小1算数「たし算」指導アイデア(8/10時)《計算カードの並び方の関数的な見方》

執筆/埼玉県入間市立扇小学校教諭・飛澤良太
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫

目次
単元の展開
第1時 「10といくつ」という数の見方に着目し、9+4の計算のしかたを考える。
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第2時 被加数が9の場合の計算のしかたを考える。
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第3時 「10といくつ」という数の見方に着目し、被加数が8や7の場合の計算のしかたを考える。
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第4時 被加数が9から6の場合の加法の計算練習、文章問題
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第5時 「10といくつ」という数の見方に着目し、3+9の計算のしかたを考える。
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第6時 1位数どうしの繰り上がりのある加法の計算練習、文章問題
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第7時 計算カードを使って1位数どうしの繰り上がりのある加法の計算の練習
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第8時(本時)計算カードの並び方について、関数的な見方を考える。
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第9時 1位数どうしの繰り上がりのある加法の問題づくり
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第10時 学習内容の習熟・定着
本時のねらい
同じ答えになる加法の式から、きまりを見付ける。
評価規準
同じ答えになる加法の式から、被加数が1増えると加数が1減るという関数的な見方に気付き、数の関係を説明している。
本時の展開
計算カードを使って、たし算の練習をしましょう。(8+4の計算カードを見せて)答えはいくつになりますか。
12です。
(3+9の計算カードを見せて)答えはいくつになりますか。
これも12です。
式は違うけど、答えは同じ12ですね。ほかにも答えが12になるたし算の式はありますか。計算カードのなかから探してみましょう。
ほかにも こたえが 12に なる たしざんの しきを さがしましょう。
あります。7+5=12です。
6+6も12です。
※9+3、5+7、4+8、3+9をすべて見付ける。
答えが12になる式が7つありましたね。今日は、答えが同じになるたし算のきまりを考えましょう。
答えが同じになるたし算の式のきまりを見付けよう。
見通し
どのようにしたら、きまりが見付けられるでしょうか。
足される数を小さい順に並べると分かるんじゃないかな。
同じ数のペアになっているたし算を集めると分かるんじゃない。
足す数を小さい順に並べたらどうかな。
自力解決の様子
A つまずいている子
- 計算カードを順序よく並べ替えることができない。
- 計算カードを順序よく並べ替えても、関係に気付くことができない。
B 素朴に解いている子
- 計算カードを順序よく並べ替え、加数や被加数が増えたり、減ったりしていることを説明することができる。
C ねらい通り解いている子
- 計算カードを順序よく並べ替え、被加数が1増えると加数が1減る(被加数が1減ると加数が1増える)関係を説明することができる。
学び合いの計画
自力解決では、順序よく並べ替えた計算カードの式に着目することにより、「前の数(足される数)が大きくなると後ろの数(足す数)が小さくなっていく」ことに気付いたり、「前の数が1増えると後ろの数が1減る」という関係を説明できたりするようにします。
比較検討の際には、「9+3の後に続く式があるのでしょうか」と問うことにより、関係を基に、計算カードにはない「10+2」や「11+1」など、答えが12になる式がほかにもあることに気が付くようにします。
一方、自力解決の際に計算カードを順序よく並べ替えることができない子供や、並べ替えても関係を見いだせない子供には、教師から「足される数を順番に並べてみましょう」など、被加数のみに着目するよう声をかけ、関係を見いだす際には、どちらか一方の数を順序よく並べ替える大切さに気付かせていきます。
また、「足される数が3、4、5、6、7……となっている」と数が並んでいることのみに気が付いている子供には、被加数が1ずつ増えていることに気が付かせ、そのとき、加数はどのように変化しているかを問うことにより、被加数と加数の関係を見いだせるようにします。
ここでは、関数的な見方の素地を養うことも目的としているため、「足される数と足す数」や「前の数と後ろの数」といった2量の関係を意識した言葉がけを行うようにします。さらに、答えが13になるたし算でも同様にきまりが使えるかを考えさせることで、一般化を図るようにします。
ノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け
答えが12になるたし算の式のきまりが見付かりましたか。
私は、計算カードを並べ替えてみました。3+9、4+8、5+7、6+6、7+5、8+4、9+3の順番です。
では、どのようなきまりが見付かりましたか。
たし算の前の数が3、4、5、6……と順番に並んでいます。
たし算の前の数の増え方は、どうですか。
たし算の前の数は1ずつ増えています。
そうですね。では、後ろの数はどうでしょう。
たし算の後ろの数は1ずつ減っています。
なるほど、どんなきまりと言えるでしょう。
前の数は1ずつ増えて、後ろの数は1ずつ減っています。
きまりが見付かりましたね。では、9+3の次にも、答えが12になる式はあるのでしょうか。
前の数の9が10になって、後ろの数の3が2になるので、「10+2」です。
その次は、「11+1」になると思います。
それだったら、3+9の前にも、「2+10」と「1+11」があるんじゃないかな。
すごいですね。きまりを使って、計算カードにない式も見付けることができましたね。答えが12ではないときでも、このきまりは使えそうですか。
使えそうです。
それでは、答えが13になるたし算の式を探して、きまりが使えるか考えてみましょう。
※答えが13になる計算カードを順に並べる。
答えが13になるたし算の式でも、前の数が1増えると後ろの数は1小さくなっていました。
13でも、前の数が1増えると後ろの数は1小さくなるというきまりが使えましたね。
答えが同じになるたし算の式は、前の数が1増えると後ろの数は1小さくなる。
評価問題
こたえが 11に なるように しきを かきましょう。どのような きまりか いいましょう。
0+11=11
1+10=11
2+9=11
□+□=11
□+□=11
5+6=11
□+□=11
□+□=11
□+□=11
9+2=11
10+1=11
子供に期待する解答の具体例
0+11=11
1+10=11
2+9=11
3+8=11
4+7=11
5+6=11
6+5=11
7+4=11
8+3=11
9+2=11
10+1=11
11+0=11
前の数が1増えると、後ろの数が1減っている。
感想例
- 数を順番に並べると、きまりが見付かることが分かりました。
- きまりを使うと、同じ答えになるたし算が見付かることが分かりました。
- ひき算にもきまりがあるのか、調べてみたい。
イラスト/横井智美
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