小3国語「ありの行列」指導アイデア

教材名:「ありの行列」(光村図書三年下)

指導事項:〔知識及び技能〕(1)オ 〔思考力、判断力、表現力等〕C(1)オ・カ
言語活動:ア

執筆/東京都公立小学校主任教諭・平形裕司
編集委員/文部科学省教科調査官・大塚健太郎、東京都公立小学校校長・加賀田真理

単元で付けたい資質・能力

①身に付けたい資質・能力

文章を読んで理解したことに基づいて、感想や考えをもつ力を育成することや文章を読んで感じたことや考えたことを共有し、一人ひとりの感じ方などに違いがあることに気付くことをめざします。

特に、文章を読んで理解したことについて、自分の体験や既習の内容と結び付けて自分の考えを形成したり、一人ひとりの感じ方などに違いがあることに気付いたりするとともに、他者の感じ方などのよさに気付くことを重点的に指導します。

説明的な文章を読むことにおいても、どこに着目するか、どのような思考や感情、経験と結び付けて読むかによって一人ひとりに違いが出てくることを体験的に理解できるようにします。

② 言語活動とその特徴

本単元では、説明的な文章を自分の力で読み進め、文章を読んで理解したことについて感じたことや考えたこと、疑問点、もっと知りたいことなどについて、最も心に残った一文を引用してまとめ、友達と共有する活動を通して、一人ひとりの違いについて体験的に理解するという言語活動を設定します。

今年度最後の説明的な文章の学習であるため、これまで身に付けてきた力を活用することで、力の定着を図ります。「こそあど言葉」「段落のはじめの言葉」「文末表現」などを確認することで、より詳しく読むことにもつなげていきます。

また、読んで理解したことに基づいて、「おすすめの一文」を選ぶことや自分の考えや感じ方をまとめる過程で、この文章の内容に対する疑問や、書かれていないことについての意識を高め、自分の考えを深めます。

「学年最後」「わたしのおすすめ」などのキーワードにより主体的に学習を進める意欲を高めつつ、感想などを共有することで、改めて一人ひとりの感じ方や考え方の違いを受け止め、友達や自分のよさに気付くことをめざします。

単元の展開(7時間扱い)

主な学習活動

第一次(1時)

◎学習の見通しをもち、学習計画を立てる。
・「三年生最後の説明文」であることを確認し、これまで身に付けてきた力を活用して、自力で読み進めようとする意欲を引き出す。
・「わたしのおすすめの一文」を選んで紹介するという終末の活動像を設定し、学習の見通しをもつ。
→アイデア1 主体的な学び

【学習課題】「せつ明文」の楽しさをつたえ合おう~わたしのおすすめの一文~

第二次(2~5時)

◎これまで身に付けてきた力を活用して、「ありの行列」の構造や内容を捉え、「わたしのおすすめの一文」を選んで、紹介カードにまとめる。
・これまで身に付けてきた力をふり返り、活用することで、「はじめ」「中」「終わり」の文の構造を捉える。
・「こそあど言葉」「段落のはじめの言葉」「文末の表現【事実】【考察】」などに着目して、文章全体の構成をより詳しく整理し、内容を把握する。
・教科書一○一ページの「もっと読もう」を参考にして、「ありの行列」の文章について、自分が「ぎもんに思ったこと」や「もっと知りたいこと」について考える。
・「ありの行列」のなかで、自分が最も紹介したい文を「わたしのおすすめの一文」として選び、「選んだ理由」とともに紹介カードにまとめる。
・その際、教科書103ページの感想の例を参考にして「~だそうです【伝聞】」という文末の書き方についての意識を高め、記述のなかで活用する。
→アイデア2 深い学び

第三次(6・7時)

◎「わたしのおすすめの一文」をグループで発表し、違いについての感想を書く。
・紹介カードの発表を聞き合い、選んだ文が違うことや、同じ文を選んでも感じ方や考えたことには違いがあること、また疑問に思ったことなどを互いに確認し、「一人ひとりの違い」について自分が考えたことの感想をまとめる。
・紹介カードを学級で掲示して読み合い、付箋による感想の交流を行うことや、読書活動のなかで、小学生の読書感想文集などに掲載されている「説明的な文章」「科学的な読み物」についての感想文を読むことで、身近な不思議への視野を広げるとともに、より広い範囲から「一人ひとりの違い」についての考察を深める。
→アイデア3 対話的な学び

アイデア1 学習の年間計画の位置付けや、単元の終末の活動像を意識することで主体的な学習への意欲を引き出す

主体的な学び

第三学年最後の説明的な文章の学習であることを伝え、学年の総仕上げという意識を高めることで、これまで身に付けてきた力を活用しようとする意欲を引き出します。

また、単元の終末の活動像として「わたしのおすすめの一文」を伝え合うという活動を設定することにより、主体的に読み進め、教材文のなかから「自分の発見」を行おうとすることについても促していきます。

このことは同時に、友達はどのような文を、どのような理由で選ぶのだろうという関心を引き出すことにもつながります。これまでの説明的な文章の学習で身に付けてきた読むことの力を、最大限に活用しながら学習を進めることで、力の定着を図ります。

また、既習事項を生かした学習活動を行うことで、これまで学習してきた説明的な文章とは違い、実験の事例だけではなく、事例から導かれた考察が加えられており、「中」の部分が二つに分けられるという、「ありの行列」の構成の特徴に気付くことにもつなげていきます。

子供の発見を取り上げることで、発見した子供の自己肯定感を高めつつ、学級全体での発見の共有を通して、自分たちの力で説明的な文章を読み進めることができるという自信や、自ら読み進めていこうとする態度を育んでいきます。

アイデア2 言葉の働きに着目し、「わたしのおすすめの一文」を選ぶ活動を通して考えを深める

深い学び

「ありの行列」の構造や内容の全体像を把握したうえで、特に大切だと思ったり、自分の心に残ったりした文を一つだけ選んで、紹介カードにまとめます。選ぶ文は一つだけですが、その文に関連するほかの文はウェビングマップのようにして、線の太さや矢印などで関係性を示しながら、その文を中心に周囲に配置することで視覚化を図ります。

▼紹介カード例

紹介カード例

そのように自分の選んだ文の関係性を構造化したうえで、その文を選んだ理由や、その文について自分が感じたことや考えたことを記述していきます。また、活動を進めるなかで、改めて「こそあど言葉」「段落のはじめの言葉」「文末の表現」にも着目することにより、文章の構造の理解を深めます。

さらに101ページの補助資料「もっと読もう」の文を取り上げることで、「この文章には書かれていない内容」についての意識を高め、「ぎもんに思ったこと」や「もっと知りたいこと」についても、視野を広げて考えることを促します。

文を選ぶ観点としては、「ありのすごさ」「身近にある不思議」「実験の楽しさ」「ウィルソン(学者)の見付ける目」などが考えられます。子供と一緒に事前に確認し共有する活動が内容理解につながります。

記述の際には103ページの「感想のれい」を参考にすることで、伝聞の文末(「~だそうです」など)について確認することができます。疑問なども含めて紹介カードにまとめると、より個性が際立ち、共有する際に「一人ひとりの違い」を強く感じることができます。

アイデア3 「わたしのおすすめの一文」や感想・疑問点などの共有により、一人ひとりの感じ方の違いに気付く

対話的な学び

アイデア②で作成した「わたしのおすすめの一文」紹介カードを使って、各グループで発表し合います。「わたしのおすすめの一文」に基づき、自分の感じたことや考えたこと、疑問点、もっと知りたいことについて共有します。

選んだ文の違いや、同じ文を選んでも、感じたり考えたりしたことが一人ひとり違うことを確認することで、友達の考えや感じ方のよさへの気付きを促し、感想にまとめます。紹介カードは掲示して互いに読み合い、付箋を使って感想を交流するのにも活用することが可能です。

また、小学生の読書感想文集などに掲載されている「科学的な読み物」や「説明的な文章」の感想文を活用すると、身近な不思議への視野を広げるとともに、より広い範囲から「一人ひとりの感じ方の違い」についての考察を深める活動に取り組むこともできます。

『教育技術 小一小二』2021年12/1月号より

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!

授業改善の記事一覧

雑誌最新号