小4 国語科「感動を言葉に」板書例&全時間の指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小4国語科「感動を言葉に」(光村図書)の各時の板書例、発問例、ワークシート例、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した全時間の授業実践例を紹介します。

小四 国語科 教材名:感動を言葉に(光村図書・国語 四下)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/大妻女子大学家政学部児童学科教授・樺山敏郎
執筆/神奈川県相模原市立双葉小学校・荒木昭人

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、詩を書くことを通して、自分自身が感じたことを読み手に伝えることを意識し、書き表し方を工夫する力を付けます。
とくに、詩の書き表し方を工夫する過程で、「読み手に自分の感動したことが伝わるか」という視点で推敲したり、様子や行動、気持ちを表す語句の量を増やし語彙を豊かにしたりすることが重要です。
相手や目的に応じて文や文章を推敲することと、様子や行動、気持ちを表す語彙を豊かにすること、それぞれを関連的に指導することを意識しましょう。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元で扱うのは「詩を書く」という言語活動です。
詩は、大きく二つに分けられ、一つは配列、順序、韻律などに規則的な形式をもつ定型詩、これに対して制限等をもたない詩のことを自由詩と言います。本単元では、自由詩を扱うこととします。

詩は、児童が普段から目にすることの多い文章の様式とは異なり、独特な改行形式や連による構成等が特徴です。また、感じたことや想像したことについて、様々な技法を活用しながら豊かに表現することができます。
ここでいう技法とは、例えば、同じ言葉を繰り返し強調する「反復(リフレイン)」、イメージが具体的になるだけでなくリズム感も生み出す「擬音語・擬態語(オノマトペ)」、様子や動きについて読み手に強い印象を与える「比喩」等です。

しかし、技法が活用できるからと言ってよい詩になるとは限りません。単元名や教材名にもあるように、「心の動き」や「感動」を言葉で表現することが大切なのです。短い言葉や文でそのときの思いを言葉にする詩だからこそ、伝えたいことを明確にし、表現の工夫をすることにつながるのです。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 自分自身の「心が動いたこと」を想起し、伝えたいことを題材に選ぶ。

本単元では、これまでの自分自身の経験の中から「心が動いたこと」を想起し、「友達に伝えたい」と思うテーマを選択します。このように、「心が動いたことを友達に伝える」という、「伝える対象」や「活動の目的」を明確にすることで、見通しをもって詩を作ったり、粘り強く詩の推敲に取り組んだりすることにつながります。

とくに、「伝えたい」と思えるテーマを選択させることで、作った詩を自分で見直したり、友達にアドバイスを求めたりしながら、構成や表現を工夫しようとする意識も高まります。
一方で、「詩を作って伝えることが恥ずかしい」と思う児童が出てくることも想定されます。そんな児童に対しては、これまでに学習してきた詩や特徴的な詩、同じ題材を扱った複数の詩等を紹介することで、詩で表現することの魅力を味わえるようにしたり、詩を作る過程をスモールステップにして「私にも詩が作れそう」と思えるようにしたりすることが有効です。

また、「すぐにテーマが思いつかない」という児童もいるでしょう。
手立てとしては、事前に詩の学習をしたり、テーマについて簡単に説明し材料を集めておけるようにしたり、学年・学級で共通体験をしている行事等をテーマの選択肢として挙げたりすることが考えられます。

〈対話的な学び〉 様々な詩に触れることを通して、詩を書くためのイメージを広げる。

導入で、これまで学習してきた詩を提示することで、それらの詩を手掛かりに、自分が書こうとする詩についてイメージを広げたり、今後の活動への見通しをもてるようにしたりします。
その際は、「それぞれの詩にはどのような特徴があるのか」「作者はその詩にどのような思いをこめたのか」等について、学級全体で話し合うことも有効です。

また、詩を通して「心が動いたことを友達に伝える」という目的を意識しながら、友達とアドバイスをし合い、構成や表現の工夫を考えることにつなげることも重要です。とくに、友達の詩に対してアドバイスを行う際は、「詩を通して伝えたいことはどんなことなのか」を捉え、それに基づいたアドバイスを行うことを意識させるようにしましょう。

〈深い学び〉 これまでの詩の学習を生かして、詩の構成や表現を工夫する。

本単元で取り扱う「詩を書く」という言語活動では、どの言葉を使うか吟味したり、構成や表現を工夫したりしながら創作することが重要です。そのためには、これまで学習してきた詩の特徴や用語、表現の技法等を想起したり、新たに学んだりしながら、それらを発揮して詩を書けるように単元を構成しましょう。

また、詩に使う言葉を吟味する際は、児童がすでに習得している言葉から選択するだけでなく、関連する言葉を様々な方法で調べ、意味や響き等を含めて比較・検討する場面を設定しましょう。そうすることで、新たな言葉を獲得しようとする態度の育成や語彙の拡充にもつながります。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)選んだテーマを詩にするために、言葉を集めたりイメージを広げたりする場面での活用
詩を書くにあたり、言葉を集めたり、イメージを広げたりすることで、より豊かな表現につなげることができます。
例えば、学習場面によって、次のような活用方法が挙げられます。

【言葉を集める】検索機能を使い、「(調べたい言葉)類語」のような言葉で検索を行うことで、多くの関連する言葉を見つけ、それらを比較・検討することができます。

【イメージを広げる】画像検索機能を使い、テーマやそれに関する言葉を検索することで、関連する画像または動画を閲覧・視聴することで、テーマに対するイメージを広げることができます。

(2)下書き等を読み返し、目的と照らし合わせながら文を整える場面での活用
詩を書く学習においても、ワープロソフトやオンラインホワイトボード等を活用することのメリットを十分にいかしましょう。とくに、文章を整える場面においては、1人1台端末を活用することで、「文章の書き換え(元に戻すことも含め)」「文の途中への言葉の挿入」「言葉の順番の入れ換え」「修正前後の文章の比較」等が容易に行えます。

6. 単元の展開(7時間扱い)

 単元名: 心の動きを言葉にして、詩を書こう

【主な学習活動】
・第一次(1時2時
① 学習してきた詩を読み返してこれまでの学習を振り返り、「心が動いたときのことを詩で表現し、友達に伝えよう」という課題を設定する。
② これまでに心が動いたことの中から、詩にして伝えたい題材を選ぶ。

・第二次(3時4時5時6時
③ 選んだ題材に関連する言葉を書き出し、イメージを広げる。〈 端末活用(1)〉
④ 表現を工夫するための技法を学び、それを活かして詩を書く。
⑤ 書いた詩を整えるために、「言葉と言葉を組み合わせる」「順序を入れ替えたりする」といった書き表し方を工夫する方法を知る。
⑥ 書いた作品を読み返し、心が動かされたときのことが伝わる表現かどうかを確かめ、整える。〈 端末活用(2)〉

・第三次(7時
⑦ 友達の詩の工夫を見つける。
 ・友達と詩を読み合い、よさを伝え合う。
 ・学習を振り返る。

各時の板書例、ワークシート例、発問例、児童の発言例

【1時間目の板書例 】

■学習してきた詩を読み返してこれまでの学習を振り返り、「心が動いたときのことを詩で表現し、友達に伝えよう」という課題を設定する。

1時間目の板書例

〇 単元の導入では、これまでに扱ってきた詩やそこで学んだことを想起させるとともに、複数の詩を比べることで表現の工夫や詩の構成について児童に意識させることが重要です。

そのためには、例えば、これまでに学習してきた詩を提示し、それぞれの詩を音読したり比べたりする活動を行うことが考えられます。ここで紹介する詩については、児童が「表現の技法」「詩の構成」「作者の感動」等に気が付くことができるような意図的な選択をすることが重要です。

< 教師の発問、児童の発言例 >

これまでに国語の時間に学習してきた詩を並べました。一つ一つ音読してみましょう。

(音読)【順番に読んだり、好きな詩を繰り返し読んだりする。】

これまでに学習した詩を読んだり、比べたりしてみて気が付いたことはありますか。

詩には長い詩と短い詩があります。

つるつる、そよそよ、どんどんのような言葉が使われています。

このような言葉を「様子を表す言葉」と言いますね。

「ぼくは川」のように、同じ文を2回くり返すことがあります。

作者が感じたことや思ったことを詩にしていると思います。

これまでにみんなは詩を「読む」側として学習してきましたが、今度は詩を「作る」側になり、実際に詩を作ってみましょう。「これまでに心が動いたこと」をテーマにして詩を作ります。書いた詩を友達と読み合って、「心が動いたこと」について友達に伝わるように詩を作りましょう。
詩を作るときには、これまでに学習してきた「詩の特徴」や「様子を表す言葉」などを生かせるといいですね。


【2時間目の板書例 】

■これまでに心が動いたことの中から、詩にして伝えたい題材を選ぶ。

2時間目の板書例

イラスト/横井智美

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