小3算数「小数」指導アイデア
執筆/富山大学人間発達科学部附属小学校教諭・屋鋪善祐
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、前・富山県公立小学校校長・中川愼一
目次
本時のねらい(本時10/12 時 小数のたし算やひき算の筆算を学習した後)
小数のしくみや数の構成に着目して、小数の大きさについて豊かな見方で考える。
評価規準
十進位取り記数法のしくみに着目し、数直線をよりどころにして[MATH]\(\frac{1}{10}\)[/MATH]の位までの小数の表し方と大きさについて考えている。(思考・判断・表現)
問題
2.8 はどんな数と言えますか。

2.8 は、2と□を合わせた数。
ほかにも、いろんな見方がありそうだよ!
「28000」は、どんな数ですか。
20000と 8000を合わせた数です。
前の学習で、数直線を基にすると、いろいろな見方ができたね。
20000+8000、30000-2000、1000が 28個分と見ることもできます。
いろいろな見方があるのですね。では、「2.8」はどんな数と言えますか。
2と 0.8を合わせた数です。数直線で表すと……、ここ(数直線の↓のところ)が 2.8 です。
この2.8も、整数のときのように、いろいろな見方ができそうだよ。
ほかにも見方があるのですか。
小数は、どんな見方ができるだろうか。
見通し
- 整数のときと同じように、「合わせる」「~個集めた」「大きい」「小さい」と表せばよさそうだ。〔方法の見通し〕
- 一つの数でも、いろいろな見方ができそうだ。 〔結果の見通し〕
自力解決の様子
A つまずいている子
2と0.8という見方しかできていない。
B 素朴に解いている子
数直線を基にして、小数をいろいろな見方で捉えている。
2から8目盛り進んでいる。0.8大きくなっているということだから……。
C ねらい通り解いている子
整数の見方から類推して、小数を多面的な見方で捉え、それを言葉や式などで表している。
3より0.2小さい数と言える。式に表すと、2.8=3-0.2と表せるよ! まだまだありそうだ!
学び合いの計画
「10000より大きい数」の学習を思い出す場を設けることで、「2.8は、2と0.8を合わせた数」であると捉えることができるようにします。
また、整数の場合と同じように、数直線をよりどころにして数の見方について考える場を設けることで、小数も多様な見方ができることに気付くきっかけとなります。
小数を多様な見方で捉えるために、話合いの場で「合わせる」「~個分」「大きい」「小さい」などのキーワードを価値付け、板書に位置付けることが大切です。
数を多様に見ることが苦手な子には、「合わせる」「~個分」「大きい」「小さい」などキーワードを事前に提示して、考えの手助けとする方法も考えられます。一人ひとりが自信をもって、数の見方を広げることができるように、考えの見通しをもつ場を工夫しましょう。
話合いでは、考えを共有し合い、自分の考えと友達の考えを比較し合う場を設けましょう。
「○○さんと同じ考え方だ」「同じ考え方だけど、言葉じゃなくて式で表したよ」「自分とは違った考え方だ」など、友達の考えから、自分では見いだせなかったさまざまな小数の見方に気付く姿が生まれます。
ノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
2.8は、どんな見方ができますか。
「3より0.2小さい数」という見方ができます。数直線でも3より2目盛り小さいです。
私も同じ見方をしたけれど、式で表しました。
「2.8=3-0.2」です。
言葉だけでなく、式でも表すことができるんだね。
私も式で表したよ。「2.8=2+0.8」です。
これを言葉で表すと、どうなりますか。
「2より0.8大きい数」ということができます。
「2.8は、0.1を28個集めた数」という見方もできます。 0.1の目盛りが28個分進んだと言えます。
整数と同じように、同じ数でもいろいろな見方ができるね。もっといろんな数も調べてみたい!
学習のまとめ
大きな数(整数)と同じように小数も、いろいろな見方ができる。
2.8= 2+0.8 2より 0.8大きい(8目盛り進む)
2.8= 3-0.2 3より 0.2小さい(2目盛り戻る)
0.1の 28個分 (28目盛り分)
評価問題
4.3は、どのような見方ができますか。
子供に期待する解答の具体例
- 4より 0.3大きい数 → 4.3=4+0.3
- 5より 0.7小さい数 → 4.3=5-0.7
- 4.3 は、0.1を 43個集めた数 → 4.3=0.1×43 など
本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
十進位取り記数法のしくみに着目し、[MATH]\(\frac{1}{10}\)[/MATH]の位までの小数の見方について考えている。
感想例
- 小数も、「合わせる」「~個分」「大きい」「小さい」などいろいろな見方ができることが分かりました。友達の考えを聞いて、言葉だけでなく、式で表すと分かりやすいと思いました。
- これまで学習した大きな数と同じように、いろいろな見方ができることが分かりました。また、分数では[MATH]\(\frac{1}{□}\)[/MATH]のいくつ分という見方と同じように、0.1のいくつ分という見方もできます。
- もっとほかの小数の場合でも、いろいろな見方ができそうです。試してみたいです。
イラスト/横井智美
『教育技術 小三小四』2021年12/1月号より