【特別支援教育】連携①「保護者との関係づくり」指導のポイントとアイデア

元文部科学省調査官監修による、特別支援教育の指導のポイントとアイデアです。今回は、〈連携①「保護者との関係づくり」〉を紹介します。保護者との連携は子供を支援するうえで大切です。保護者との信頼関係をつくるためのヒントや子供の支援のための話合いなど、保護者との関係づくりの工夫をお届けします。
執筆/北海道教育大学札幌校准教授・山下公司
監修/元文部科学省特別支援教育調査官・加藤典子
白百合女子大学人間総合学部初等教育学科教授・山中ともえ
目次
特別支援教育 年間執筆計画
04月 児童理解①児童の状態の把握
05月 児童理解②個別の教育支援計画と個別指導計画の作成・活用
06月 児童理解③児童への具体的な対応
07月 学級経営①多様性を尊重する学級
08月 学級経営②学級内での人間関係づくり
09月 学級経営③集団指導と個別指導
10月 授業づくり①ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた授業
11月 授業づくり②合理的配慮についての工夫
12月 授業づくり③ICTの活用
01月 連携①保護者との関係づくり
02月 連携②校内連携
03月 連携③関係機関の活用
【解説編】
〇保護者の思いをねぎらう
特別な支援を必要とする子供の保護者は、子供の困っていることについて多くの悩みを抱えているかもしれません。保護者は様々な思いを抱いて子育てしています。教師から学校生活で困っていることを伝えられたり、周りの保護者からきちんと子育てするよう責められたり……。
まずは、これまでの子育てをねぎらいつつ、これから協力して子供の育ちを支えていくということを伝えてほしいと思います。保護者に「この人になら自分の思いを話してみてもいいかもしれない」と思ってもらうことが重要です。保護者は、保護者の目を通して子供を見ています。保護者が話していることは、「本当かな」と思ってしまうこともあるかもしれません。しかし、保護者の受け止め方では、それが本当なのだと考えて話を受け止めることが大切です。まずは、否定することなく保護者の話を聞いていきましょう。
〇対等な立場で話を聞く
連携の一番のポイントは、対等であるということです。一方的にどちらかがアドバイスするというような関係は対等ではありません。これは、保護者との連携においても同じです。教師は教育の専門家として、保護者は自分の子供の子育ての専門家として、互いに子供の日常生活を支えています。保護者は、子供にとって一番身近な支援者です。学校では見られない子供の性格もよく知っています。そのことを念頭において、保護者から多くの情報を得て、支援を検討していきましょう。
〇子供の困っていることを解消するために連携する
学習面で困っていることがある場合、家庭でも熱心に学習に取り組み過ぎて、子供と保護者の関係が悪化していることがあります。保護者も子供の困っていることを少しでも解消しようと、様々なことに取り組んでいます。もちろんそれが悪いことではありません。
しかし、学習面で困っている子供の多くは、取り組んでいる方法がその子供に適していないことがあります。子供に適した方法でなければ、子供の困っていることの解消につながらず、学習への自信をなくしてしまいます。「おうちでも勉強を見てあげてください」このような言葉を保護者に伝えがちですが、無責任に伝えることは避けましょう。もし家庭での取組をお願いする場合には、その子供に適した方法で、負荷が高くならない方法や内容を提案するようにしましょう。
〇具体的に考える
保護者の困っていることを解消するために、生活全般のことについて大まかに聞くのではなく、場面を区切って整理して聞いてみましょう。例えば、“いつも”やるべきことをやらないという話があったときには、「朝の支度の場面ではどうか?」「寝る前の準備場面ではどうか?」など場面を限定してどんな様子かを聞いていきます。そのうえで、うまくいったときのことを聞き、それがなぜうまくいったかを伝えていけるとよいでしょう。
家庭生活での相談に関しては、保護者のアイデアを基に具体的な支援方法を検討していくことも大切です。保護者が家庭で行っていることは、子供に適したよい方法を実践していることもあります。学校から提案する際には、「それならできそう」「ちょっとやってみよう」と思えるような方法を提案できるとよいでしょう。

