小2算数「1000までの数」指導アイデア(10/12時)《数の大小関係/不等号を用いた式の表し方》

執筆/お茶の水女子大学附属小学校教諭・久下谷明
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、東京都目黒区立八雲小学校校長・長谷豊

目次
単元の展開
(1)数のあらわし方としくみ
第1時 3位数の読み方や表し方について考える。
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第2時 空位のある3位数の表し方について考えるとともに、数の仕組みに着目して3位数を書いたり読んだりする。
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第3時 数の仕組みに着目して、位取り板と数カードで数を表す。
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第4時 3位数の構成を基にした表し方(合成・分解)について考えるとともに、3位数の構成を等式で表す。
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第5時 1000未満の数について、数のまとまりに着目して、10を基にした数の相対的な大きさについて考える。
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第6時 数直線の読み取りを通して、3位数の大小や順序について考える。
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第7時 1000の構成と読み方、書き方について考えるとともに、1000付近の数についても考える。
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第8時 数の構成に着目して、1000までの数についていろいろな表し方を考える。
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(2)何十、何百の計算
第9時 10や100のまとまりに着目して、なん十±なん十、なん百±なん百などの計算のしかたを考える。
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(3)数の大小
第10時(本時)数の仕組みに着目して、数の大小関係について考え、不等号を用いて式に表す。
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第11時 数や式の意味に着目して、その大小、相関関係を不等号、等号を用いて式に表す。
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まとめ
第12時 学習内容の定着を確認するとともに、数学的な見方・考え方についてふり返る。
本時のねらい
数の仕組みに着目して数の大小関係について考え、不等号を用いて式に表すことができる。
評価規準
数の仕組みに着目して数の大小関係について考え、説明している。
不等号の意味を理解し、数の大小関係を不等号を用いて式に表すことができる。
今から、百の位まである二つの数を見せます。どちらが大きいでしょうか。
※下のように、最初は二つの3桁の数の上に画用紙などを被せて隠しておき、一の位から徐々に見せていきながら、問題を提示する。

(百の位だけ隠れた状態で)どっちが大きいと思いますか。

左のほうが大きいです。
98と14だったら98のほうが大きいけど、百の位が数字が分からないから、まだ分かりません。
(全部を見せて)どちらが大きいか、分かりますか。

どちらが大きいかな。数の大きさのくらべ方を考えましょう。
見通し
298と314では、どちらが大きいと言えそうですか。
314です。
314のほうが大きいと言えそうということですが、数の大きさを比べるには、数のどこを見て比べていけばよいでしょうか。数の大きさの比べ方を友達に説明できるように、ノートに書きましょう。
自力解決の様子
A つまずいている子
314のほうが大きいことは分かっているが、その理由を説明することができない。
B 素朴に解いている子
314のほうが大きいことは分かっていて、比べ方の説明として、“2と3をくらべる”とだけ書いている。
C ねらい通り解いている子
314のほうが大きいことが分かっていて、“(2と3を指し示して)一番大きい百の位の数字を比べる”と説明している。
学び合いの計画
どちらが大きいのか分かっていたとしても、その理由をどのように説明してよいのか戸惑い、止まってしまう子がいます。また、比べ方を話すことはできても、書くことが苦手で、どのようにノートに書いてよいのか悩んでいるような子もいます。
考えている最中であれば、その姿勢を価値付けて励まし、悩んでいるようであれば、「298と314のどの数字に注目して比べたのかな。(指差しながら)8と4かな。9と1かな。2と3かな」と問いかけ、解決の糸口をつかめるようにしましょう。
また、友達と説明し合う時間は、自分の考えを相手に伝える力を育むことや、さまざまな考え方を知るといった意味でも大切であるため、そのような時間も取り入れていきます。そのとき、「自分の説明と同じかな。違うかな」と考えながら聴くことができるように声かけをしましょう。
ノート例
B 素朴に解いている子
A つまずいている子
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
はじめにもう一度、どちらの数が大きいかを確認します。どちらの数のほうが大きいですか。

314です。
314のほうが大きいですか。
はい。
では、どのように数の大きさを比べたのか、数の大きさの比べ方を説明してください。
2と3を比べます。そうすると、3のほうが大きいから、314のほうが大きいと分かります。
2や3というのは、どのような数字ですか。
一番大きい位の数字です。
一番大きい位の数字で比べればよいということですか。
はい。
十の位や一の位を見ると、298は98で、314は14で、98のほうが14に比べて、ものすごく大きいけど、百の位や一の位の数字は気にしなくていいのですか。
だって、百の位の数字は、100が何個あるかを表しているから、十の位や一の位の数字がいくら大きくても、百の位の数字にはかないません。
確かにそうですね。確認ですが、百の位の2は、何が2個あることを表していましたか。また、百の位の3は、何が3個あることを表していましたか。
2は100が2個で、3は100が3個です。
そうでしたね。そうすると、今言ってくれたように、一番大きい、百の位で比べればいいんですね。

では、これはどうですか。
※授業導入と同じように、 最初は2つの3桁の数(526と487)の上に画用紙などを被せて隠しておき、今度は百の位から徐々に見せていく。まずは百の位だけ見せた状態にする。

左のほうが大きいです。
百の位を見ただけで分かりますか。
だって、さっきやったみたいに、一番大きい百の位の数字を比べれば、数の大きさは比べることができます。
左の数(526)の十の位と一の位が00で、右の数(487)の十の位と一の位が99でも、左の数のほうが大きくなりますか。
はい。
※被せていた紙を取り、どちらが大きいかを確認する。

では、もう一つ。これはどうですか。
※下のように、最初は2つの3桁の数(647と659)の上に画用紙などを被せて隠しておき、百の位から徐々に見せていく。まずは百の位だけ見せた状態にする。

あっ、同じ6だ。これだとどちらが大きいか分かりません。
十の位を見せてください。
では、十の位を見せますね。これで分かりますか。

右の数のほうが大きいです。
どうしてですか。
百の位の数字は同じだったから、次に大きい位の、十の位の数字を比べると、4と5で、5のほうが大きいから、右の数のほうが大きいです。
※被せていた紙を取り、どちらが大きいかを確認する。

①一番大きい百の位の数字を比べる。
②同じときは、次に大きい十の位の数字を比べる。
上記のやりとりを通して、子供から出された数の大きさの比べ方が、学習のまとめ(例えば上記)になります。
まとめる際には、子供から比べ方のアイデアを、なるべく子供の言葉を用いてまとめていくようにしましょう。そうすることで、自分たちで算数の学びをつくっているという意識をもたせることにつながります。
さらに本時では、不等号の意味を理解し、数の大小関係を不等号(>、<)を用いて式に表すことができるようになることも大切です。したがって、上記まとめの後、下のように不等号について説明し、使えるようにしていきましょう。
数の大小は、>、<を使って表します。
298 < 314 「298は、314より小さい」
526 > 487 「526は、487より大きい」
647 < 659 「647は、659より小さい」
評価問題
サイコロと下のようなシートを配り、「サイコロ ころころ 大小ゲーム」を行います。
<ルール>
・2人1組で行う。
・じゃんけんをして、先と後を決め、交互にサイコロを振っていく。
・なるべく数が大きくなるように、出た目の数字を、百の位、十の位、一の位の好きな場所に書き入れる。
・交互に3回ずつサイコロを振って、百の位までの数をつくり、どちらが大きい数ができたか、大きさ比べをする。
・大きさ比べをするために、比べた数字に〇を付け、最後に2人で相談をして、真ん中の□(点線の□)に>、<を入れて、結果を表す。
教科書の問題などを基に確認するだけでなく、このようなゲーム形式での評価問題も取り入れていきましょう。
活動を通して、数の仕組みに着目して、できるだけ大きな数をつくろうとする姿勢や、数の大小関係について適切に判断し、不等号を用いて式に表すことができるかを見ていきます。
具体的には、サイコロの出た目が大きい数の場合、なるべく大きな位にそれを入れようとする姿や、大きな位どうしの数字を見て、大小を判断する姿です。
このように、評価問題が評価のためだけにならず、学習したことを活用し、楽しみながら学習内容の定着を図っていくものになるようにしましょう。
感想例
本時は学習感想の代わりに、「大きな数をつくるための、サイコロの目の入れ方のコツを書こう」のように、ゲームを通して考えたことを書かせるようにしましょう。
そのときのコツとして、例えば、次のようなものが考えられます。
6や5のように大きな数が出たときは、大きな位に入れて、1や2のように小さな数が出たときは、小さな位に入れる。
イラスト/横井智美
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