小3算数「あまりのあるわり算」指導アイデア(6/7時)《適切なあまりの処理のしかた》
執筆/富山県公立小学校教諭・前田正秀
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、前・富山県公立小学校校長・中川愼一
目次
本時のねらい(本時6/7時 単元の終末の活用の学習)
場面に即したあまりの処理のしかたについて考える。
評価規準
場面に着目し、適切なあまりの処理のしかたについて考えている。(思考・判断・表現)
問題
子供が 13人います。1つの長いすに4人ずつすわっていきます。長いすはいくついりますか。

子供が13人います(と言いながら、黒板におはじきを 13 個貼る)。
1つの長いすに4人ずつ座ります(と言いながら、おはじきを4個、線で囲む)。
長椅子はいくつ要りますか。
この問題をどのように考えたらよいですか。
式は「13 ÷4=3あまり1」になります。
でも、答えは3つでよいのかな。1人余ってしまうよ。
余った1人は、どうすればよいか考えましょう。
学習のねらい
あまりをどうすればよいのかを考えて、長いすの数をもとめよう。
見通し
・わり算を使う。 〔方法の見通し〕
・余りの1人をどうすればよいか考える必要がある。〔結果の見通し〕
自力解決の様子
A つまずいている子
13 ÷4=3あまり1
答え 3つ
(わり算を使うことに気付いているが、商をそのまま答えとしている)
B 素朴に解いている子

答え 4つ
(図を基に、長いすが3脚では足りないことに気付いている)
C ねらい通り解いている子
13 ÷4=3あまり1
3+1=4
わり算をすると1人余るけど、その人が座るためには、長椅子がもう1つ必要だから(式に表して説明できている)。
学び合いの計画
子供たちにとっては、正しい理由の説明よりは、間違っている理由の説明のほうがしやすいものです。学び合いでは、「長いすの数が3つ」ではだめな理由を考えていくようにするとよいでしょう。
話合いでは、「たった1人が余ったとしても、長いすはもう1つ必要」といった考えが出てくることでしょう。この考えは「3+ 1=4」という式に表すことができます。
図と言葉と式を関連付けながら、子供たちの考えを深めていきましょう。

ノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
「 13 ÷4=3 あまり1」だから、答えは3つでよいでしょうか。
だめです。それだと余った1人は座れません。
余った子が座るために、もう1つ長いすが必要だから、答えは4つです。
式に表すと「3+1=4」になります。
子供たちのなかには、「1人だけで長椅子に座るのはかわいそう」と感じるため、答えに納得できない子供もいることでしょう。その思いを取り上げて、「実際に座る場合の工夫」について考えてみるのもおもしろいでしょう。
実生活のなかでは、1人だけの席へ誰かが移動して、例えば「4+3×3」という座り方も考えられます。
求めた4という数は最低限必要な長椅子の数であって、実際の座り方には工夫の余地があるのです。

学習のまとめ
(「わり算の答えは3」「長いすの数は4」…1をたした数が問題の答えとなる)

問題の場面に合わせて答えを考える必要がある。
※わり算の答えが、問題の答えではない場合もある。
評価問題
ケーキが15こあります。1はこにケーキが4こ入ります。全部のケーキを入れるには、はこは何はこひつようですか。
子供に期待する解答の具体例
15 ÷ 4 = 3 あまり3
余ったケーキを入れるために、もう1箱必要なので、
3 + 1 = 4 ( 答え) 4箱
本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
余りの処理のしかたについて考え、言葉や式を用いて説明している。
感想例
・この場面では1をたさないと正しい答えにならないことが分かり、余りも大事だなと思いました。
・1をたさなくてはいけないのは、ほかにどのような場面があるのか考えてみたいです。
・求めた答えが問題の場面に合っているかどうかを確かめるようにしていきたいです。
イラスト/横井智美
『教育技術 小三小四』2021年8/9月号より