小3社会「身近な地域の様子」指導アイデア
執筆/埼玉県川口市教育局生涯学習課・佐野純也
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登、埼玉県公立小学校校長・清水健治
目次
目標
地形や土地利用、交通の広がりなどに着目して、観察・調査したり地図などの資料で調べたりして白地図などにまとめ、場所による違いを考え、表現することを通して、身近な地域の様子を大まかに理解できるようにする。
問題をつくる
生活科での学習や生活経験などを基に身近な地域の様子について話し合い、空間的な広がりに着目して学習問題をつくる。 (1/5時間)

導入のくふう
学校の周りの様子について、知っているつもりだがよく分かっていない点が多いことに気付かせ、確かめたいという問題意識と追究意欲を高める。
●生活科のまち探検で作成した絵地図を提示し、商店や住宅、公共施設などの位置や分布を問うことで、広がりに問題意識が向くようにする。

お店や公園、スポーツセンターなどは、学校から見てどちらのほうにありますか。
スーパーマーケットは南だね。
スポーツセンターは学校の東にあるね。
公園は北のほうだね。
保育園も北だよ。
店は駅のほうに多い気がするな。
南側や駅のほうには何がありますか。
何があったかな。友達の家が多いのはわかるけど。
学校のすぐ近くのことはよくわかるけれど、わからないことも多いね。
●子供の疑問などを生かして学習問題を設定し、学習計画を立てる。
みなさんの分からないところを解決するために、学校の周りの様子を調べましょう。
学習問題
『私たちが住む○○県はどのようなところなのだろう』
学習の流れ(5時間扱い)
問題をつくる(1時間)
○生活科での学習や生活経験などを基に話し合い、学習問題をつくる。
学習問題
わたしたちの学校の周りは、どのような様子なのだろう。』
↓
追究する(3時間)
○学校の周りの調査をする。
○学校の周りの調査をして、分かったことや気付いたことを白地図にまとめる。
↓
まとめる(1時間)
○作成した地図や航空写真、写真資料などを基に、学校の周りがどのような様子なのかをまとめる。
まとめる
作成した地図や航空写真などを基に、場所による違いを考え、学校の周りの様子を大まかに理解する。 (5/5時間)
まとめ方のくふう
調べて分かったことを付箋で貼り付けたり、写真を貼ったりして地図を完成させ、作成した地図を基に、まとめの話合いをする。
●調べて分かったことを基に地図を完成させる。

学校の周り調べで分かったことはなんですか。
東には駅があるよ。お店が集まっていたよ。
東側には大きなマンションがたくさんあったよ。
南には一軒家が多かったね。南側にはお店が少なかったなあ。
●完成した地図を基に、まとめの話合いをする。
どうして東と南では様子が違っているのでしょうか。
駅に近いほど大きな建物が多い。駅が関係していると思う。
駅に近いと便利だからたくさんの人が集まるね。
つまり、学校の周りはどういう様子と言えるでしょうか。
学校の周りでも場所によって様子が違うことが分かりました。
分かったことを白地図に表して終わりとするのではなく、学校の周りの様子を「つまり…」という言葉を使ってまとめたり、お店や家の集まり、土地の使われ方と交通などを組み合わせて考えたりしてまとめるとよいですね。
単元づくりのポイント
新学習指導要領では、授業時間数の配分などを工夫して「自分たちの市」の学習に重点を置いた効果的な指導が求められています。そのため、本単元を計画する際には、次のような点をポイントとして配慮する必要があります。
- 生活科のまち探検で作成した地図などを導入で活用すると効果的である。
- 身近な地域調査を行う場合は、目的や着目する視点を明確にし、効果的に調査を行えるようにする(場所による様子の違いを考えるうえで、効果的な場所を取り上げるなど)。
- この単元から地図帳を活用し、四方位についても取り上げていく。
- ICT を活用することで、調査していない場所や市全体の広がりなどの把握につなげる。
- 学校の周りの様子を捉える際に活用した視点(地形・土地利用・交通の広がり・公共施設など)、社会的事象の見方・考え方を「自分たちの市」の学習に生かすようにする。
イラスト/横井智美
『教育技術 小三小四』2019年4月号より