小1算数「なかまあつめ」指導アイデア(3/4時)《どちらがおおいかしらべよう》
執筆/福岡教育大学附属久留米小学校教諭・廣木 伸
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・笠井健一、福岡教育大学教授・清水紀宏
目次
本時のねらいと評価規準
(本時の位置 3/4)
本時のねらい
集合の要素の個数の大小を、おはじきなどの媒介物による1対1対応によって判断することができるようにする。
評価規準
おはじきで置き替える1対1対応による数の大小の比べ方を理解し、数の大小を比べることができる。(知識・理解、技能)
問題場面
あそんでいる きつねさんと うさぎさんは、どちらが おおいですか。

キツネさんとウサギさんは、何をしているのかな?
ボールで遊んでいます。
楽しそうですね。同じ人数で遊んでいるみたいだね。
え? キツネさんが多いよ。
多いのは、ウサギさんじゃないの?
あれ? 同じじゃないの? じゃあ今日は、ウサギさんとキツネさんはどちらが多いのか調べてみましょう。どうすれば、どちらが多いかわかるかな?
本時の学習のねらい
どちらがおおいかしらべよう。
見通し
・線で結ぶ。
・絵カードを動かす。
・おはじきを置いて、並び替える。
前の時間は、どのように比べたかな?
線で結んだよ。
カードを動かしたよ。
今日は、カードを使わないことにします。
でも、線は引きにくそう。
今日は、おはじきを使ってみましょう。
自力解決の様子
A:つまずいている子
・おはじきをきちんと置けない(落ちがあるなど)。
・おはじきを置いた後、どうしてよいかわからない。
B:素朴に解いている子
・おはじきを適当に並べ、比較している。

C:ねらい通りに解いている子
・おはじきを上下にそろえて並べ、比較している。

自力解決と学び合いのポイント
全ての子供がねらい通りに解決するわけではありません。前出の「自力解決の様子」でのAの子供に対しては、同じ種類の動物には同じおはじきを置くことなど、おはじきを用いて比べる方法を個別に指導します。この時、落ちがないかを確かめるよう促します。Bの子供に対しては、Cの子供の解答との比較を通して、おはじきをそろえることの大切さに気付かせましょう。Cの子供に対しては、Bの解答との比較を通して、自分の考えのよさに気付かせましょう。
こうした学び合いを実現するために、それぞれの解決方法を板書して、おはじきを使った1対1の対応による比べ方を比較させて、確実に理解させましょう。
ウサギの上に赤のおはじきを、キツネの上に青のおはじきを1個ずつ確実に置いてから、並べ替えるようにします。次に、おはじきを対応させて、余りに印を付けます。
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
どちらが多いか比べるときに、どちらの並べ方がわかりやすいですか。
下のほうがわかりやすいと思います。
なぜ、下のほうがわかりやすいと思ったのかな?
赤と青がそろっていて、赤が多いとすぐにわかります。
そろっているほうが、線をかきやすいです。
(以下、本時のまとめをする)
本時のまとめ
端からおはじきを並べると、どちらが多いか調べることができる。
評価問題

ペープサートで視覚的に移動した動物を1匹ずつ見せる。


移動した動物を1匹1匹に対応させて、おはじきを置いていく。
期待する子供の姿
教師が動かした動物に対応させて、おはじきをそろえて並べることができている。
子供の感想例
おはじきを使うと、どちらが多いかわかりました。
動いて見えなくなるものでも、おはじきを並べて比べられました。
ワンポイントアドバイス
国立教育政策研究所 教育課程調査官・笠井 健一
本単元は、第一学年の数と計算の最初の部分を担うもので、ものとものとを対応させて、ものの個数を比べる活動から始め、ものの個数を正しく数えたり、個数を数字で表したりすることができるようにしていきます。
「なかまあつめ」では、おはじきという媒介物を用いた1対1対応の学習を取り扱っています。
前時までに、線を引いたり、対象を操作したりして、1対1対応による数の大小について学習してきています。線を引くのが難しいということを意識させ、おはじきで置き替えて比較するよさに気付かせましょう。
また、おはじきをマス目にきちんと並べることも、併せておさえておくとよいでしょう。なお、評価については、別の場面の大小比較の問題で十分ですが、1つのアイディアとして紹介しました。
イラスト/佐藤雅枝 横井智美
『小一教育技術』2018年4月号より