「ICTで子供が主体的に学ぶ!」授業のICT活用が自然と進む戸田市の秘訣とは?【PR】

GIGAスクール構想がスタートする4年も前からICT導入に取り組み、ICT教育先進自治体として注目を浴びている、埼玉県戸田市。その成功の裏には、課題を乗り越えるための様々な効果的な施策への取組があります。それらは、今まさに改革まっただ中の多くの学校の参考になりそうです。改革の中心となって環境整備をリードしてきた戸田市教育委員会教育政策室・指導主事の布瀬川裕貴さんのお話からポイントをまとめました。

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用事例集vol.1、vol.2を紹介した記事もぜひお読みください。
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電子黒板+デジタル教材+1人1台端末のトリプル活用で授業の質と効率が驚くほど変わる!
ICTが苦手な先生も、得意な先生も、全教員がしっかり活用! 長野県千曲市のICT活用事例「キラリと光る活用アイデア

「AIには代替できない力を身に付けさせたい」高い目標を掲げて

戸田市教育委員会・布瀬川裕貴氏

ICT教育の改革をする上で「当初から重視していたのは、子供同士が主体的に協働しながら学びを深め合える教室づくりでした」と布瀬川さんは語ります。ICT が当たり前に使える児童生徒を育成し、AIには代替できない力、AIを使いこなす力を身に付けることを目標として目指して改革を推進してきたと言います。

「主体的・協働的な学びをICTで実現するためには、子供たちの考えを瞬時に可視化し、学習への興味関心を高める環境づくりが必須だと考えました。そこで、早期に1人1台端末の整備に合わせてプロジェクター型電子黒板を導入しました。」(布瀬川氏)

ICT環境整備の第1歩として、電子黒板の導入を早くに決定。黒板を広く使っての書き込みがしやすく、双方向性も活用しやすいと評価が高かったエプソンのプロジェクター型電子黒板の導入で、デジタルとアナログの双方のメリットを活かした授業が実現可能になったそうです。

“一部の先生だけがやっている” ICT改革からの脱却

文部科学省の推し進めるGIGAスクール構想と、コロナ禍での前倒し導入という背景で1人1台端末の整備が一気に加速した中で、戸田市同様、プロジェクター型電子黒板を導入した学校も増えました。しかし「ICTをどう活用すればよいのか」「実際の授業をどう改革していったらいいのか?」と、活用しきれていない学校も相変わらず多いようです。戸田市ではそのような混乱はなかったのでしょうか。

「本市も、一朝一夕で今日に至ったのではなく、取組の当初はICT に対するネガティブな意見も多くありました。ICT を使うことで授業準備に負担がかかるという意見や、教師がICT を教えなければいけないというプレッシャー、児童生徒が端末を使うことで授業が中断してしまうといった心配ごとなど、教師たちのICT に対するハードルは、当初は高かったです。」と布瀬川さん。

〜改革は進めたいけれど、全体の足並みが揃わなくてなかなか進まない。一部の教師だけが行っている〜

これは、学校の現場で最もよく聞かれる悩みです。新しい取組には、ネガティブな意見が噴出するのはつきものです。ITが得意な先生もいれば、苦手な先生もいて当然です。戸田市でも、この悩みを乗り越えて改革を推し広げていくまでには、かなりの時間を要したそう。

「最初は、教師も使えない、児童生徒も使えない、ICT を活用できるのは一部の教師だけといった状況で、このときが一番苦しかったように思います。」(布瀬川氏)

「SAMRモデル」を共有することでICT改革のHOWが分かりやすく!

そうした教師間の温度差を乗り越え、学校が一丸となってICT改革を進めるためには、学校全体で「ICTによって何の力を付けることを目指すのか (What)、そのためにどういった段階を経て進めていくべきか (How)」を共有することが大切です。

そこで戸田市教育委員会が打ち出したのが、「SAMRモデル」を活用したICT活用の習熟度診断システムです。

SAMRモデルとは?

SAMR(セイマー)という言葉をご存知ですか? これはICT活用の際に、テクノロジーが授業にどう影響するのかを示す尺度のことです。ICT活用の度合いを4つの段階に分けて捉えることができます。

戸田市では、SAMRモデルの指標を示すことにより、<自分たちが今どの段階にいて、次にどういったステップを踏めばよいのか>を教師間で共有できるようになりました。これにより、それぞれが闇雲に突き進むのではなく、具体的な段階を理解した上で取り組む目標が設定され、学校全体として一体感を持って授業改善を進められるようになりました。また、教師たちの改革への意欲も一気に上がったのです。


戸田市版SAMRの具体的な内容を見てみましょう。

戸田市教育委員会「令和4年度 指導の重点・主な施策~とだっ子 やり抜く力で 未来に夢を~」(P5)より引用
https://www.city.toda.saitama.jp/soshiki/373/kyo-seisaku-r04sidouzyuten.html

GIGAスクール初期における環境は、上図のS段階におおむね当てはまります。

戸田市版SAMR各段階の具体的な中身は、下に列記したようなことができることが該当します。↓

Substitution 代替

アナログでできることをデジタルで代用している最初の環境段階

<教師が>
・デジタル教科書で、本物を提示する。
・ドキュメントに作文を書かせる。
・大型提示装置を板書がわりに使う。
・ビデオカメラの代わりにタブレットで撮影させる。
・ファイルを共同編集させる。

Augmentation 増強

デジタルの特性を活かして、学習効果を増大させている環境段階

<教師が>
・クラス全員の考えを共有して思考させる。
・コメント機能で相互評価させる。
・録画して技能をモニタリングさせる。
・Web上の有用なコンテンツを活用させる。

「クラス全員の意見を瞬時に共有できる」はA段階にあたる。
Modification 変革

授業デザインそのものが変容し、新たな学びの実践ができている段階

<子供が>
・スタディ・ログを積み重ね、レコメンド機能を活用しながら学習調整を行う。
・反復学習をICT で行い、対話や協働作業などの活動を中心に学ぶ。
・校外とオンラインでつながり、共に活動に取り組む。
・Augumentation(増強)段階までの活動を、児童自ら選択して活用する。

Redefinition 再定義

ICTを活用し、実社会の課題解決や新たな価値の創造を行っている環境

<教師が>
・学習効果をSNSやHPを通して社会に発信する。
・ICTによるタスク管理や相互コメントを使い、プロジェクトを進行・完結する。
・最新テクノロジーを利用して、M段階以上の取組をしていく。

(上記は一例であり、前後の段階において重複することもあり、各段階の学びの質には差異があります。)

戸田市では今年度、Substitution(代替)の段階が完了し、ようやくAugmentation(増強)段階へと移行したところだと、布瀬川さんは分析しています。

教師たち全員の心理的ハードルを下げることが先決

改革を進めるコツは、“とりあえず使ってみること”。戸田市でも、SAMRで全体のコンセンサスを深めたあとは、実際に取り組んでみることで、教員のICTに対する意識がポジティブなものへと変わっていったそうです。

実際にスタートさせてみると、教師からの不安な声は減り、「授業の手間が省略された」「児童の発表時間を多く取れるようになった」と前向きな声が自然に増えていったと布瀬川さんは言います。さらに、子供たちも主体的にICTを使う場面が増えていきました。

「教師がうまくICT を使えなくても、児童生徒が使い方を教えてくれるようになり、『自分たち(教師)がICT をすべて教えきる必要はない』との気付きも生まれました。」とのことで、教師が思う以上に、児童のICT活用技術が高いということも改めて感じられたそうです。

このように、ファーストステップでは教師自身の新しい取組への心理的ハードルを下げるための施策をし、その後はとにもかくにも実行あるのみ、慣れることからくる気付きが課題を解決の方向へ向かわせる、ということが戸田市の取組から伝わってきます。

教師たちに必要なマインドセット研修と教師へのサポート制度

How(ICTをどう使うか)ができるようになったら、次はWhat(ICTで何を学ぶか)を深めていく、その考え方を教師間で共有することが重要です。子供の未来に向けて、何をすべきか、何をしたいか。学びの目的、ビジョンに対する考え方というマインドセットの共有こそ、実は大切だからです。教師間の意識を統一して高めるために、現在戸田市では、『ICTがマストになる教科等横断的な視点』をテーマにした研修等に取り組み始めています。

また戸田市では、ICT支援員が小中学校を巡回し教師をサポートする体制を整えたり、教育センターにコールセンターを設置しSEを常駐させたりと、トラブルがあった時にも即座に対応できる手厚いサポート体制が構築されました。

こうした自治体レベルでの教師へのサポートも充実しており、ICTが苦手な教師も安心して積極的に取り組んでいけるよう後押しをしています。教育委員会と学校現場がしっかりと連携した仕組みと体制を整えることで、戸田市のように着実なICT改革が推進できるのです。

児童への導入効果は抜群! 学習への興味関心の高まり

1人1台端末の学習面での効果としては、「教師の板書にかかっていた時間が減って、その分児童同士の話合いや思考の時間が増えた」(布瀬川氏)とのこと。また、現場教師からの声で多いのは「児童がしっかり前を見るようになった」という効果も挙げられています。板書、教科書、大型テレビ等を使う授業では子供一人一人の目線はあちらこちらに向けられますが、それらを1つの電子黒板に集約して投影することで、目線が集まり、集中しやすくなるようです。「特に発達に特性のある子供が理解しやすくなったケースもある」ということも、プロジェクター型電子黒板導入で得られた大きなメリットです。

戸田市立戸田東小学校の授業の様子
主な電子黒板導入効果3つ!

板書する時間が減って、児童たちが話合いや思考する時間が増えた。

前を向く児童が増え、集中力が高まった。

意見のリアルタイム共有により、自分の考えを深めやすくなった。

注目の集まる戸田市教育委員会のICT改革は、今後どのような発展を見せるのか、多くの期待が集まっています。

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教師にも子供にも実りの多いICTを、全教職員・全児童が積極的に活用して授業改革の成果を上げている埼玉県戸田市の事例はいかがでしたか。より詳しい情報を分かりやすくまとめた「電子黒板導入事例 埼玉県戸田市教育委員会編」は、エプソンのウェブサイトでダウンロードできます。

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【参考資料】
戸田市教育委員会「令和4年度 指導の重点・主な施策~とだっ子 やり抜く力で 未来に夢を~」https://www.city.toda.saitama.jp/uploaded/life/110683_222239_misc.pdf
エプソン「電子黒板導入事例 埼玉県戸田市教育委員会編」

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構成・文/田口まさ美

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