授業力を高めたい!② 一年間の見通しと計画を立てる|樋口綾香のすてきやん通信

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板書や指導のコツを伝授!樋口綾香の「すてきやん通信」

大阪府公立小学校教諭

樋口綾香

Instagramでは2万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生による人気連載! シリーズ「授業力を高めたい!」では、研究の仕方が分からなかったり一人では不安だったりする先生に向けて、授業力を高めるための手段や考え方についてお伝えしていきます。今回のテーマは、「一年の見通し」です。

執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香

イラストAC

研究教科と研究テーマ

前回のテーマは、「研究教科(領域)をもとう」でした。

好きな教科や苦手な教科、勤務校の研究教科など、その教科に決める理由はさまざまだと思いますが、年間を通じて研究していきたい教科を決めることはできましたか。

また、より具体的に授業づくりに向き合うために、個人の研究テーマは決められたでしょうか。

ちなみに、過去の私の研究テーマは以下の通りです。

〈研究教科〉国語
〈個人研究テーマ〉構造的板書によって子供の気づきを引き出すことができるか。

研究教科と、研究テーマが決まれば、次は、一年間の見通しを立てます。

年間行事予定を手元に広げてみてください。

一年間の見通しと計画

①個人研究テーマのために、自分ができることを具体的に考える

私の場合を例に挙げてみます。

〈研究テーマのためにできること〉

  • 教材分析力をつけて、教材のおもしろさを見出す。
  • 国語の教育書や指導書を読む。
  • 教材を構造的に捉えられる力をつける。
  • シンキングツールに関する知識を増やし、子どもが適切に用いられるようにする。
  • 教材の構造と、シンキングツールを組み合わせて、児童の思考が深まる使い方を検討する。
  • 毎日板書の写真を撮ってリフレクションをする。

メリット
今の自分にできることを具体的に考えることによって、その瞬間から授業力を上げるための考え方ができるようになる。

どんな方法が効果的か分からない場合は、周りの先生や管理職に相談して、アドバイスをもらうとよいでしょう。

②各学期に1本、指導案(略案)を書いて、授業を行う予定を立てる

メリット
自分の成長も、子どもの成長も見えやすく、積み上げを意識して、一年間の授業の見通しをもつことができる。

指導案(略案)を書くためには、自分の考えをクリアにしなければいけません。発問はこれでよいか、ワークシートかノートのどちらがよいか、子どもの振り返りには、どんなことが書いてあることを期待するか。このような細かい部分にも意図をもって、授業をつくります。

そうすれば、活動のときの子どもの様子を見て、「うまくいったのは○○があったから」「うまくいかなかったのは△△が悪かったから」というように、子どもたちの学習の様子は、「偶然」ではなく「必然」としてリフレクションできます。

③授業につながりが生まれるように工夫する

  • 同じ領域の単元で授業をする。
  • 統一した見方・考え方を働かせた授業を提案する。 等

メリット
つながりがある授業をつくると、子どもたちの成長がよく見えるようになる。

例えば、国語の場合、「書くこと」の単元で研究授業を計画したとします。

すると、少しずつ筆者の書き方の工夫に気づく児童が増えてきたり、説明文を書くときの文字数が増えたり、構成を意識して書いたり話したりできる児童が育っていくのを実感することができます。

私も今年3本の研究授業を予定しています。1本目は、「カレーライス」、2本目は「たずねびと」、3本目は「大造じいさんとガン」です。

この3本の授業を通して、

  • 物語教材を読むときに、問いをもったり、自分と重ねたりして豊かな初発の感想をもてる子ども
  • その問いや他者との感じ方の違いから、より深く物語を読み、対話を通して自分の考えを拡げたり深めたりしたことを表現できる子ども

を育てていきたいと考えています。

みなさんも、年間行事予定を広げて、一年間の見通しと計画を立ててみてください。

次回は、授業力を高めるための「指導案の書き方」についてお伝えします。

樋口綾香教諭

樋口 綾香

ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書出版)ほか。編著・共著多数。

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