小4 国語科「漢字の組み立て」「漢字辞典の使い方」全時間の板書&指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小4国語科「漢字の組み立て」「漢字辞典の使い方」(光村図書)の全時間の板書例、発問例、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小四 国語科 教材名:「漢字の組み立て」「漢字辞典の使い方」(光村図書・国語 四上)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/大妻女子大学家政学部児童学科教授・樺山敏郎
執筆/埼玉県さいたま市立針ヶ谷小学校・樋口 浩

1. 単元で身に付けたい資質・能力

ここでは、漢字が部首とその他の部分で構成されていること、そして、漢字辞典の引き方について理解し、その知識を活用していく力を付けます。
実際の学習では、漢字の学習における必要感を実感できるような課題意識をもてるようにしながら、汎用性のある漢字の学び方を示していくようにします。
その上で、子供たち自らの手を動かして行う思考操作を通して知識を身に付けられるようにするとともに、ここでの学習後においてもその知識を継続的に生かせる漢字の学習習慣、思考習慣の過程を考えていけるようにします。

2. 単元の評価規準

評価規準

3. 言語活動とその特徴

子供たちは高学年になるにつれて、ますます多くの漢字と出会い、習得していきます。
そのような中で、漢字に親しめるようにするためには、漢字とはどのようなものなのか、漢字について分からないことを調べる手立てにはどのようなことがあるかを知ることが必要です。
ここでは、漢字との距離感を詰め、漢字が身近な存在、末永く共にある存在であるという課題意識を高めます。

そのために、情報の収集や言葉の知識を豊かにすることへの必要感を醸成し、漢字を学ぶ意義を自覚できるようにします。
調べた漢字の意味を考えて短文を書いたり、漢字辞典の使い方をまとめたりし、その過程で考えたことを交流することで、今後の漢字に関わる学習生活に生かしていくことを前向きに考えることができるようにします。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 学びの課題を共有認識する導入

導入において、これまでの漢字に関わる学習について、子供たちが想起できるようにします。
その中で、「漢字の形が難しい」「漢字の練習をしても覚えられない」「漢字が分からないときにどうしたらよいか悩んでしまう」など、ポジティブではない思いが挙がってくることもあると思います。「漢字の学習は苦手」「漢字は嫌い」という声まで挙がるかもしれません。
しかし、その課題への抵抗感が強く根深いほど、課題を共有しやくなることでしょう。そしてそれを改善する力を付けたいと願う課題意識はより強力になっていきます。主体的な道筋を付ける絶好の機会となるわけです。

子供たちにとっての漢字の学習は、今後ますます量も質も上がっていきます。
そのような中で、本単元での課題を解決することが、今後の学びにどれだけ有益なことなのか考えるようにしていきましょう。それが子供たちの学びの原動力となり、漢字と向き合って学び続ける意欲となります。

〈対話的な学び〉 観点や役割を明確にした協働

漢字を構成する部首やつくりにしても、漢字辞典に掲載されている漢字にしても、その数は膨大な量となります。

効果的な協働の学びにより、子供たちの学びの量は何倍にも増幅されます。
しかし、自分の学んだ結果をただ伝え合うだけでは対話的にならず学びも広がりません。一人で学ぶ際に、その後の交流につながる観点や役割の分担を事前に示しておく必要があります。

ここで示す観点や役割の例として、以下のようなものが考えられます。

漢字の組み立て
① 部首別に分ける…かんむり係、あし係、にょう係、たれ係、かまえ係、等
② 部首内で分ける…かんむり(くさかんむり係、うかんむり係、たけかんむり係、あめかんむり係、その他の新発見係、等)

漢字辞典の使い方
・音訓さくいん係 ・部首さくいん係 ・総画さくいん係

自分の調べたことや考えたことをもって交流します。
その際、同じ分担同士、異なる分担同士、もしくはその両方など、意図的にグルーピングをします。
また、効果的な交流回数も考え、設定します。子供たちの実態等に応じてコーディネートし、交流していきます。

〈深い学び〉 学習後の学びや生活への活用につなげるまとめと振り返り

言葉の知識を学んだ段階では、まだその言葉について「知った」という状態です。学習後の生活や学習で活用することで「身に付いた」、それを継続し繰り返すことで「深まった」になります。

「漢字の組み立て」「漢字辞典」は、今後の学習はもとより、その後の長きにわたる言語生活において、ずっと携えていく必要不可欠な知識となります。これは紙媒体に書くにせよ、ICT機器で打ち出すにせよ、文字として漢字を使用する限り大切な知識であり、深め続ける必要のある知識です。その知識との付き合いを身近なものとしていくためのまとめ・振り返りとします。

単元内で学んだ部首やつくり、漢字辞典で引いた漢字、これらは当然すべてを網羅したものではありません。今後さらにその知識が増えていくものであり、増やしていきたいと思えるようにまとめることが大切です。学習した考え方が、今後の漢字の学び方となるようにまとめます。漢字の学び方に迷いが生じたときに戻って確認できるようなまとめにします。

振り返りでは、そのまとめの意図を汲んで、課題解決したことを次の目的意識に取り込んでいけることに気が付けるようにすることも大切です。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)言語操作や思考操作ができる部首モデルと活用テンプレートの教材準備

子供たちが漢字を組み立てる要素となる部首とつくりについて、その組み合わせ方を模索する際に端末を活用します。

例えば、うかんむり「宀」や、もんがまえ「門」などの画像(拡大や縮小が可能なもの)を教師が用意し、各端末で自由に使用できるようにしておくと、子供たちは各部首と組み合わせられるものを様々に書き入れて試し、該当する漢字を探していきます。

これまで、ノートに書きためたり、カードを手に取ったりしていたときには難しかった、児童全員の考えを共有することも、端末を活用することで可能となります。
お互いの考えを共有することを通して、みんなで考えたいことを学習課題として設定していくことで、主体的な学びを引き出すようにしていきます。

(2)共有する記録の分類整理した収集と情報の個での活用

個人で調べた漢字や考えた文について、提出する先を分けて保存します。
その際、ファイル名や見出しに、子供の名前だけではなく、学習の観点や役割と対象となる漢字等を記して分類・整理することで、その後の学習活用が取り組みやすくなります。

紙媒体でまとめられた記録を、学級の全員が個々の意向に応じて取り出し、情報を活用することには手間や困難さがありました。端末を使用することで、学級の全員が同時に複数種類の情報を何度でも出し入れすることができるようになり、それに費やす教師の教材準備時間の大幅な縮小にもなります。

端末上の情報は、比較したり、序列化したり、並び替えたり、印やメモを加えたりという操作を画面上において容易に、効果的に実施することができます。

端末を活用することで、学習記録の共有とその活用が豊かになるようにしていきたいです。

6. 単元の展開(4時間扱い)

 単元名: 漢字の組み立て方を知って、漢字辞典を使おう

【主な学習活動】
・第一次(1時
① これまでの漢字の学習について振り返り、みんなで学びたい課題を出し合い、学習課題、学習計画を立てる。
学習課題:漢字の組み立て方を調べて漢字辞典を使い、漢字の学び方をまとめよう

・第二次(2時3時
② 漢字はいくつかの部分から組み立てられていること、漢字を組み立てている部分に名前があること、漢字辞典を使うと、漢字の読み方、成り立ち、意味、その漢字を使った語句などを調べることができること知る。〈 端末活用(1)〉
③「音訓索引」「部首索引」「総画索引」を使った調べ方を知り、漢字辞典を使う練習をする。〈 端末活用(2)〉

・第三次(4時
④ これまでに習った漢字などを友達と出し合い、漢字辞典を使うことに慣れるとともに、漢字の組み立て方や漢字辞典の使い方についてまとめる。

全時間の板書例、発問例・児童の発言例

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

導入では、子供たちがこれから学習する内容に必要感をもつとともに、課題を解決して力を付けたいと思えるようにすることが大切です。

まず、子供たちにこれまでの漢字の学習について、漢字ドリルや練習帳、漢字テストなどの画像を示し想起させます。
次に、漢字の学習に困難さを感じたことがあるかを問い、そこに課題を見いだします。そこから、その課題を解決できた時のよさを共有して希望をもてるようにします。
そして、漢字の学習に希望をもって子供と一緒に学習課題を立て、それを解決していく過程を考え、学習計画を立てていきます。

< 教師の発問、児童の発言例 >
~授業の導入の場面~

これまでに、漢字の学習をしていて困った、難しいと感じたことはありますか。

C:(様々な声が挙がる)

それは、どのようなことですか。

漢字の形が複雑で覚えられないので苦手です。

漢字が分からない時にどうやって調べるのかが分かりません。

もしも、その問題が解決したら、みなさんはどのように考えますか。

漢字ができるようになって国語の成績が上がると嬉しいです。

漢字が得意になって、漢字の勉強が好きになるかもしれません。

では、これからの漢字の学習がうまくいくような、学習課題をみんなで立てましょう。


【2時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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