小6家庭科 「すずしい住まい方『家族に提案!快適ルームプランナー』」

今回は、「すずしい住まい方『家族に提案!快適ルームプランナー』」の授業実践を紹介します。夏季に涼しく過ごすための室内の温度や湿度、空気の流れを調節する方法について実験を通して考え、学んだことを自分の家庭生活で生かすことを目指します。
執筆/東京都公立小学校主任教諭・橋本英明
編集委員/東京都公立小学校校長・飯島典子
監修/元文部科学省教科調査官・筒井恭子
目次
年間掲載内容
04月 見直そう生活時間 チャレンジしよう家庭の仕事
06月 すずしい住まい方「家族に提案!快適ルームプランナー」
08月 クリーン大作戦
10月 ミシンでソーイングⅡ
12月 持続可能な社会を生きる
02月 レッツトライ! 生活の課題と実践
1 題材名
すずしい住まい方「家族に提案!快適ルームプランナー」
2 題材について
本題材は、内容「B 衣食住の生活」の(6)「快適な住まい方」のア(ア)「季節の変化に合わせた生活の大切さや住まい方」、イ「季節の変化に合わせた住まい方」における、暑い夏を涼しく過ごすための住まい方について扱います。
暑い季節の住まい方については、身の回りを快適に整えるために、室内の温度や湿度、空気の流れを調節する大切さを理解できるようにします。主として、夏季に涼しく過ごすための「通風の必要性」「冷房器具の効果的な使い方」「太陽の熱のさえぎり方」「快適さを高めるための道具や音の利用」について取り上げ、自然の力を効果的に活用する方法について考えるとともに、健康・快適の視点から、自然を生かした生活の大切さについて理解できるようにします。また、涼しく快適な生活にするための方法として、すだれ、打ち水、風鈴などを取り上げ、日本の生活文化や昔からの生活の知恵に気付かせるようにします。
指導に当たっては、学校や家庭など身近な空間を対象とし、快適にするためには何が必要かを考えさせ、比較実験などを通して、それらを科学的に理解できるように指導方法や教材・教具を工夫します。そして、子供たちが学んだことを自分の家庭生活でどのように生かすのかを考え実践し、生活の改善に取り組むことができるようにします。また、日常着の快適な着方や、内容「C 消費生活・環境」で学習する「環境に配慮した物の使い方」とも関連を図り、冷房機器に頼りすぎず、環境にできるだけ負荷を掛けずに生活する方法を、子供たちが自ら考え、選択できるようにすることも考えられます。
3 題材の目標
〇季節の変化に合わせた生活の大切さや住まい方について理解する。
〇季節の変化に合わせた住まい方について問題を見いだして課題を設定し、様々な解決方法を考え、実践を評価・改善し、考えたことを表現するなどして課題を解決する力を身に付ける。
〇家族の一員として、生活をよりよくしようと、快適な住まい方について、課題の解決に向けて主体的に取り組んだり、振り返って改善したりして、生活を工夫し、実践しようとする。
4 題材の評価規準
●知識・技能
住まいの主な働きが分かり、季節の変化に合わせた生活の大切さや住まい方について理解している。
●思考・判断・表現
季節の変化に合わせた住まい方について問題を見いだして課題を設定し、様々な解決方法を考え、実践を評価・改善し、考えたことを表現するなどして課題を解決する力を身に付けている。
●主体的に学習に取り組む態度
家族の一員として、生活をよりよくしようと、快適な住まい方について、課題の解決に向けて主体的に取り組んだり、振り返って改善したりして、生活を工夫し、実践しようとしている。
5 指導のアイデア
主体的・対話的で深い学びの実現
〇実感を伴った学習による科学的な理解と、主体的で対話的な学びの促進
本題材では、蒸し暑さの原因や暑さの防ぎ方、蒸し暑くなってしまった室内環境の改善方法について、実感を伴いながら理解できるように実験を取り入れます。
その際「暑い部屋を快適にするための方法は?」という問いに対して「蒸し暑さを感じる要因は何か」「冷房機器に頼る前に、自分たちができることは何か」の2点を課題と据え、実験や実践を行うことにより、課題の解決につながるヒントを得て、見通しをもつことができるようにします。
〇学習したことを基に家庭実践の計画を立てて実践し、改善する学習
学校の教室と家庭のリビングでは、部屋の規模・配置・生活人数などが異なります。このため、学校で試して得られた解決のヒントについて、家庭での効果の程度は様々であることが予想されます。
そこで、どの方法が最も効果的であるか、それぞれの家庭で工夫して試し、家族と相談しながら改善を図る家庭実践を取り入れます。この取組によって、子供たちが我が家の課題を主体的に設定できるようにするとともに、学んだことを日常生活に生かそうとする確かな実践力を育成します。そして、家庭実践後に子供同士で報告し合う場を設け、次の家庭実践に向けて改善を図るようにします。
個に応じた指導
〇1人1台端末による実験・実践の記録と考察
1人1台端末があれば、実験や実践の様子を撮影して繰り返し見直したり、実験経過を数値や文で記録したりすることができます。1人1台端末の活用は、子供たち一人一人が実感したことを科学的な理解へと結び付けるとともに、子供たちが役割意識をもって学習に臨むことにもつながります。指導に要する時間の短縮にもつながります。実験例を紹介します。
【本題材での1人1台端末の活用】
・通風の実験では、教室の複数個所に設置した吹き流しの様子を班で協力して撮影することで、後から全員で確かめる。
・カーテンの有無による室温の違いを調べる実験では、体感した場所に応じて室温と感想を入力・送信させることで、違う部屋の様子を比較・検討する。この際、アンケートフォームのグラフ化機能を活用すれば、数値をより視覚化して表現することもできる。
家庭実践では、自分で計画したことを試す様子や試した内容を動画や写真で記録することで、友達に自分の取組を説明しやすくなる。