探すだけでは「本探しゲーム」になってしまうので、分類のしかたの知識を生かして、予想を立ててから探すようにします。また、本を探すときに困ったことなどは学級で共有し、解決策を考えていきます。その後、一人一人が自分の興味があるテーマやキーワードで本を探す活動を行います。記録カードを準備しておき、本を読んで分かったことや出典を記録します。
分類のしかたを知るだけではなく、その知識を自分の目的に応じて活用することが大切です。
テーマやキーワードを決めて本を探す活動を通して、分類のしかたをさらに理解していくとともに、複数の棚を見ることの必要性に気が付いたり、目的に応じた本が見つからないときにどうすればよいのかを理解したりできることを目指していきます。
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉 分類も意識できるようにした読書記録
ここでは、これまでよりも詳しい図書館の本の分類のしかたを学習します。
本時の学習が生きるように、分類も意識できるようにした読書記録を用意します。
<例>
このような読書記録を「類」ごとに色分けして準備します。
または、上記の読書記録とともに以下のような表も併せて準備し、読書記録を表に入れていくことでも分類を意識して読書記録をためていくことができます。
<例>
タブレットを使って読書記録をつけると、表紙や分類のラベルなどの写真も簡単に取り入れることができます。
「類」ごとに色分けしたり表を使って分類したりすることで、ここでの学習が生かされるだけでなく、調べ学習の際に一つのテーマでもいろいろなところから調べているか、また、自分の読書の傾向などにも気付くことができます。
年度の初めの方にある学習なので、ここで学んだ図書館の本の分類を生かし年間を通して読書記録をため、今後の学習の中で活用していく見通しがもてるようにしましょう。ここでの学習をきっかけに普段の読書生活を見つめ直し、今後の読書や他教科等への学習へとつなげていけるような読書記録をためていくことが大切です。
〈対話的な学び〉 本を探すときに困ったことや気付いたことを共有する
図書の分類のしかたを分かっていても、なかなか目的に合う本を見つけられないことがあります。
これまでの経験や本時での活動から、困ったことを共有し、解決策を考えていきます。
また、本を実際に探す活動の中で気付いたことも共有します。
知識を得ることだけが目的になるのではなく、実際に自分が本を必要としているときに使える力となることが大切です。実際の児童の困り感や不安をなくし、これから本を探すときに役立てていけるようにしていきましょう。
〈深い学び〉 読書記録や情報カードを他教科等の学習に生かす
本時から始めた読書記録や情報カードに、年間を通して取り組み、国語科だけではなく、普段の読書や他教科等の学習へと生かしていきましょう。
分類のしかたを生かした「読書記録」をためていくことで、自分の読書傾向が分かり、「ここの分類の本を読むことが少ないから読んでみようかな」と普段の読書へとつなげたり、友達とおすすめの本を紹介し合ったりすることもできます。
また、「情報カード」を活用して自主学習に取り組んだり、朝の会などに調べたことを発表したりしていくことができます。他教科等で何かについて調べるときにも情報カードを活用することができます。
定期的に、読書記録や情報カードを見返したり、友達と見合ったりすることで、自分の読書生活を振り返るきっかけになったり、他の友達の本の探し方や記録の取り方、まとめ方なども参考にしたりしていくことができます。
本時1時間のみで完結するのではなく、本時の学習を1年間、また、その先へとつなげるように意識しましょう。
5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント
イラスト/横井智美