小1算数「たしざん」(2)指導アイデア
執筆/福岡県那珂川市立岩戸小学校教諭・赤松 達也
編集委員/国立教育政策研究所 教育課程調査官・笠井 健一、福岡教育大学教授 清水 紀宏
目次
本時のねらいと評価規準
(本時の位置 3/ 10)
本時のねらい
10 のまとまりに着目し、繰り上がりのある加法の計算の仕方を筋道立て説明することができる。
評価規準
与えられた問題の数値と具体物の操作を関連付けて、被加数の補数を見いだし、それに合わせて加数を分解することを筋道立て説明することができる(数学的な考え方)。
問題場面

7+8の答えは、もう出ているかな。
まだだと思います。
ことねさんは、ブロックを使って何をつくろうとしているのかな。
10 のかたまりを、つくっていると思います。
みなさんも、これまでの学習で10のかたまりをつくって、たし算の計算を考えてきましたね。ことねさんが、どのように考えているのか説明できるかな。
本時の学習のねらい
ことねさんが、7+8をどのようにもとめているかかんがえて、せつめいしよう。
見通し
・10 のまとまり
・あといくつで、10 になるか。
・数を分ける。
これまでの学習で、気を付けたことは何でしたか。
10 のまとまりをつくることです。
あといくつで、10 になるかを考えるといい。
前の数でも、うしろの数でも10 をつくれます。
では、ことねさんがどのように10 のまとまりをつくって計算しているか、考えてみましょう。
自力解決の様子
A:つまずいている
ことねさんのブロック操作の意味を、理解することができない。
B:素朴に解いている子
ことねさんのブロック操作の意味を理解し、「7と3 で10、10 と5 で15」のように説明することができる。
C:ねらい通りに解いている子
「ことねさんは7を見て、あと3で10 だから、8を3と5に分けて、3を7に合わせています」のように、8を3と5に分ける根拠を説明することができる。
自力解決と学び合いのポイント
Aの子供に対しては、「7+8」の7と8が、ことねさんのブロック操作のどれに対応するかを考えさせ、「7はそのままで、8が分解されていること」を確認します。既習であることを示唆しながら、7と合わせて10 のまとまりをつくるために、8をいくつといくつに分けたらよいかということを、ブロックを用いた活動を通して考えさせましょう。
Bの子供に対しては、ことねさんのブロック操作の根拠をより明確化するために、「ことねさんはなぜ、3つを動かしたのかな」などと尋ねて、「あと3で10 になること」を根拠に、「10 をつくるために8を3と5に分ける」といった、根拠に基づいた説明ができるようにしていきましょう。
ノート例

では、ことねさんはどのように考えているのか、説明しましょう
10 のまとまりをつくっています。 10 と5で15 です。
もっとくわしく言えます。8を3と5に分けて、7と3で10 をつくっています。
なぜ、8を3と5に分けたのかな。
7は、あと3で10 になるからです。
今までの考えを、続けて言えるかな。
(以下、略)
「10 のまとまりをつくること」や「一方の数に合わせて、他方の数を分けること」を、ことねさんの図と比べながら説明させていきます。説明がよりよいものになっていくように、AやBの考え方の子供たちから発表させ、最終的には8を3と5に分けた根拠を丁寧に扱い、理解につなげましょう。
本時のまとめ
あといくつで10 になるかわかれば、けいさんのやりかたをせつめいできます。
評価問題
6+7の絵を提示し、計算の仕方を説明させる。
期待する子供の姿
6はあと4で10 だから、7を4と3に分けます。
6と4で10、10 と3で13 になります。
子供の感想例
あといくつで10 になるかをかんがえればよい。
ワンポイントアドバイス
福岡教育大学教授 清水 紀宏
この授業は、ことねさんが計算している途中の図を示し、ことねさんの計算の仕方を考えさせるものです。途中の図を見て、最初に何をしたのかを考えていくことは難しいかもしれませんが、その場合は、与えられた問題が「7+8」であり、7はそのままであることを、まずは把握させる必要があります。それまでの学習でも、子供たちは10 のまとまりに着目し、被加数や加数を分解し、その根拠についてもその都度考え、説明してきていると思われます。
本時では、「他者の計算の仕方を考えさせる」という活動を通して、一方の数と合わせて10 をつくるために、もう一方の数を分解しているという、本単元全体に流れる考え方を、根拠を基に、言葉、図、具体的操作で説明させることで、その理解の深まりをねらったものと言えます。
イラスト/佐藤雅枝 横井智美
『小一教育技術』2018年11月号より