小1国語「はなのみち」指導アイデア
教材名:「はなのみち」 光村図書 一年上
指導事項:〔知識及び技能〕(1)ク
〔思考力、判断力、表現力等〕C(1)イ 言語活動例 イ
執筆/東京学芸大学附属小金井小学校教諭・成家雅史
編集委員/文部科学省教科調査官・大塚健太郎、東京学芸大学附属小金井小学校教諭・成家雅史
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
入学してからひと月が経ち、学校生活や学級の友達にも慣れてきた時期です。そこで、授業という環境で学ぶ楽しさも味わえるようにして、さらに学校に来て、学級のみんなと学ぶことを楽しみになるようにしたいものです。
本教材は、挿絵が内容を読むことに役立っています。場面の様子と登場人物の行動を挿絵から読み取り、物語の出来事を捉えていく資質・能力を身に付けたさせたいと考えます。

②言語活動とその特徴
登場人物の行動と出来事を結び付けて読むことができるようにするために、挿絵の順序を入れ替えたり、挿絵を限定したりして示し方を変えます。そして、「誰が、どうして、どうなった」ということを繰り返して読み取ることができるようにします。
活動方法としては、「だれが」「どうして」「どうなった」という短冊を作って、挿絵や文と対応させながら、子供が声に出しながら確かめていけるようにします。
最初は、文を示さずに挿絵だけで、「だれが」「どうして」「どうなった」ということを読んでいき、実際に本文を読んで確かめるという方法でしっかりと定着を図ることができます。
単元の展開(6時間扱い)
主な学習活動
第一次(1・2時)
◎挿絵を見て、お話を想像する。
- 教科書の文を見せずに、挿絵だけでお話を想像する。
→アイデア1
【学習課題】
だれが、どうして、どうなったかを よもう。
- 挿絵ごとに、「だれ」が「どうした」かを読み取る。
第二次(3・4時)
◎挿絵と文を結び付けて、内容の大体を読む。
- 本文を読み、感想を発表し合う。
- くまさんの行動によって、場面の様子がどのようになったかを読み取る。
→アイデア2
第三次(5・6時)
◎「はなのみち」という題名について考える。
- 物語全体をふり返って、どうして「はなのみち」という題名になったのかを、内容と結び付けて考える。
- 考えを発表し合い、分かったことを共有する。
→アイデア3
アイデア1 挿絵だけで、話の展開を予想する
主体的な学び
教師が、順番が分からなくなったというシチュエーションを演出します。子供たちは、「自分たちで正しい順番にしよう」と意欲をもちます。
お話の順番を考えるときのポイントとして、「だれが」「どうして」「どうなった」ということに気を付けて、挿絵を読み取るようにしましょう。

どの挿絵にも登場するのが、「くまさん」ということに気付かせて、「くまさん」を中心に、行動や出来事を考えるようにするといいでしょう。子供が、場面の順番を言うときは、なぜ、そのような順番になるのかを聞くようにしましょう。
アイデア2 自分たちの予想や場面を比べて、本文を読む
対話的な学び
子供たちは、挿絵だけで、お話の内容を予想したことが合っているか、また、順番が正しいかどうか、とても気になっています。
そこで、本文を読んで、自分たちの予想と比べます。正しい順番を予想できた子供もいるでしょう。正しい順番を予想できなかった子供もいるでしょう。ここで大切なのは、「だれが」「どうして」「どうなった」ということを確かめることです。
最初の場面では、くまさんがふくろを見付けている。けれど、袋に穴があいているのに気が付いていないということを押さえることが大切です。この部分が、出来事の発端になります。
次の場面は、最後の場面と2つ取り上げて比べることで、違いについて多くの意見が出て、自然と対話的な学びに向かっていきます。

アイデア3 題名について考えたことを共有する
「だれが」「どうして」「どうなった」について、挿絵と本文を結び付けて読むことで、話の内容の大体は捉えることができたでしょう。
単元の終末に、物語全体の内容を正確に理解するために、題名が「はなのみち」になっていることについて考えます。



題名について考えることを通して、物語の出来事だけでなく、くまさんが種を落としたことで花の道ができて動物たちが喜ぶ話であるということにも気付いてほしいものです。
イラスト/川野郁代
『教育技術 小一小二』2021年4/5月号より