小1生活「はるをさがそう」指導アイデア
執筆/青森県公立小学校教諭・高田明子
編集委員/文部科学省教科調査官・渋谷一典、文部科学省教科調査官/愛知淑徳大学准教授・加藤 智、青森県公立小学校校長・木村 智
目次
期待する子供の姿
知識及び技能の基礎
春の自然や草花を観察したり、それらで遊んだりする活動を通して、春の自然の様子や自然を利用したり、遊ぶ物を作ったりすることの楽しさに気付く。
思考力、判断力、表現力等の基礎
春の自然や草花を観察したり、それらで遊んだりする活動を通して、自分が楽しんだ遊びや感じ取った自然の様子を考えたり、遊び方を工夫したりすることができる。

学びに向かう力、人間性等
春の自然や草花を観察したり、それらで遊んだりする活動を通して、季節の変化を取り入れて自分の生活を楽しくしようとする。
単元の流れ(6時間)
学習の流れ
春についてお話ししよう(2時間)
- 春について知っていることを出し合う。
- 校庭で自然遊びをし、見付けたものを発表する。
【評価規準等】
知 これまでの経験や身近な自然の様子から、冬から春へと季節が移り変わっていることに気付いている。
何を見付けたかな。
たんぽぽが咲いていた。黄色のじゅうたんみたい。
お花はいいにおいだったよ。
たんぽぽで何か作りたいな。
ちょうちょを見付けたよ。
おもしろい形の葉っぱを見付けたよ。
公園に行き、「春」と仲よしになろう(3時間)
- 春の植物を見付けて楽しむ。
- 草花遊びや虫とりを楽しむ。
- いろいろな草花遊びを試しながら、遊びを工夫する。
【教科規準等】
思 諸感覚を生かして、春の自然に関わったり、楽しんだりしている。

「春」と仲よしになったこと、分かったこと、楽しかったことなどを伝え合おう(1時間)
- 「春と仲よし」を終えて、分かったこと、楽しかったことなどを発表する。
- ふり返りを紹介し合う。
【評価規準等】
知 身近な自然は、いろいろな遊びに利用できることに気付いている。
思 身近な春の自然を取り入れて、自分の生活を楽しくしようとしている。
※評価規準等の知=知識・技能、思=思考・判断・表現、態=主体的に学習に取り組む態度の観点を示しています。
活動のポイント1 1年間を見据えて、五感を使った体験活動を十分にさせよう
本単元では、四季を通して自然や人々と存分に関わりながら季節に応じた遊びを楽しむことができる活動を設定します。自然との関わりは、子供たちにとってさまざまな気付きをもたらします。春に諸感覚(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚など)を使って十分に体験活動を行い、春のよさや楽しさを体感できるようにしましょう。
内容(5)季節の変化と生活の入り口の単元です。「春」で感じたよさや楽しさを他の季節でも見付けたり比べたりできるとよいですね。春は見方・考え方の素地を育てる段階です。

こんな活動もおすすめです!
マイツリーやおすすめエリアを決めて、1年間を通して関わりましょう。


活動のポイント2 ICTを活用して、次の活動に生かそう
活動の様子を教師がタブレット端末で撮影し、写真を基にふり返らせることで、夏や秋の学習に結び付けていくことができます。
「春」に教師が意図や視点(「活動のポイント1 こんな活動もおすすめです!」を参照)をもって対象を撮影することで、夏や秋と比べる視点を与えることもできます。
タブレット端末での撮影は、子供の発達に応じて徐々に子供に移行していってもよいでしょう。

評価のポイント 子供の変容を多様な表現活動で見とろう
写真へのコメントで見とる
子供のつぶやきや思考を教師が一緒になって言語化します。活動中の思いや願い、比べたり、たとえたりしているつぶやきなどを言語化することで、子供の変容を見とることができます。徐々に子供が自分で書けるように支援していきましょう。

多様なワークシートで見とる
子供たちは、諸感覚を十分に使って自然の素晴らしさを味わいます。活動中や活動後に、子供たちが見付けたものや自分が遊んだことをカードに書きます。カードは発達の段階や子供の思い、実態に合わせて、絵だけのカード、絵と文のカードなど、何種類か用意して子供に選ばせるとよいでしょう。



身体表現から見とる
この時期の一年生は、言葉だけではなく、動作や劇化など、自分の体で様子を表現することもあります。このような表現のなかにある子供の気付きをしっかりと見とることも大切です。

掲示を工夫する
春・夏・秋・冬と1年間を通じて教室に写真と子供のコメントを掲示することで、季節の移り変わりを比較することができます。写真へのコメントの内容から「見付ける」「比べる」「たとえる」などの思考を教師が見とり、評価に生かしていくことも考えられます。コメントを通して自分自身の成長に気付く子供たちも出てくるでしょう。

イラスト/高橋正輝、横井智美
『教育技術 小一小二』2021年4/5月号より