小3体育「水泳運動」指導アイデア
執筆/滋賀県公立小学校教諭・田中里香
編集委員/前スポーツ庁政策課教科調査官・高田彬成、滋賀県公立小学校教頭・内藤康司
目次
授業づくりのポイント
浮いて、進んで、バディでミッションをクリアしよう
三年生は初めての大プールでの学習のため、水が苦手な子供や身長差のある子供にとってはとても怖い思いをすることがあります。
まずは、大プールと友達になれるように水遊びやゲームをたくさん取り入れた学習から始めていきましょう。つまり、低学年の水遊びの学習を踏まえ、中学年では、初歩的な泳ぎができるようになるための必要な動きや技能を身に付けることが大切です。
また、学習を進める際には、「運動のポイントを確認する問いかけ(確認場面)」と「水中での動きを考える問いかけ(思考場面)」を行い、バディと考えながら水中での運動にチャレンジできるようにしていきます。

単元計画(例)

※1・2時間目は、大プールに慣れ、3~6時間目は浮いて進む運動、7~10時間目は初歩的な泳ぎを想定しています。
水泳の学習は、ほかの運動に比べてけがや事故などが起こりやすい領域です。「水泳運動の心得」を十分に指導し、下の絵のように、教師の手信号を見てゆっくりと水の中に入れるように指導しましょう。

楽しむ① いろいろなもぐる・浮くを楽しもう
「もぐる・浮く運動」では、さまざまなもぐり方・浮き方を楽しみます。ゲームをしながら浮く感覚を身に付けます。 「浮いて進む運動」では、け伸びや初歩的な泳ぎをしていきます。
特に「け伸び」はすべての泳ぎの基本となります。全身の力を抜いたり一直線に体を伸ばしたりして、スムーズに進むことを学習することで「初歩的な泳ぎ」につなげていくことができます。
【もぐる・浮く運動】もぐって浮いてみよう
ぶくぶく~パッ!

まず、呼吸を調整しながら「ぶくぶく~パッ!」を繰り返し行った後、そのリズムのまま、下のような、次の浮く技につなげていきます。
水が苦手な子供や、息継ぎのタイミングが分からない子供も、リズムに乗って息を吐いたり吸ったりすることで、呼吸のタイミングを学び、浮く感覚を味わうことができるようになります。

浮く技へ
- 伏し浮き
- クラゲ浮き
- 大の字浮き
- だるま浮き
- 背浮き
「腕の位置は下? 上?」(確認場面)
「どうすれば、楽に浮けるだろう?」(思考場面)
など、問いかけていきましょう。
【浮いて進む運動】ビューンと伸びてみよう
一人でけ伸び

け伸びのポイント
①体は力を抜いて
②両腕は耳の後ろ
③へそを見ながら壁・床を蹴る
「体は曲げる? 伸ばす?」(確認場面)
「どうすれば、遠くまで行けるだろう?」(思考場面)
バディとけ伸び

バディのポイント
①目線と頭の高さを合わせて
②言葉や表情で、対話しよう!
みんなでけ伸び

棒につかまって伏し浮きをし、バディに棒を引っ張ってもらおう。
楽しむ② ミッションカードを使ってバディと一緒に練習しよう
「ミッションタイム」では、次のように泳ぎにつながる運動のポイントを提示し、子供たちが水中での動きをイメージして学習に取り組めるようにします。
水泳運動の基本的な技能の習得のために、6つのミッションを用意し、バディと一緒にクリアしていく場をつくります。
ミッションカードにはポイントや言葉がけを明記し、バディと協力することで、仲間と共に取り組む態度面や、明確なめあてをもって取り組む思考面も大切に学ぶことができます。
ペアで協力して「ミッション」をクリアしよう
バディと一緒にミッションをクリアしていきます。
手や道具(ビート板など)を持って補助してあげたり、同じコースを歩いてポイントができているかを確認してあげたりしましょう。
音楽を流し、定期的に曲を変えることで、泳ぐ人と補助する人が交代するタイミングを知らせることができます。
①2人で手をつないで水中ジャンプせよ

②2人で5秒、大の字浮きをせよ

③2人で協力して伏し浮きをせよ

④け伸びでゴールまで進め

⑤ばた足泳ぎでゴールまで進め

⑥面かぶりクロールでゴールまで進め

●かかわり思考ツール「ミッションカード 」
それぞれのミッションにカードを使用し、コースの近くに置き、いつでも確認できるようにしておきます。
ミッションカードにポイントやイラストをかくことで、積極的に声をかけ合い、一緒に課題を解決しようとかかわり合うことができます。
また、水泳運動が苦手な子供も、ミッションカードを使って、バディの友達にアドバイスができるようになります。
イラスト/栗原清、横井智美
『教育技術 小三小四』2019年7/8月号より
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