小4国語「一つの花」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」京都女子大学附属小学校特命副校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「一つの花」です。小4の板書は、子供の思考過程を整理していきます。対比を捉えやすくするはたらきをもつ2段、3段の板書にチャレンジしてみましょう。

監修/元京都女子大学教授・同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/春日部市立武里南小学校教諭・小澤綾華(せせらぎの会)

 

単元名 場面の様子をくらべて読み、感想を書こう
教材名 「一つの花」(光村図書4年)

単元の計画(全8時間)

第一次 単元のめあてを確認し、学習の見通しをもつ(1 時間)
1 リード文を基に、学習計画を立て、初発の感想を書く。
※初発の感想から出た子供の疑問を短冊に書き、学習のめあてにつなげる。

第二次  場面の様子を比べて読み、題名に込められた作者の思いを考える(5時間)
2 設定(時・場・人物)を確かめ、1場面のゆみ子と母親の様子を想像する。
3 会話文からゆみ子に対する両親の気持ちを考える。(2場面前半)
4 ゆみ子にコスモスの花を渡して戦争に行った父の思いを考える。(2場面後半)
5 3場面に「一つだけ」が出てこない理由を考える。(戦争中と十年後を比べて読む)
6 題名「一つの花」に込めた作者の思いを考える。

第三次 感想を書き、学習のまとめをする(2時間)
7 考えが変わったところを中心に感想を書く。
8 感想を交流し、互いの考えや感じ方の違いを伝え合う。
  

板書の基本

○色チョークを効果的に使い、学習内容を振り返ることができる板書

本文は白チョークで書き、叙述を基に考えた子供の発言を黄色チョークで色分けして板書します(子供が板書をノートに視写する際は、白チョークは黒鉛筆で、黄色チョークは青鉛筆で書く約束をしておく)。

子供の発言はできるだけ板書に取り入れるようにします。そして、子供の考えと根拠となる叙述とが結び付くように、わかりやすく線を引いたり囲んだりします。ポイントとなる語や文は、大事なこととして赤チョークを用いて強調し、学習を振り返る際に生かすことができるようにします。

○対比を捉えやすくするため上下(2段や3段)に分ける板書

対比的な場面が描かれている物語においては、黒板を上下(2段や3段)に分けて整理することで、内容が視覚的に比べやすくなります。また、着目する観点をカードにすることで、よりわかりやすくなります。

本教材においては、「にぎやかな見送りと静かな見送り」や「戦争中と十年後」「一輪のコスモスといっぱいのコスモス」など、対比的な表現に着目しながら想像豊かに読んでいけるようにします。

板書を活用した授業の進め方(4/8時間目)

板書1
4/8時間目の板書

1 めあてを決める。

初発の感想に書かれていた疑問点の1つ「お父さんはなぜ、ゆみ子にコスモスをわたしたのだろう。」を黒板に貼ります(教室に掲示しておいた短冊)。それを基に、本時のめあてを話し合って決め、板書します。

2 めあてに沿って2場面後半を読む。

めあてを声に出して読ませ、本時の進め方を確かめてから、2場面後半(教科書P72~73)を音読させます。その際、「ほかの人たち」と「ゆみ子の家族」の見送り方に着目させるため、それぞれの様子が書かれている叙述を見つけ、本文に線を引きながら読ませます。

3 ゆみ子の家族およびほかの人たちの見送りの様子を捉える。

見送りの様子を上下に分けて比べやすくするために、上段には「ほかの人たち」、下段には「ゆみ子の家族」と板書します。子供たちが線を引いたところを発表させ、白チョークで整理しながら板書します。対比が一目でわかるよう、同じ項目をそろえて書いたり、矢印でつないだりします。

また、対比的な描写は、赤チョークで波線を引いたり、本文から読み取ったことを書き足したりしていきます。それぞれの見送りの様子を想像して発表させ、子供の発言を黄色チョークで板書します。

4 コスモスとゆみ子たち家族の見送りの様子が似ていることに気付く。

コスモスの描写を書き抜いたシートを黒板に貼ります。着目させたい言葉に赤で波線を引いたり、子供のつぶやきを書き込んだりしながら、コスモスの花の様子を想像させます。そして、「コスモスの花」が「ゆみ子の家族」と似た描写であることに気付かせます。

5 ダッシュ(記号)に込められたお父さんの思いを考える。

お父さんがコスモスを渡すときにゆみ子にかけた言葉「ゆみ。さあ、一つだけあげよう。一つだけのお花、大事にするんだよう――。」を、子供と一緒に書きます。本時のめあてに関わる言葉なので、目立つように短冊を用意し、教師はペンで書いていきます。

ダッシュは、何かを省略したり、余韻をもたせたりする効果があることを教えます。そこには、お父さんのどのような思いが込められているのか、叙述を基に想像させ、「お父さんの心の言葉」としてノートに書かせます。

次に、考えたことを発表させながら板書します。家族の愛や親の愛情に触れた発言は赤チョークで書きます。

最後に、「心の言葉」を吹き出しの形で黄色チョークで囲みます。

6 学習の振り返りをする。

お父さんが戦争へ行く直前に、ゆみ子にコスモスの花を渡したときの思いについて自分の考えをノートにまとめます。一輪のコスモスがゆみ子の家族に似ていたことや、コスモスに込めた父の思い、最後まで家族の幸せを願う父の愛情等、板書を見ながら自分の言葉で振り返りを書かせます。

板書を活用した授業の進め方(5/8時間目)

板書2
/8時間目の板書

1 戦争が終わって変わったこと(もの)を考える。

初発の感想の疑問点「3場面にはどうして『一つだけ』が出てこないのだろう」の短冊を黒板に貼り、それを基に考えた本時のめあてを確認します。3場面を音読し、戦争が終わったことがわかる文に線を引かせます。

2 戦争中と十年後でどのように変化したのか本文から見つける。

戦争中と十年後の生活や食べ物など、違いがわかる語や文に線を引かせます。観点は示さずに、子供なりの比べ方で違いを探させます。

3 表を作成し、変わったことをまとめる。

変わったことを比較しやすくするために、簡単な表を作成します。表の1段目には「観点」、2段目には「戦争中」、3段目には「十年後」と板書します。まず、十年後に変わったことを板書します。そこから、戦争中はどうであったか、対応する語や文を見つけ、板書します。順不同に発表する子供の発言は、後で観点ごとに整理できるよう、意図的に板書していきます。

4 観点ごとに変わったことを確かめる。

十年後に変わったことは何だったのか考えさせ、「食べ物」「音」「会話」「ゆみ子」「コスモス」の5つの観点にしぼります。そして5枚のカードに書いて貼り、表を見直します。上段と下段を比べて、感じたことや気付いたことを発表させ、黄色チョークで板書します。

「食べ物」「音」「会話」については、両方向の矢印でつなぎ、対照的であることが一目でわかるようにします。「ゆみ子」の行動は成長と捉え、矢印の向きは戦争中から十年後への一方向にします。「コスモス」は前時での読み取りを生かし、お父さんの愛情に包まれていることに気付かせます。めあてにつながる考えは赤チョークで板書します。

5 表を参考に、学習の振り返りを書く。

板書の表を見て、色チョークで書かれた友達の考えも取り入れながら、本時の振り返りを書かせます。

 

構成/浅原孝子

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