小3算数「小数②」指導アイデア《身の回りにある小数で表される量》

特集
【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
小3算数「小数②」指導アイデア

執筆/神奈川県横浜市立飯島小学校教諭・黒澤震哉
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、島根県立大学教授・齊藤一弥

小三算数 年間指導計画

単元の展開

第1・2・3時 数の仕組みに着目して、端数部分の水のかさや長さの表し方を考える。

第4時 1目盛りの大きさに着目して、小数を数直線に表す方法を考える。

第5・6時 数の仕組みや構成に着目して、小数の位やその数字の意味、大小関係を考える。

第7・8・9時 小数の表し方と仕組みに着目して、小数の加法及び減法、筆算の計算方法を考える。

第10時 小数の仕組みや数の構成に着目して、小数の多様な見方や表し方を考える。

第11(本時)・12時 学習内容の生活への活用、数学的な見方・考え方のふり返り。

本時のねらい

身の回りにある小数で表された量へ目を向け、それらの表す量について考える。

評価規準

基準量となる1を10等分した量に着目して、小数で表された時間の意味について考え、説明している。

本時の展開



食べ放題のお店で、Ⓐ1時間30分で3000円のお店と、Ⓑ1.5時間で3000円のお店があります。どちらのお店がおとくでしょうか。

Ⓐのお店とⒷのお店は、どちらのお店がお得でしょうか。

1.5時間なんてあるのかな。

どっちも変わらないんじゃないかな。

1.5時間って、聞いたことありますか。

ありません。

2.5時間とかなら聞いたことがあります。

1.5時間とは、どんな数ですか。

1時間と0.5です。

1時間よりは長くて、2時間よりは短い。

15時間のことかな。

15時間で3000円はおかしい。

1時間50分のことだよ。

60と0.5だから、65分のことだよ。

1時間と0.5ということが分かっているんだから、1時間はそのまま60分で、0.5のことだけ分かればいいと思う。

では、0.5時間がどれくらいの時間なのか、みんなで考えてみましょう。



60分を基準量の1と見て、1を10等分した量に着目して、小数で表された時間の意味について考え、説明している。

見通し

0.5は1の半分なんだから、0.5時間は1時間(60分)の半分と考えればいいよ。(方法の見通し)

ジュースのときは、1Lを10等分して考えたから、同じように1時間=60分を10等分して、その5つ分と考えれば求められそうだよ。(方法の見通し)

1.5は1と0.5だから、1時間よりは長くて、2時間よりは短い時間になるよ。(結果の見通し)

自力解決の様子

A つまずいている子

基準量に着目することができずに、0.5が何を意味しているかが分からない。5分、25分、50分(時計の読みから、1目盛りを5分と考えている)と考えたりしている。

小三算数イラスト
小三算数図1

時計の針が5分ごとに目盛りが振ってあることから、また、これまで十進構造でしか小数を捉えてきていないことから、0.1を5分と考える。
0.1時間 5分
0.5時間 5×5=25(分)

でも、1時間が50分になるのはおかしい!


B 素朴に解いている子

0.5が1の半分であることから、60分の半分と考え、0.5時間は30分と解決している。


C ねらい通り解いている子

数直線を基に1時間を60分と見て、それを10等分した0.1が6分であることから、6×5=30(分)と考えている。

小三算数図2

【式】
0.1は1を10等分したものであることから0.1時間 60÷10=6(分)
0.5は0.1の5つ分であることから0.5時間 6×5=30(分)

学び合いの計画

0.5が1の半分であることから、0.5時間は60分の半分で30分であることを共有するとともに、数直線を示しながら、0.5時間に迫っていきます。

本時までの既習である長さや液量と比較しながら、1時間を数直線上に表し目盛りを振ることで、0.1時間が6分であることを理解できるようにします。その際、1時間が60分であるということをていねいに確認するためにも、数直線を60等分します。

そのように見ていくなかで、「60の半分(0.5)は30」「0.1時間は60÷10=6(分)。0.5時間は6×5=30分」と見られるようにしていきます。

ノート例

A つまずいている子

素朴に考えている子のノート例

C ねらい通りに解いている子

ねらい通りに解いている子のノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

C1
0.5は1の半分なので、60分の半分で30分のことです。


C2
0.5は0.1の5つ分です。0.1は1を10等分したものなので、60÷10=6(分)となり、6×5=30(分)となります。


C3
(数直線を使って)これまでと同じように、1時間を10等分すると、0.1時間は6分なので、6×5=30(分)です。


時計の針は1が5で、2が10みたいに5分ずつ進むから、5×5=25(分)と考えたんだけれど、違うのかな。

だって、0.5は1の半分でしょ。だから、60分の半分で、30分になるはずだよ。

0.1時間を5分と考えた人もいますが、0.1時間について説明できる人はいますか。

(目盛りが60入った数直線を使って)1時間は60分ということは分かるよね? それで、0.5は1の半分だから、60分の半分の30分になります。0.1時間が時計と同じように5分でないのは、時計の針は12まであるのに、今は1時間を10等分しかしていないからだよ。60÷10=6なので、0.1時間は6分になります。(数直線と説明とを関連付けながら)0.5時間は0.1時間の5つ分なので、6×5=30(分)になります。

(数直線と関連させながら)もし0.1時間が5分なら、5×10=50で、1時間が50分になるから、やっぱりおかしいね。

「0.1Lは1dL」ということは、どちらも「1」があるし分かりやすかったけど、今日の「0.5時間は30分」というのは、0.5の5がなくなっちゃって分かりづらいね。

1時間が60分だから、もとの数が変わると、0.1も変わるんだね。



今日は、1時間を60分として考えました。1時間を10等分するのではなく、60分を10等分すると、0.1時間は6分となりました。何をもとにして10等分するかで、0.1が表す量が変わることが分かりました。

評価問題

0.4時間は何分ですか。

子供に期待する解答の具体例

0.4は0.1の4つ分なので、6×4=24(分)です。

本時の評価基準を達成した子供の具体の姿

1の半分である0.5時間を求められるだけでなく、基準量となる1(60分)を10等分した量に着目して、小数で表された時間の意味について考え、説明している。

感想

0.5時間が30分、0.4時間が24分と表せることに驚きました。同じように考えると、1か月は30日なので、0.5か月は15日と表せそうです。ほかにも、小数を使って表せるものがあるか考えてみたいです。

1人1台端末活用ポイント

本時では、数直線を基に、基準量である1を60分と見て、0.1や0.5に当たる量を求めました。さらに発展的に考察していくと、「1か月は30日だから……」「1kmは1000mだから……」と、自ら1と見る数を変えて学び進む姿が期待できます。

その際、1人1台端末を活用すると、数直線と式、数直線と説明の言葉を結び付け、「何を1と見ているのか」「0.1が表す量はいくつか」を可視化したり、より多くの考えに触れたりすることができます。

考えを伝えやすくしたり、相互に関連付けることで共通点を見付けたりするためのツールとして、積極的に活用していきましょう。

イラスト/横井智美

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