【相談募集中】音楽の授業を妨害する児童に困っている

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授業を妨害する児童に困っているという音楽専科1年目の先生からの相談が、「みん教相談室」に届きました。ここでは、児童合唱団を指導し、全日本合唱コンクール全国大会・金賞など各種コンクールでの入賞経験を多数持つ、北海道公立小学校教諭・上埜光規先生からの回答をお届けします。

Q.音楽専科講師1年目。一人の反抗的な児童がいて困っています

現在、講師1年目で小学校で音楽の専科をしています。1年~6年までを受け持っています。今までは社会人で楽器店の講師や大学の教職課程の補助などの経験もあります。

現在、困っていることは、ギャングエイジとされる児童が比較的多い3年のクラスの指導です。特にそのうちの1人に困っています。

始めの挨拶では起立をしない、注意しても更にふざける、リコーダーの練習ではリコーダーを出さない、注意すると更に、「だまれ」「分かったから」などと言って舌打ちします。

授業中のトイレについても、腹痛以外は基本、休み時間に済ませておく約束ですが、その児童については注意しても、目の前で「なんでダメなのか?」「もれる」「お前のせいだ」などと言われます。

担任に相談すると、腹痛持ちでもあるようでトイレは行かせていると聞いたので、行かせるようにすると、今度は2回、3回とトイレに行ってはドアの前でふざけたり、周りの目をひこうとします。

授業が中断されたり、練習中に他の児童にちょっかいを出したりするので、困っています。担任の先生からも指導はしてもらいましたが何も変わりません。むしろどんどん反抗的になり、廊下で会っただけで「うざい」とか、私に対して叩くような素振りをしてくるようにまでなりました。

こういった児童にはどのように指導していけばいいのか困っています。頑張っている児童もいるなかで、1人が乱すだけでクラス全体がざわざわとなり流されていく子もいます。担任の先生に相談しても変わることがなく、お忙しいので入ってもらうことはできません。

(みつばち先生・30代女性)

A.ゲーム性のある音楽遊びを取り入れてみては。具体例を2つ紹介します。

音楽専科として、いろいろな学級の子どもたちに授業をしている先生方は、限られた時間での関わりとなるので、児童との関係づくりで苦労される部分もあると思います。

今回のご相談では、専科指導のなかで、「一部の児童がふざける、反抗する、指示が通らない」など、授業が思うように進まない場面のお話がありました。授業のなかで、その児童のマイナス面が目立ってしまうと、そこに引っ張られてしまう児童や、授業が進まないことに不満を感じる児童が出てきてしまうことでしょう。児童との関係づくり、そして今回の場合は関係の改善が必要ですよね。音楽専科の先生方は、「音楽の授業を通して」関係を作る必要があります。

まずは、授業の導入や合間に、ゲーム性のある「音楽遊び」の時間を増やしてはいかがでしょうか。音楽を通して、学級全体が楽しい雰囲気になれば、その児童も「参加しようかな」という気持ちになるかもしれません。また、動きがある活動を意図的に取り入れることで、座ってじっくりと活動することが不得意な児童も参加しやすくなります。授業のなかで、「気になる児童」のマイナス面が、目立ちにくくなるような活動や授業展開にできるとよいです。活動のなかで、少しでも参加できた部分や、よいところを価値付け、ほめていきましょう。教師も子どもたちも、相手のよさに目を向けることができるといいですね。

それでは、具体的な活動例を紹介します。

一つ目は、「幸せなら手をたたこう」の合いの手です。通常は、「幸せなら手をたたこう(パン・パン)」と、2回手をたたきますが、この合いの手の回数を変えたり、強弱をつけたりと、少し変化をつけることができます。そして、隣の子とハイタッチをしたり、ジャンケンを入れたりなど、コミュニケーションを生み出す要素を加えることで、一緒に音楽を楽しむことにつながります。音楽の「常時活動」として、いろいろなバリエーションで実践されていると思います。ぜひ、ご自身の学校の子どもたちに合った形にアレンジされるとよいと思います。
例えば、今回ご相談の学級でしたら、「ジャンケンで負けたら座る」といった、「勝ち負け」のゲーム性を入れることで、意欲が高まりそうですね。この活動から、「拍」、「リズム」といった音楽を形づくっている要素につなげて、授業の本題に向かうとよいと思います。

二つ目は、ロングブレス選手権です。一息でどれだけ長く息を吐くことができるか競います。音程のないブレス、ハミング、リコーダーや鍵盤ハーモニカなど、いろいろな場面の導入として使えます。今回のご相談で、「リコーダーを出さない」というお話がありましたが、もしかすると、その子のリコーダーへの苦手意識が関係しているかもしれません。リコーダーを準備したら、すぐにできる活動です。「今日は『ソ』で音をのばしてみよう」など、音の指定で難易度を変えることができ、子どもたちも「これならできそう」と、挑戦する気持ちが生まれやすくなります。難しい指使いの復習にも使えますし、音楽的にはフレーズを一息で演奏することにつながります。

このように、子どもたちにとっての取り組みやすさ、コミュニケーションの機会、挑戦する気持ちを引き出すことを意識することで、「ギャングエイジ」の子どもたちも楽しく音楽の授業に入っていけると思います。楽しい授業で、児童との距離を縮めることができると、以前よりも指導がしやすくなるはずです。

北海道公立小学校教諭・上埜 光規
学級担任として、楽しく学びを実感できる授業実践を研究。特に音楽科では、身体を動かし、心で音楽を感じることを大切にしている。児童合唱団を指導し、全日本合唱コンクール全国大会・金賞など、各種コンクールでの入賞多数。北海道音楽教育連盟、北海道小学校合唱教育研究会、北海道ムーブメント教育研究会の事務局員を務める。


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