小3道徳「敬老の日にちなんで」指導アイデア
執筆/新潟県公立小学校教諭・大淵栄子
監修/山形県公立小学校校長・佐藤幸司
目次
教材
①あやかさんのお話
【1】
【2】
【3】
【4】
②ゆうやさんのお話
【1】
【2】
【3】
【4】
二人の言ったことはどんなことかな。続きを考えてみよう。
最後の場面で二人が言ったことはどんなことなのか。ワークシートを用いて考えてみましょう。
実際の授業展開
タイトル
敬老の日にちなんで ~おじいちゃん・おばあちゃんって、すてきだな~
指導目標
祖父母を敬愛し、家族のために自分ができることを考え実践しようとする態度を育てる。
内容項目
C 家族愛、家庭生活の充実
準備するもの
・場面ごとのイラスト8枚…黒板提示用(拡大コピー)
・ワークシート…児童配布用
指導の概略(板書計画例)
【教材提示】
- 場面ごとのイラストを4コマの漫画ふうに提示する。
- 子供によく分かるよう、乾物や天気の言い伝えについて説明を加える。
【導入】
①
おじいさん、おばあさん、知り合いや近所のお年寄りとどんな話をしますか。一緒にどんなことをしたことがありますか。
- お年寄りとのかかわりを問い、導入とする。
【展開1】
②
あやかさんとゆうやさんが話したことの続きを考えて書きましょう。
- おじいさん、おばあさんに対して思ったことをワークシートに記入させる。
③
あやかさんとゆうやさんが話したことと思ったことで、似ていることはどんなことでしょう。
- 共通点を話し合わせ、お年寄りの<知恵があること><物知りであること><昔からのよさを受け継いでいること>など、長く生きてきたからこそのよさに気付かせていく。
【展開2】
④
あなたのおじいさん、おばあさん、知っているお年寄りのすてきなところを教えてください。
- 自分の祖父母について考えさせる。家庭環境が各自異なるので、配慮が必要。近所や知り合いのお年寄りなど、範囲を広げて考えさせてもよい。
【終末】
⑤
9月第3月曜日は敬老の日。どんな言葉をかけたいですか。どんなことをしたいですか。
- 敬老の日の趣旨「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを子供に分かるよう説明し、かけたい言葉やしたいことを考えさせ、授業を終える。
ここがアクティブ!授業展開の補足説明
二人の子供とその祖父母との会話から、お年寄りの知恵やすばらしさに気付くというお話です。
一つ目は食べ物を干すという知恵です。食べ物を干すことによって保存がきく・栄養が増す・味がよくなるなど、昔からの知恵が生きています。子供たちは、何気なく食べていた乾物に、昔からの知恵が詰まっていることに気付き、新鮮な驚きを感じるでしょう。
二つ目は、天気に関する言い伝えです。観天望気(かんてんぼうき)と言い、昔からの伝承で地域に伝わるものもあります。古来より猟師や船員が経験的に体得し、使ってきました。現在でも気象庁の天気予報の的中率は80%程度で、残る20%は観天望気から予想できる場合が多いと言われています。
展開では、二人の子供が祖父母に対して感じたことを考えさせ、その共通点からお年寄りの知恵やすばらしさに気付かせます。
ほかにも、着物を仕立て直してリサイクルして最後まで使う、茶殻などを捨ててしまわずに掃除に使うなど、物を大切にする知恵なども紹介したいところです。
終末では、子供に「9月の第3月曜日は敬老の日。どんな言葉をかけたいですか。どんなことをしたいですか」と問い、自分の生活について考えさせます。
指導時期は敬老の日の前を考えていますが、その後であれば、「これから祖父母やお年寄りとどんな話をしたいですか。どんなことを聞きたいですか」と発問し、これからのかかわりを考えさせることもできます。
授業をするうえでの注意点・ポイント解説
本時で扱う内容項目は、「家族愛、家庭生活の充実」です。「父母、祖父母を敬愛し、家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくること」がねらいとなっています。
子供の家庭環境はさまざまですので、配慮する必要があります。祖父母とのかかわりがない子供については、地域のお年寄りなどとのかかわりを考えさせるとよいでしょう。身近なお年寄りの、長く生きてきたからこその知恵やよさについて考えさせます。
内容項目「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」と関連します。はっきりした知恵が思い浮かばなくても、話を聞いてくれる、親切にしてくれるなど、長く生きてきたお年寄りならではの包容力や温かさなども認めていく姿勢をとりましょう。
教科調査官からアドバイス
文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・浅見哲也
「ペアやグループでの話合い」
道徳科の目標に「多面的・多角的に考え」という言葉が示されました。これは、一面的な見方から多面的・多角的な見方、言い換えると、一つの学習対象はさまざまな面をもっているからこそ、さまざまな角度から考察して、その学習対象をより深く理解することが求められています。
そこで、一人で考えるよりも、子供どうしが互いに自分の気持ちや考えを伝え合い、みんなで考えたほうが多面的・多角的に考えやすくなるため、今日では道徳科の授業でも、ペアやグループでの話合いが多く取り入れられています。
しかし、このような学習形態の工夫をすれば、すぐに話合いができるようになるわけではありません。そこには少なからず話合いのルールが必要であり、例えば4人グループで、その座席の位置によってABCDと決めておき、今日はAが司会で、Bから発言し、最後にAが発言するなどとローテーションしていくと、毎回スムーズに話し合うことができます。
話合いの後も、「今日はBの人に、グループでどんな考えが出されたか、発表をお願いします」と言えば済みます。また、ペアでの話合いの後の発表のときには、自分の考えではなく、ペアの相手の考えをまず発表し、その後、自分の考えを比べて発表することも多面的・多角的に考えるには効果的です。
もちろん、ペアやグループをつくることが目的ではありません。クラス全体でなんでも言い合える雰囲気をつくり、みんなが一つになって互いの気持ちや考えを伝え合えれば、これも立派な「対話的な学び」です。本来は、クラス全体で誰もが自由に発言できるような授業をめざすことが大切です。
イラスト/うえだ未知、横井智美
『教育技術 小三小四』2019年9月号より