自学する力を高めていける「調べ学習」とは⁉ ~5年生社会科を例に~

コロナ等による突然の学級閉鎖や長期欠席にも負けない、個人で学習を進めることができる力を育成することを目的とした調べ学習を、5年生の社会科「あたたかい土地のくらし−沖縄県−」の単元を例に紹介します。
単元の1時間目は全体で学習計画と学習問題作成、2時間目以降は教科書や資料集、本、一人一台端末などを活用しながら、一人でまたは友達と進めていきます。
執筆/宮城県公立小学校教諭・齋藤浩平
目次
どんな子供の姿をイメージするか
「へ〜! 何でだろう」(動画や資料から疑問を見付けるとき)
「これは調べた方がいいから、早く調べ終わったらそっちを調べた方がいいと思います」(学級全体で学習計画を立てるとき)
「なるほど!」「ここってどういうこと?」(個人学習をしているとき)
これらは、現在の私の教室で、学習中に当たり前に聞こえるようになった言葉です。
「自ら学ぶ姿」、「困ったときには教え合う姿」。シンプルですが、初任のときの私は、このように子供が主役となって学習を進める姿をイメージしていました(現在もこのイメージは大切に持ち続けています)。しかし、その後何年かは何をすればよいのか全く分からず、イメージに現実が近付くことはありませんでした。当然私の教室には、このような子供の姿からかけ離れたものしかありませんでした。
子供に委ねる学習との出会い
沈黙が嫌だから私が必死に喋る、数人の子供ばかりが発言してそれをなんとなく黒板に書く、理解していなさそうなときには何度も説明する、授業の終わりに無理やりまとめる…。
私は高学年を担任することがほとんどで、教員人生の約3分の2は5年生担任で占めています。初任で5年生を担任したときは教科書を最後まで終わらせることに必死で、1年間を終えて自分自身の指導を振り返ったときには、その後に残せる財産がほとんどなかったことに焦ったのを今でも覚えています。授業は教師が主導権を握っていて指示通りにやらせること、子供が知りたいことや調べたいことは二の次で教科書通りに進めることが大切だと思っていました。
そのような私でしたが、ある研究会で先輩教師が行った社会科の発表によって大きな衝撃を受けることになります。私とは180度異なる指導、つまり子供に委ねる学習をしていたのです。私は子供を信じることができていなかったのです。すぐにその先輩教師のところに行ってノウハウを聞き、自分の社会科の授業に反映させました。これまでと全く違う学習に子供たちは始め戸惑っていましたが、すぐに前のめりに学んでいきました。初めて手応えを感じ、後々に残せるものができた瞬間でした。
そして、コロナ禍となって登校できない状況になってしまったときに、その学習が真の力を発揮しました。教師がいなくても、学習の場が変わっても、子供たちは自分で学び続けたのです。