小4国語「聞き取りメモの工夫」指導アイデア
教材名:「聞き取りメモの工夫」(光村図書 四年下)
指導事項:話すこと・聞くこと(1)ア・エ
言語活動:ア
執筆/京都府公立小中学校教諭・高田裕宇
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、京都府公立小学校校長・藤本鈴香
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
本単元では、必要なことを記録したり質問したりしながら聞き、話し手が伝えたいことや自分が聞きたいことの中心を捉え、自分の考えをもつことができるようにします。必要な内容を記録するためには、聞き落としてはいけない重要な語句は何かを判断しながら聞いたり、聞いた後に話の内容をふり返ったりすることが求められます。
話し手が伝えたいことの中心を捉えるためには、話の内容や話し方に関心をもち、事柄の順序など、話の組み立て方を意識しながら、話の要点を聞くことが重要になります。また、自分が聞きたいことの中心を明確にして聞くためには、どのような目的で聞くのか、自分が聞いたことは何かなどをよく確かめて聞き取ることが重要になります。
②言語活動とその特徴
本単元では、「大事なことを落とさずに聞き、メモを取るときの工夫について話し合う」という言語活動を位置付けます。メモを取るときには、話や文章の内容を螺旋的に書き出したり、機械的なメモの取り方を覚えたりするのではなく、必要な情報は何かを念頭に置きながら、落としてはいけない語句を適切に捉え、それらを書き留められるようにしましょう。
また、なんのためにメモを取るのかを意識し、目的に合ったメモの取り方についてふり返ることができるようにしましょう。
単元の展開(6時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
①これまでにメモを取った経験を思い出して学習課題を設定し、学習計画を立てる。
【学習課題】大事なことを落とさずに聞き、メモを取るときの工夫について話し合おう。
第二次(2~5時)
②その場にいない人に話の内容を説明するために、聞き取ったことについてメモを取る。
③メモの取り方の工夫について話し合う。
→アイデア1 主体的な学び
④自分やクラスの友達がよく知らないことについて詳しい人に話を聞き、メモを取る。
⑤目的に合ったメモの取り方について話し合う。
→アイデア2 対話的な学び
第三次(6時)
⑥単元の学習をふり返り、これからの生活で生かせることについて話し合う。
→アイデア3 深い学び
アイデア1 具体的な場面を想定して、実際にメモを取ろう
よりよいメモの取り方について教え込むのではなく、自ら進んで考えられるように自分が実際に取ったメモを基にして話し合います。自分の取ったメモを友達と見せ合ったり、教科書に示されている例と比べたりして、メモの取り方の工夫について考えていきます。
▼Aさんのメモ
▼Bさんのメモ
Aさん
詳しくメモを取ろうと思ったけど、途中までしか書けなかったよ。どうしたら大事なことを落とさずに書けるのだろう。
Bさん
話の内容をすべて書かなくてもいいと思うよ。私は、数字や記号を使って、できるだけ短く書けるようにしたよ。
▼メモを比べた後のAさんのノート
■にているところ
・二つの仕事を書けていた。
■ちがうところ
・話したことのなかから、大事だと思うことを書いていた。
・文字の量が少なかった。
■工夫しているところ
・□で囲んでいた。
・数字を使っていた。
できるだけ短く書くことが大切。
教師が、実際にメモを取ってみて、子供がつまずきやすい点を予測し、話合いで取り上げるようにしましょう。違いを明確にするために、Aさんのようにうまく取れなかったメモの例を教師が示すことも考えられます。
アイデア2 目的に合ったメモの取り方について話し合おう
聞き取ったことをメモに残しておくと、聞いた事柄について分からない点や確かめたい点を質問したり、自分の感想を伝えたりすることができます。メモの取り方は、目的に応じて変わってきます。
目的に合ったメモの取り方について話し合い、整理することで他教科等の学習や日常生活に生かせるようにしましょう。
知っていることを聞くときと、知らないことを聞くときでは、メモの取り方はどのように変わるのでしょうか。
▼ワークシート例

学級で考えられる場面を例に挙げ、子供たちが具体的に考えられるようにしましょう。
アイデア3 単元の学習をふり返り、今後に生かせることについてまとめよう
メモの取り方の工夫は、これからも他教科・領域や日常生活に生かすことができます。身に付けた力を子供自身が自覚し、さまざまな場面に生かせるようにまとめましょう。
▼メモの取り方のポイント

本単元での学びを、次の三つの視点でふり返りましょう。

①新しく知ったこと
目的によってメモの取り方が変わってくることです。これからは、なんのためにメモを取るのか意識したいです。
②気を付けたこと
できるだけ短くまとめられるように、記号や数字を使ってメモを取りました。
③今後に生かせること
外部の方の話を聞くときは、分からないことがあっても後で質問して書き足せるように、書くスペースをを空けるようにしたいです。
メモの取り方の工夫をまとめておき、必要な場面で活用できるようにしましょう。子供たちの言葉でまとめることがポイントです。
イラスト/佐藤道子 横井智美
『教育技術 小三小四』2020年2月号より