ページの本文です

単元のGoalは、外国人観光客のニーズも聞き出しつつ案内をする【「高校につながる英・数・国」の授業づくり #57】

連載
全国優秀教師にインタビュー! 中学校編 中1〜中3を見通す! 「高校につながる英・数・国」の授業づくり
単元のGoalは、外国人観光客のニーズも聞き出しつつ案内をする【「高校につながる英・数・国」の授業づくり #57】 バナー

前回、長野県木曽町立日義小中学校の佐藤広基教諭が、多くの人とつながりながら地域の活性化を図りたいという子供たちの願いを学びに生かした、英語の大単元の計画やその意図などについて話を伺いました。最終回となる今回は、その大単元の最後を飾るオリジナル単元を紹介していきます。

長野県木曽町立日義小中学校
佐藤広基 教諭
長野県木曽町立日義小中学校
佐藤広基 教諭

最終的にインタラクティブなコミュニケーションへとグレードアップ

資料1 単元構成図

資料1 単元構成図

この単元は、半年の学びを締めくくるもので、木曽町内で外国人観光客の人気も高い奈良井宿に出かけ、1学期末に作成したパンフレット(前々回に紹介)を使いながら対話を通して相手の求めるものを引き出し、それに合致する案内をし、日義地域の観光紹介も行うというGoalの単元です(資料1参照)。単元設計当初は、パンフレットを使ったスピーチに近いものをイメージしていたと言いますが、最終的にインタラクティブなコミュニケーションへとグレードアップしていったという実践の内容や意図などについて、佐藤教諭は次のように説明します。

「この単元のGoalでは、奈良井宿へ出かけ、外国人観光客に話しかけて、対話をしながら相手のニーズも聞き出しつつ案内をしていきます。そこで対話しながら案内をするため、この単元では対話や表現をブラッシュアップしていく学習を進めていくわけです。

外国人に限ったことではありませんが、対話にあたっては、やはり『誰に話すのか』という相手意識がキーワードになってきます。この学習を始めた当初、子供たちの中にあるのは『外国人』という漠然とした像だったのですが、実際に外国人観光客と話す体験を通し、『本当に今、目の前で話をしている一人一人の相手なんだ』と変わってきたと思います。よりリアルなコミュニケーションになってきたわけです。

そこでこの単元では、過去に対話をし、フィードバックをもらった方の出身国、年齢、滞在期間、何に興味があるかなど、エッセンスを取り出して架空のキャラクターカードとして整理(資料2参照)。ペア同士で対話の練習をする際に、一方がそのカードの外国人役になりきり、案内をする役の子供は相手がどこから来た、どんな人で、どんなニーズがあるかを聞き出しながら案内をしていきます。

資料2 キャラクターカード

資料2 キャラクターカード

案内をする側は、観光客の出身国や年齢層など、バックグラウンドも考慮しながら、例えば若い方が食事をしたいと言えば、『ジャンクフードもありかな?』と考えるとか、大人の層は景色に興味がある方が多いので、『あの場所なら喜んでもらえるかな』とイメージして対話を進めていけるようにしていくために考えたものです」

実際に、同一時間内に対話するペアの相手を替えながら練習をしていくことで、多様な人と対話する練習にしていたと言います。

また、基本的には各時間ともに、Goalとなる奈良井宿での対話に向けて、相手の情報を引き出すやり取りや日義の紹介を練習していきますが、時間ごとに対話をブラッシュアップするためのポイントを変えながら学習を進めていったそうです。

ちなみに1/6時のGoalは、『外国人観光客に日義に来てもらうために』紹介をする、2/6時は、『相手の求めることを考えながら』紹介をする、3/6時は、『相手の求めることを考えながら』パンフレットを改良する、4/6時は、『多様なシチュエーションで欲しい情報を得るための質問』を考えるというように、それぞれのGoalを見れば、ポイントが変わってきていることが分かると思います。

「今回の大単元の中では、ALTのシェリー先生とのやり取りも大事にしています。例えば対話練習では、ネイティブであるALTの先生が子供たちの表現を拾い上げて、『こういう表現はいいね』『この表現はもっとこうしたほうがいいよ』とアドバイスをしてくれたことで、子供たちの質問力を高めてくれたことは大きいと思います。もちろん以前紹介した単元でも、ALTの先生が実際に日本に来て困ったことなどを紹介してくれたことは、子供たちが紹介文を考える上で大きかったですね」

ALTのシェリー先生と授業を行う佐藤教諭。
ALTのシェリー先生と授業を行う佐藤教諭。

「もう少し表現を身に付けて、深く話ができたらよかった」

この記事をシェアしよう!

フッターです。