「Googleサイト」を使って学習サイトを作成しよう|子供たちの可能性を引き出す!学級経営&授業アイデア#5
自ら考え、活動したり学習したりする子供たちの可能性は無限大。そうした子供の内に秘めている可能性を引き出すための「学級経営&授業アイデア」を紹介する連載です。『教室ギア56』(東洋館出版社)などの著書をもつ鈴木優太先生が、学級活動、教室環境、授業アイデアなどの中から、毎月1本厳選して解説します。第5回は、「Googleサイト」の便利な使い方を紹介します。
執筆/宮城県公立小学校教諭・鈴木優太
目次
広告なしで動画再生できる教科ごとの学習サイトを作成
「Googleサイト」がとても便利です。Googleサイトは、Googleが提供している無料のホームページ作成ツールです。活用の1歩目としてオススメの実践を紹介します。
「〇年〇組サイト」を作成します。ページの追加をし、教科ごとの「学習サイト」を作成します。ここに、YouTubeの教育コンテンツのURLをペタペタ貼るだけです。
何と、Googleサイトに貼った動画は「広告が入らず」に再生できるんです。
音楽では、個人練習やグループでのパート練習も効果的
音楽での実践例を紹介します。
例えば、教科書に掲載されているリコーダーや鍵盤ハーモニカの曲のほとんどは、階名や運指付きのとても分かりやすい動画が、YouTube上にたくさん投稿されています。
これらのURLを貼るだけで、動画版デジタル教科書といった趣の「学習サイト」が簡単に作れます。サイト内に貼ったコンテンツは自由に並び替えも可能です。ただし、Googleサイトは「公開」を押さないと最新情報に更新されません。閲覧リンクを共有することもお忘れなく、使用する際にご注意ください。
手元で動画を見ながら、再生速度を変えたり、動画の必要な部分を何度も練習したり、自分のペースで練習することが可能です。「学習サイト」を開くだけなので、低学年でも簡単にアクセスできます。また、「広告が入らない」ので、集中して学習に取り組めます。授業で取り組んでいる曲を、休み時間や家庭で練習する子もいます。
ソプラノとアルトなど、パートごとの動画もあります。少人数でパートに分かれて練習したり、合奏練習をしたりするときのガイドになってくれます。もちろん、使わないという選択もありです。楽譜のほうがよい子や、あっという間に暗譜してしまう子もいるからです。
例えば、「〇月〇日までに☆☆☆☆の曲を演奏できるようになる」とか、「〇分間で□□まで演奏できるようになる」といったゴールを子供たちと共有します。思い切って子供たちに任せてみると、結構できてしまうことに驚くはずです。子供たちはすごいのです。
さらに、「学習サイト」を教室の大型テレビに映し出して、合奏をします。動画を次々とタッチしていけば、間髪入れずにメドレーで演奏することが可能です。広告が入らないため、タイムラグが発生しない点が本当に便利です。
子供たち自身の手で「学習サイト」を運用
モデルとゴールの設定を「子供たち自身が」やってしまおう! というチャレンジもおもしろいです。
演奏してみたい曲を子供たちが探し、子供たちの手で「学習サイト」にURLをペタペタ貼ります。その中から、自分がチャレンジしたい曲やチャレンジしたい部分を決めて、練習に励みました。
好きな曲が演奏できた!
ド#(シャープ)ってこうやって出すんだ!
難しい曲だけど、サビが吹けるようになってうれしい!
音楽って楽しい!
今回は、合奏の例を紹介しましたが、合唱曲で同じように実践することも可能です。私自身は、ピアノを流暢に弾けません。他パートにつられてしまってハモれないこともあります。しかし、子供たちはアカペラによる四部合唱を発表会で堂々と披露しました。
動画によるモデルと共有できる環境がクラウド上にあったら、結構できてしまいます。中学校に進学して、ギターを始めた子がいます。「大好きな曲の弾き語りがギターでできるようになりました。音楽の授業と“同じ練習の仕方”です」と報告してくれました。
リズムあそびやダンスの動画、鑑賞曲のコンテンツも無数にあります。音楽が決して得意とは言えない子供にも教師にとっても、心強い味方となってくれるはずです。
技能系の教科と相性がよく、学年や学校全体で共有するのも◎
音楽に限らず、体育や図工や家庭科など、技能系の教科で大変重宝します。端末の便利技の動画をまとめたチュートリアルページを子供たちと作成すると、情報活用力が飛躍的に向上します。
「〇学年サイト」から始めてみるのもよいでしょう。「〇〇委員会サイト」や「体力向上サイト」など、学校全体で共有するのもとても好評です。
動画に限らず、子供たちが作成したデジタル成果物との相性も抜群です。「係活動サイト」も盛り上がります。ドキュメントやプレゼンテーションも「Ctrl+C」(コピー)、「Ctrl+V」(貼り付け)で、何でもペタペタ貼ってみましょう。
Googleサイトは、あらゆる情報をポータル化できる、超優秀ツールです。個別最適で協働的な学びを促進します。子供たちとぜひ一緒に触ってみてください。学級オリジナルの便利なコンテンツのリンク集が完成します。
鈴木優太(すずき・ゆうた)●宮城県公立小学校教諭。1985年宮城県生まれ。「縁太(えんた)会」を主宰する。『教室ギア56』『教室ギア55』(共に東洋館出版社)、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)など、著書多数。
参照/鈴木優太『教室ギア56』(東洋館出版社)、鈴木優太『教室ギア55』(東洋館出版社)、鈴木優太『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)、多賀一郎監修、鈴木優太編、チーム・ロケットスタート著『学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク』(明治図書出版)
イラスト/高橋正輝
【鈴木優太先生 連載】
・自治的な学級をつくる12か月のアイデア(全12回)
・子供同士をつなぐ1年生の特別活動(全12回)
・どの子も安心して学べる1年生の教室環境(全12回)
【鈴木優太先生 ご著書】
教室ギア56(東洋館出版社)
教室ギア55(東洋館出版社)
「日常アレンジ」大全(明治図書出版)
学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク(明治図書出版)