小5小6家庭科「栄養を考えた食事」指導アイデア~思考力を高め、実践する力を育もう~
指導事項:内容「B 衣食住の生活」(2)「調理の基礎」 (3)「栄養を考えた食事」、内容「A 家族・家庭生活」
執筆/京都府福知山市立惇明小学校教諭・中島綾子
監修/文部科学省教科調査官・丸山早苗
目次
5年生 食べて元気に
第5学年「食べて元気に」では、ご飯とみそ汁の調理と合わせて栄養素の学習を進めていきます。子供たちは1年生~4年生までの学級活動等の時間を使った栄養教諭による「食に関する指導」などで、栄養についての多少の知識はもっています。この授業を通して、その知識を確かなものとしていきます。
1時間目 なぜ食べるのか考えよう
自分の食事を振り返り、食事の役割について知る中で、食生活の問題点に気付くことができるようにします。食べることが「元気に生きる」ことにつながることから、栄養素の学習の必要性に結び付くことができるようにします。
2時間目 五大栄養素の働きを知ろう
子供たちにとって聞き慣れない「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」「無機質」「ビタミン」という五大栄養素の名称を、その働きとともに理解できるようにする必要があります。「食に関する指導」などで「主にエネルギーのもとになる食品」を「黄色の食品」、「主に体をつくるもとになる食品」を「赤の食品」、「主に体の調子を整えるもとになる食品」を「緑の食品」と聞いて覚えている子供たちも多いため、教材・教具に色を用い、色に着目することで栄養のバランスに目を向けやすくする工夫を行います。
3時間目 三つの食品グループを知ろう
体内での三つの働きにつながる食品グループの学習をします。三つの食品グループを知ることで、食べ物からバランスよく栄養をとることができるようにするためです。食品カードを分類することを通して、「主に体の調子を整えるもとになる」グループの食品には果物、野菜やきのこといったものがあるなど、食品の栄養的な特徴を理解します。その際、前時で扱った五大栄養素も関連付けながら指導します。
4~8時間 ご飯とみそ汁をつくろう
日本の伝統的な食事(和食)の基本であるご飯とみそ汁の調理について知り、実習を行います。その際も、ごはんやみそ汁の栄養素について触れるようにし、題材を通して栄養についての観点をもつことを意識して進めていきます。
9~10時間目 家庭実践の計画を立てよう
これまでの学習を生かし、家庭実践へとつなぎます。家庭実践では、各家庭にあるものをみそ汁の実として使いますが、栄養のバランスに目を向けて実を決定できるように指導します。
6年生 工夫しようおいしい食事
第6学年では、第5学年「食べて元気に」の学びを生かし、1食分の献立を立てます。栄養のバランスを中心に考え、いくつかの料理や食品の組み合わせを考える中で、色どりや味のバランスにも目を向けられるようにしていきます。
1時間目 食生活を振り返ろう
普段の食生活を振り返り、問題点に気付く中で「栄養のバランスを考えて献立を作れるようになるにはどうしたらよいか」という学習課題を設定できるようにします。普段の食生活に困り感を感じていない子供が多かったため、模擬バイキングを行い、栄養のバランスを気にせずに食事をしているという問題点に気付けるような工夫を行いました。
2~3時間目 1食分の献立を立てよう
給食の献立を見ながら、その栄養のバランスを確かめることで、日々目にしている給食の素晴らしさを知ります。給食の献立を参考にしながら、献立が「主食」「主菜」「副菜」を要素として構成されていることを学びます。献立を考える際には、「主食」か「主菜」をまず考え、栄養のバランスを整えられるように「副菜」を考えていきます。この学びを生かし、再度模擬バイキングを行うことで献立作成のポイントに気付けるようにしました。
4~6時間目 工夫して毎日の食生活に生かそう
次は、実践可能な献立作成について考えます。5年生での学習を生かし、ごはんとみそ汁を中心にした献立を作成し、栄養のバランスを整えるためにはどのような副菜が考えられるかを話し合います。その際、ゆでる調理といためる調理の学習を生かせる副菜を選ぶことも、実践につなげるために重要です。作りたい副菜が決まれば、調理実習を行います。
7~9時間目 家庭に生かそう
それぞれの家庭に合わせた献立「テーマ献立」を作成し、実践計画を立てます。また、楽しく食事をするためのルールや工夫などについても考え、家庭実践に生かすように指導します。家庭実践を行い、実践を交流することでよかった点や改善点をまとめます。
構成/浅原孝子
『教育技術 小五小六』2021年8/9月号より