小2算数「九九をつくろう」指導アイデア(12/17時)《九九を超える計算のしかたを考える》

執筆/神奈川県公立小学校教諭・三上顕
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、島根県立大学教授・齊藤一弥

本時のねらいと評価規準

本時12/17時 計算の性質やきまりの活用~九九を超える計算

ねらい

乗法の性質を用いて、簡単な場合の2位数と1位数の乗法のより簡便な計算のしかたを考え、説明することができる。

評価規準

乗法の性質を活用して九九を超える計算のしかたを考え、説明している。

もんだい
これまでに学習してきたわざをつかって、3×12 の計算のしかたを考えて、せつめいしよう。

前の時間までに九九をすべて勉強して、九九表に整理しましたね。すると、〇×10 や10×〇も答えを求められましたね。
答えを求めるときにはどんな技を使いましたか。

分ける技を使いました。

前の答えにかけられる数をたす技。

〇ずつ増える技。

今まで学習した技には、逆の技もありましたね。これまでの技を使ったら、ほかにもできそうなことはありますか。

もっと数が大きくなってもできそうです。

九九より大きいものはできないよ。

九九表をさらに広げてみましょう。例えば、3×12 はできますか。

え~、無理です。いきなりは無理。

3を12回たせばできそう。がんばればできるけどめんどくさいよ。

これまで使った技を使えば九九を超えるかけ算もできそうですね。答えを出すだけじゃなくて、どんな技を使ったら計算できるか考えて、説明してみましょう。

学習のねらい

これまで学習したことを使って九九を超える計算のしかたを考えよう。

見通し

〇の段をつくったときみたいに、九九を使って分ければできそう。[方法の見通し]

逆の技はうまくいかなそうだな。[方法の見通し]

3を12回たしたら36だから、答えは36になりそうだね。[結果の見通し]

自力解決の様子

A つまずいている子

どの技を使ってよいか分からずに困っている。


B 素朴に解いている子

同数累加で答えを求めている。


C ねらい通りに解いている子

これまで学習したどんな技が使えるか考え、説明している。

学び合いの計画

乗法について成り立つ性質を活用すれば、九九を超える計算ができるというように、発展を描くことができたり、計算が簡単になったりする、そのような数学のよさに気付かせましょう。

性質を活用して答えを求められることをゴールとするのではなく、性質を活用して答えを求めた結果や過程をふり返ってそれら同士を比較し、より簡便な方法とそれを可能にするアイデアについて検討することが必要です。

そのために、活用した性質と答えを確認した後、分ける技に着目し、より簡便な解決方法について新たに問いを設定します。

10といくつというように、位で分けて 〇×10 や10×〇 の計算を用いると答えを簡単に求められることに気付かせましょう。これは、三年生の乗法を考える際の重要な経験となりうるので、次の学年に学びを開くうえでも大切にしたいと考えます。

ノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

C1

前の数にかけられる数をたす技を使いました。
3×9+3+3+3で、答えは36になりました。

C2

分ける技を使いました。
3×9=27
3×3=9 なので、
27+9で答えは36になりました。

C3

分ける技を使いました。
3×10=30
3×2=6 なので、
30+6で答えは36になりました。

※C1、C2、C3の順番で発表を行う。

3人の発表を聞いて、同じところはありますか。

C2さんとC3さんは、分ける技だから同じです。

ほかの数でも分けられそうです。

C1さんとC2さんも同じだよ。3+3+3 は3×3と同じだから、使っているかけ算は同じだよ。

そうか、式にすると同じなんだね。

3つの考えを比べてみて、どの考えが計算しやすいですか。

私はC3さんの考えがやりやすいと思います。簡単だからです。

どんなところが簡単ですか。

だって、3×10 はすぐに30って分かるし、3×2も数が小さいから簡単に答えが出ます。

3×9などを使った考えとの違いはなんですか。

位に分けています。

10のまとまりのところで分けています。10のかけ算です。

では、逆の技を使って、12×3にしたら、どのように答えを求めたいですか。

12+12+12 で答えを出します。たし算だけで3回ですむから簡単です。

私はC3さんの考えを使いたいな。10×3 はすぐに30って答えが出るし、2×3も6ってすぐに答えが出るから便利です。

どうして10の計算は答えがすぐに分かるんでしょう。ここではどんなかけ算を使っていますか。

1×3です。1の段だから簡単に答えが出ます。そのままの数で計算がいりません。

1×3と2×3だけで答えが出るね。

たし算も1回で済むね。3回たすのもいいけど、こっちのほうが簡単に思えてきた。

10のかけ算を使って位に分けると、計算が簡単で便利だね。

本時のまとめ

評価問題

12×4の計算のしかたを考えて、せつめいしよう。

子供に期待する解答の具体例

12を位で分けて、10と2と見ます。
10×4=40
2×4=8 なので、
40と8を足して48になります。

本時の評価規準を達成した子供の具体の姿

位で分け、10のかけ算を活用して簡便に答えを求め、説明している。

感想例

たし算が簡単だと思っていたけれど、位に分けて10のかけ算を使って計算すると、簡単に答えが求められたのでびっくりしました。もっと大きい数も調べたいです。


イラスト/松島りつこ、横井智美

『教育技術 小一小二』2021年10/11月号より

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