小1算数「たすのかな、ひくのかな」指導アイデア(1/2時)《たし算やひき算の演算決定》

執筆/埼玉県所沢市立松井小学校教諭・齋藤駿
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫

目次
単元の展開
第1時(本時)たし算やひき算の演算決定
▼
第2時 習熟問題
本時のねらい
場面の絵からたし算やひき算の問題をつくり、演算決定の根拠を説明する力を育てる。
評価規準
半具体物や図などを用いて、演算決定の根拠を考えたり説明したりしている。
本時の展開
※イラストも一緒に掲示する。
1 場面①の活動
(場面①を提示する)この絵を見てください。
子供たちが遊んでいるよ。
7人の子がドッジボールしている。6人の子が遊びに来たみたい。
この絵を基に、算数の問題をつくってみましょう。
C1 7人の子がドッジボールをしています。そこへ6人やってきました。合わせて何人ですか。
C2 校庭に、男の子が6人と女の子が7人がいます。合わせて何人ですか。
※場面絵からいろいろな問題を考えさせる。
いろいろな問題が考えられましたね。では、C1さんが考えた問題を考えましょう。
しゅんさんたちは 7人で ドッジボールを して あそんで いました。そこへ ともだちが 6人 きました。あわせて なん人に なりましたか。
問題①は何算になりますか。
たし算だと思います。
「合わせて何人になったか」だから、たし算です。
式は7+6だと思います。
では、たし算になるわけを、ブロックや図を使って説明してみましょう。
たし算になるわけを考えよう。
見通し
算数ブロックを使って説明してみよう。
図を使って説明してみよう。
自力解決の様子
A つまずいている子
- 演算決定ができない。
- たし算であることは分かるものの、ブロック操作や図の作成がうまくできない。
B 素朴に解いている子
- ブロック操作や図で表現して、演算決定をしている。
〇〇〇〇〇〇〇←〇〇〇〇〇〇
式 7+6=13
答え 13人
C ねらい通り解いている子
- ブロック操作や図を書いて演算決定をし、その理由を言葉で説明することができている。
〇〇〇〇〇〇〇←〇〇〇〇〇〇
式 7+6=13
答え 13人
理由 7+6になるわけは、はじめに7人、後から6人やってきて増えるからです。
2 場面②の活動
では、場面②ではどうでしょうか。(場面②を提示する)どのような問題になりますか。
C3 メロンが12個あります。すいかが8個あります。合わせて何個でしょう。
問題①と同じように「合わせて」という問題ですね。
C4 メロンが12個あります。すいかが8個あります。どちらが多いでしょう。
「どちらが多いか」なら、数えれば分かるよね。メロンはいくつ多いでしょうか、がよいと思います。
C5 メロンが12個あります。すいかが8個あります。違いは何個でしょう。
C4さんもC5さんも、メロンとすいかの数の違いを問題にしているんですね。では、場面②を問題にして解いてみましょう。
メロンが 12こ、すいかが 8こ あります。ちがいは いくつですか。
問題②は何算になりますか。
ひき算だと思います。
「違いはいくつ」だからひき算です。
式は12-8だと思います。
では、ひき算になるわけを、ブロックや図を使って説明してみましょう。
ひき算になるわけを考えよう。
見通し
算数ブロックを使って説明してみよう。
図を使って説明してみよう。
自力解決の様子
A つまずいている子
- 演算決定ができない。
- ひき算であることは分かるものの、ブロック操作や図の作成がうまくできない。
B 素朴に解いている子
- ブロック操作や図で表現して、演算決定をしている。
C ねらい通り解いている子
- ブロック操作や図を書いて演算決定をし、その理由を言葉で説明することができている。
学び合いの計画
子供たちは、今までひき算とたし算を学習してきており、「合わせて」「全部で」「残りは」という言葉(キーワード)を根拠に、たし算やひき算だと判断していることが多いです。
しかし、演算決定をする際には言葉だけではなく、場面の全体構成を図や絵に表して関連付けて立式することが必要となります。
今まで、たし算とひき算の意味理解を図ることがねらいであったため、問題が混合していることがありませんでした。また、それぞれの単元では、計算のしかたを考えてきており、その問題場面がたし算とひき算のどちらになるかの根拠を明確にする機会があまりありませんでした。
そのため、日常場面を用いて子供と問題をつくっていく活動を行います。その後、演算決定の根拠を、ブロックや図、言葉などで表現することを通して、説明するようにさせます。
このような活動を通して、与えられたキーワードを根拠にするのではなく、場面から子供自らがキーワードを用いて問題を設定することにより、たし算、ひき算の意味理解を深めるようにすることが必要です。
なお、本時では場面①と場面②を分けて提示します。
場面①では、場面から問題をつくることについて確認することがねらいの一つです。子供の数を「合わせる」ということを明確にし、たし算の場面であることに気付かせたのち、演算決定の根拠を半具体物や図などを使って説明できるようにします。
また、場面②では場面①の活動を基に、たし算やひき算の問題をつくる活動をさせたのち、場面①にはなかったひき算の問題を取り上げます。
求差の問題を通して、ひき算になる根拠を二つの数のブロックや図を用いて、1対1対応したときに残る部分を求めていることが明確になるように、子供と対話をしながら確認するようにしましょう。
場面を見てから問題づくりをすることによって、子供たちからさまざまな言葉(キーワード)を引き出すことができます。また、与えられる問題よりも、主体的に子供たちが解決しようとする意欲が生まれることも期待できます。
このような活動を通して、算数のよさや楽しさを感じながら学んでいくように配慮することが大切です。
ノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け
問題①がたし算になるわけを説明してください。
私は算数ブロックを使いました。はじめに遊んでいた7人の子を黄色に、あとから来た6人の子を白にして、たし算をすると、みんなで何人かを求められると思います。

僕は図を使って考えました。はじめに7人いて、後から6人やってきて、子供の数が増えたので、たし算にしました。

式と答えはどうなりますか。
式は7+6=13、答えは13人です。
なるほど。ブロックや図を使うと「合わせて」を求めるのに、たし算を使うことがよく分かりますね。
※メロンとすいかの違いを求める問題を解決した後
それでは、問題②がひき算になるわけを説明してください。
「違いは」と言っているからひき算で、式は12-8になると思います。
私は、ブロックを使って考えました。メロンが12個あって、すいかが8個だから、メロンとすいかを比べると、式が12-8になって、違いは4個になります。


僕は図を使いました。メロンが12個、すいかが8個あります。メロンとすいかをペアにすると、違いが4になりました。12-8で答えを出しました。

式と答えはどうなりますか。
式は12-8=4。答えは4個です。
なるほど。問題②も、ブロックや図を使うと「違いは」を求めるのに、ひき算を使うことがよく分かりますね。
たし算の式になるか、ひき算の式になるかは、ブロックや図を使うとよく分かる。
評価問題
「12-5」に なる もんだいと ずを えらびましょう。
もんだい①
12人で なわとびを しています。5人 ともだちが やってきました。みんなで なん人に なりましたか。
もんだい②
なわとびを している 人が 12人 います。いちりんしゃを している 人が 5人 います。どちらが なん人 おおいですか。
もんだい③
ジャングルジムで あそんでいる 人が 12人 います。てつぼうに 5人 います。ぜんぶで なん人 ですか。

子供に期待する解答の具体例
12-5になるのは、問題②です。わけは、図㋑のような図になるからです。問題①と③は、12+5です。わけは、図㋐のような図になるからです。
感想例
- たし算になるか、ひき算になるかは、ブロックや図に表して考えると分かりやすかったです。
- ほかの場面でも問題をつくってやってみたい。
イラスト/横井智美、やひろきよみ
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