小1国語「ずうっと、ずっと、大すきだよ」指導アイデア
教材名:「ずうっと、ずっと、大すきだよ」(光村図書 一年下)
指導事項:〔知識及び技能〕(1)オ 〔思考力、判断力、表現力等〕C(1)エ・カ
言語活動:イ
執筆/東京学芸大学附属竹早小学校教諭・曽根朋之
編集委員/文部科学省教科調査官・大塚健太郎、東京学芸大学附属小金井小学校教諭・成家雅史
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
物語を読んで場面の様子に着目し、登場人物の行動を具体的に想像することを指導します。また、同じ場面の様子や登場人物の行動でも、感じ方は異なるため、考えを共有し、他者の考えを理解することのよさもあわせて指導します。
② 言語活動とその特徴
物語を読んで感じたことをクラスで語り合う言語活動を設定します。本教材は、「ぼく」とエルフとの楽しかった思い出だけでなく、エルフの老いや死、後日談までが描かれています。そのため、子供たちが本教材を読むと「温かい気持ち」や「悲しい気持ち」など、様々な感じ方をします。
また、「ぼくは」という一人称で描かれている物語なので、「ぼく」と自分を重ねながら読みやすい作品です。このような教材の特徴から、同じ叙述からでも自分と重ねて読むことで、その子なりの感じ方が分かり、クラスで共有する面白さのある教材と言えます。
この言語活動につなげていくために、単元のはじめには「〇〇な気持ちになるお話」という一言感想を書きます。この一言感想を全体で共有し、「温かい気持ち」などのプラスなイメージと「悲しい気持ち」などのマイナスなイメージなど、様々な感じ方が出てきます。
単元の展開(9時間扱い)
主な学習活動
第一次(1・2時)
①『ずうっと、ずっと、大すきだよ』を読んで、「〇〇な気持ちになるお話」という一言感想を書く。
②一言感想を出し合い、感じ方の違いに気付き、学習課題を立てる。
【学習課題】お話を読んで感じた気持ちを話そう。
第二次(3~6時)
③場面ごとのエルフの変化を読み、話の筋を確認する。
④エルフの紹介、エルフと仲よく過ごす場面を読み、「ぼく」とエルフについて感じたことを共有する。
⑤エルフの老いの場面を読み、エルフの世話をし続ける「ぼく」について感じたことを共有する。
⑥エルフの死以降の場面を読み、「いくらか きもちが らくだった」という「ぼく」について感じたことを共有する。
→アイデア1 対話的な学び
→アイデア2 主体的な学び
第三次(7~9時)
⑦これまでの学習を基に、もう一度「〇〇な気持ちになるお話」という一言感想と、そう感じた理由をまとめた感想を書く。
⑧前時で書いた感想を一人一人端末で共有し、読み合う。
⑨前時で読み合って、話したいことからクラス全体で話す。
→アイデア3 深い学び
アイデア1 根拠となる文や言葉を問い、教材との対話を促す
『ずうっと、ずっと、大すきだよ』のように有名な物語だと、読んだことがある子供も多く、一読して読めたつもりになってしまうことがあります。1年生でも、言葉に立ち止まり、教材との対話ができるよう指導していきます。
二次では、扱う場面の内容を確認したあとに、どのように感じたのかを簡単な言葉で出し合います。感じ方の違いが見えてきたうえで、自分の感じたことを話すために、自分がどこからそう感じたのか根拠となる文章や言葉に着目する必要感をもたせます。
▼板書例 感じ方の違いが分かるように書く
感じ方が違いますね。どこからこのように感じたのでしょう。
エルフのほうがずっと早く大きくなったというのがちょっと悲しいな。
エルフを枕にして寝るのが仲よしだなと思ったよ。
アイデア2 「ぼく」と自分を重ねながら読む
アイデア1で見付けた根拠を具体的に想像するために、「もし自分がぼくだったら……」という学習課題を設定します。「ぼく」と自分を重ねながら読むことで、主体的に根拠を捉え直し、粘り強く考える姿を引き出します。
このときに、文章に書かれている場面の様子や、登場人物の行動に目を向けようとしている子供の姿を価値付けていきます。
もし「ぼく」が自分だったらどうしたかなと考えながら読んでいくと、どう思いますか。
イラスト/横井智美
『教育技術 小一小二』2022年2/3月号より