小5小6家庭科「買物の学習」指導アイデア
「C消費生活・環境」(1)「物や金銭の使い方と買物」では、限りある物や金銭が大切であることや自分の消費生活が身近な環境に与える影響を考え、持続可能な社会の構築に向けて、主体的に生活を工夫できる消費者としての素地を育てます。
ここでは、「A家族・家庭生活」「B衣食住の生活」と関連を図り、会食のための買物や調理や製作で使う材料を取り上げ、子供や家族の生活と結び付けた実践的な学習の工夫を紹介します。
執筆/東京都公立小学校指導教諭・出口芳子
監修/文部科学省教科調査官・丸山早苗
目次
消費者としての素地を育てる買物の学習
買物の仕組みを理解する

● 買う人の申し出と売る人の承諾によって売買契約が成立する。
● 買う人はお金を払い、売る人は商品を渡す義務がある。
● 商品を受け取った後は、買った人の一方的な理由で商品を返却することができない。
消費者の役割を知る
買う前
本当に必要かどうかをよく考える。
買った後
十分に活用して最後まで使い切る。
消費生活が環境に与える影響を考える。
● 買物袋を持参する。
● 不要な包装は断る。など
相談機関を利用する。
買物で困ったことが起きた場合
● 家族や先生などの大人に相談する。
● 保護者と共に消費生活センターなどを利用する。

身近な物の選び方、買い方の工夫
教材の工夫1 実物
実際に購入する場面を想定し、実物を準備します。ラベルや表示から必要な情報の収集・整理が適切にできるようにし、日常生活で実践できるようにします。
教材の工夫 2 写真

冷蔵保存が必要な加工食品については、表示などが分かるように商品の表と裏の写真を貼り合わせて準備します。食品表示については、複雑な表記を避け、学習のねらいに沿った情報の収集・整理が適切にできるようにします。様々な情報の中から選ぶ際の観点を理解し、選び方、買い方を工夫して家庭実践に取り組むことができるようにします。

教材の工夫 3 ICTの活用

調理で用いる材料を取り上げる際、野菜の選び方、買い方についての学習においては、実物を準備することは難しいため、ICTを活用します。生鮮食品を選ぶ際の観点となる「鮮度」の情報の収集ができるようにします。

5年 買い物名人~わが家のみそ汁の材料をむだなく買おう
生活を支えるお金と物~めざそう! 買物名人~

物や金銭の使い方と買物について、課題をもって、物や金銭の使い方について理解し、買物の仕組みや消費者の役割、物や金銭の計画的な使い方、身近な物の選び方、買い方、情報の収集・整理に関する基礎的・基本的な知識及び技能を身に付け、身近な物の選び方、買い方を工夫することができるようにします。
1・2時間目 物やお金の使い方を見つめよう
金銭は家族が働くことによって得られた限りあるものであり、計画的に使う必要性を理解できるようにします。また、自分や友達の失敗や落とし物の写真から物や金銭の使い方について問題を見付け課題を立てます。

子供の失敗例
● ほうれん草と小松菜を間違えて買った。
● 家にある物と同じ物を買ってしまった。
● 買ったときは嬉しかったのに使っていない。
● 欲しい物を買っているうちに残金が少なくなり、本当に欲しかった物が買えなくなった。
● 値段を見ないでレジに持って行き、高くてびっくりした。
● 買ったおもちゃがすぐに壊れた。
3時間目 買物の仕組みを考えよう
契約と約束の違いや高価な買物と身近な買物の違いに課題をもって買物の仕組みについて考え、日常の買物が売買契約であることを理解できるようにします。予約の取り消しや商品の返却について取り上げ、商品を受け取った後は、買った人の一方的な理由で商品を返却することができないことについて扱い、理解できるようにします。
4時間目 環境を考えた買い方をしよう
調べたことを基に、自分や家族の消費生活が環境に与える影響について考え、環境に配慮した選び方、買い方の観点を探ります。


5時間目 選び方や買い方を考えよう
身近な物の選び方、買い方を理解し、目的に合った品質のよい物を選んで購入するために必要な情報の収集・整理が適切にできるようにします。




6・7時間目 材料を選んで買おう
計画
身に付けた基礎的・基本的な知識及び技能を活用し、家庭実践(みそ汁作り) に用いる材料の選び方、買い方を考え、工夫することができるようにします。

家庭実践
わが家のみそ汁の材料をむだなく買おう
振り返り
選び方、買い方を評価し、意見交流などを通して、これからの買物に生かすために、どのように改善したらよいかを考えることができるようにします。
