小5算数「正多角形と円」指導アイデア
執筆/新潟県公立小学校教諭・竹内直也
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、新潟県公立小学校校長・間嶋哲
目次
本時のねらいと評価規準(本時の位置 6/9時)
ねらい
円の直径と円周の関係について、具体物を用いて調べた円周と直径の長さを表にまとめ考察することを通して、どんな大きさの円でも(円周)÷(直径)は約3.14となることがわかる。
評価規準
任意の円を用いて円周と直径の長さを測り、それらの値を基に(円周)÷(直径)は約3.14になることを説明している。
問題場面
大きさの異なる車輪が3つあります。これらの車輪が1回転するときの距離を調べましょう。
拡大した車輪の模型やアニメーションソフトを用いて車輪が1回転する様子を示し、車輪の幅が「直径」、車輪が1回転するときの距離が「円周」の長さにあたることを捉えさせます。その後、厚紙で作った3つの車輪の直径と円周の長さを実測させます。
1回転すると、こんなに進むのかぁ。
実際に測ってみましょう!
実測値には誤差が生じるため、車輪ア・イ・ウをそれぞれ分担して実測させるなど、混乱を避けるための工夫をします。
大きい車輪は進む距離が長いから、円周の長さが長いってことだよね。
円周の長さと直径に、なにかきまりがありそうだよ。
本時の学習のねらい
円周と直径の長さには、どんな関係があるのだろうか。
見通し
直径は2倍、3倍になっている。円周は何倍になっているか調べると、きまりが分かりそうだよ。
円周の長さは直径に比べてだいぶ長くなっているよ。何倍になっているか調べてみよう。
自力解決の様子
A つまずいている子
直径が長くなれば、円周の長さも長くなることは理解しているが、円周の長さと直径との規則性は見いだせない。
B 素朴に解いている子
表を横に見ることで、直径が2倍、3倍…になれば、円周の長さも2倍、3倍…になること(比例関係)に気付き、計算によって確かめている。
C ねらい通り解いている子
比例関係に気付くとともに、表を縦に見て、円周の長さが直径のおよそ3倍になっていることを計算によって見いだしている。
学び合いの計画
自力解決中から、互いの追究の交流を促します。
そうすることで、つまずいている子供も友達の着眼点や調べ方を取り入れ、自力での追究ができるようになります。
ノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け
円周と直径の長さが比例関係にあることを押さえた上で、直径に対する円周の長さの割合に目を向けさせます。そのため、表にまとめた実測値について、「①横に見て分かること」「②縦に見て分かること」の順に整理して発表させます。
直径は2倍、3倍になっていますよね。円周も調べてみたら、2倍、3倍にかなり近い数になっていました。
円周の長さは直径に比例していると言ってよさそうだね。
これは、表を横に見て分かったのですね。他の見方はありませんか?
表を縦に見て考えました。もしかすると、円周は直径のだいたい3倍になっているのかなと思って計算してみたら、どの車輪の円周も直径のだいたい3倍になっていました。
どんな式で計算したのですか?
このように計算しました。
車輪ア 12.5÷4=3.13
車輪イ 24.8÷8=3.1
車輪ウ 37.7÷12=3.14
どれも、3.1ちょっと倍だね。円の大きさがちがっても、円周÷直径をするとだいたい3.1ちょっとになるね。
他の円の場合も、円周÷直径は3.1ちょっとになりそうだね。
みんなが調べた円周÷直径で求められる数を「円周率」といいます。円周率は割り切れることなく、3.141592……と限りなく続く数ですが、ふつう、3.14を使います。
学習のねらいに正対した学習のまとめ
どんな大きさの円でも、円周÷直径はきまった数(およそ3.14)となる。円周÷直径で求められる数を円周率といい、ふつう3.14を使う。
評価問題
身の回りのいろいろな大きさの円を使って、円周と直径の長さの関係について調べ、説明しましょう。

子供に期待する解答の具体例
わたしはセロハンテープを使って調べました。円周の長さが28.5㎝、直径が9㎝でした。円周÷直径をすると28.5÷9=3.166…となって、3.14に近い数になりました。やっぱり、円周÷直径はきまった数(円周率)になります。
本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
目的に合うグラフを作り、その意図を言葉で説明することができる。
感想例
円周÷直径=円周率ということが分かりました。どんな円でも円周÷直径が約3.14になるなんて、おもしろいなと思いました。
『教育技術 小五小六』 2022年2/3月号より