授業支援のクラウドアプリで協働的な学びをするには 【タブレットで変わる授業デザイン】#5

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タブレットで変わる授業デザイン

1人1台端末で授業支援のクラウドアプリ(ロイロノート、MetaMoji Note、Classroomなど)を活用し、協働的な学びの授業を紹介します。今回は小6学級活動の1年生が喜ぶ交流会の話し合いの授業、小5国語の委員会活動紹介のリーフレットを作る授業です。

執筆/西尾 環(熊本県公立小学校教諭)

01 全員の考えを生かす学級会


6年学級活動  内容(1) 1年生が喜ぶ交流会をしよう


学級や学校の生活を楽しくするための課題に対し、全員の考えを大切にし、それらをもとに課題解決するために話し合い、多様な意見を生かして合意形成を図ることができるようにします。


話合い活動(学級会)の授業中と、事前の活動(計画委員会)の両方で、タブレットを活用します。事前には、議題応募(希望者)や、議題に対する自分の考えの提出(全員)などです。また、計画委員が、全員の意見を分類する場合にも、利用します。学級会本番では、複数から意見を選ぶ場合(多数決)や、賛成・反対を表明するなど、全員の意思を表示する時などに使います。実際にこれを操作する役割は、書記が行います。これらは、ロイロノートを使うと全て可能です。

さらに、司会者には、司会マニュアルを入れておき、話合いが停滞した時の手助けとしてタブレットを持たせておきます。(これは、紙のマニュアルをデータとして入れておくだけでもできます)

学級会を実のあるものにするには、事前の計画や準備が大切です。しかしそこには時間がかかります。最近は、以前のように計画委員会に時間をかけられません。そこでタブレットを使うことで、集約、分類が素早くできて有効です。また、話合い中でも、一斉に全員の立場や主張をお互いが知ることができ、それを踏まえてよりよい解決のために合意形成を図ることができます。


司会者が、議題「1年生が喜ぶ交流会をしよう」の確認をします。

提案者が、提案理由「いつも個人個人では1年生と仲よくしているが、学級全体同士で交流すると1年生はもっと喜ぶし、自分たちも笑顔になるから」と述べ、質問に答えます。

司会が「話合いの柱」について、「話し合ってほしいこと」や「話合いの視点」を述べて説明します。
(柱1)何をするか(4つの分野=ボール系・鬼ごっこ系・ゲーム系・その他、から2つ選ぶ)
(柱2)役割分担(当日うまくいくように一人一役)
その際、書記が、全員の意見の傾向や分類の資料をタブレットから電子黒板に映し出します。

柱に沿って話合いを進めます。それぞれの意見を、書記は黒板に板書します。司会は困った時は、タブレット内にあるマニュアルを見ながら進めます。

司会は、必要に応じて、学級全体に自分はどの立場なのか尋ね、場に応じて全員が意見を提出し、電子黒板に映し出します。

さらに意見を重ね、検討事項を決定します。

振り返りを全員がタブレットで書き、提出します。


学級会にタブレットを使ったことで、時間の短縮や時間の有効活用が図られました。それぞれの自分の意見が大切に扱われていることで、子どもたちは意欲的に参加しました。視覚的に意見がまとめられていることが、とても分かりやすいと好評でした。そして、書記に初めてタブレットでの記録を任せましたが、思った以上に打ち込みは早くできました。しかも、その場で考えて「この意見とこの意見が似ている」と、まとめてくれました。それが、全員の話合いを活発化させ、折り合いをつけていくのに役立ったと言えます。意見が飛び交い、収拾には時間がかかりましたが、最終的に「お化け屋敷をする」「待ち時間の合間に、はないちもんめをする」ということで決着が付きました。

司会者にとっても、マニュアルが手元にあることで、安心して話合いを進められたと言えます。事前に、自分なりに言葉を打ち込むなどの工夫もしました。

ICTに頼りすぎると、本来の話し合う力が十分に養われませんが、適切に活用すると、効果的に話合いが進みます。ただし、話合いの決定の仕方は、なるべく少数意見も大事にしながら、折り合いをつけて決めていくことが大事です。ロイロノートで、全員の考えを一斉に示して傾向を把握することは効果的ですが、安易に多数決の方法として使うことのないようにしましょう。

そして、教師が機を見て介入することも大事です。タブレットを活用していると、その操作に目を奪われがちにもなります。話合いを進めることを重視し、場合によっては教師がタブレットを操作したり、活用場面を変更したりするなど柔軟に対応しましょう。書記のタブレット活用も、意見をまとめるとき、意見が変わって動かしたりするときに、十分役立ちますので慣れてきたらやってみましょう。


学級会で話し合ったことが、実際の活動につながることが大切です。「1年生との交流」の後も、自分たちの活動がどうだったかタブレットを活用して映像やロイロノートで振り返ることが大切です。それが、次の話合い活動への糧となります。

お化け屋敷へ 
はないちもんめ

学級活動の内容(1)は、子どもの手による学級会形式の話合い活動です。学年に応じて、タブレットの使い方を工夫すれば、ICT学級会として、充実した話合いができるでしょう。

予想される議題例(タブレット活用の例)
5年:6年生に感謝の気持ちを表そう
(計画委員とクラス全員が活用、全員が意見をその場で提出)
4年:学級で取り組むボランティア活動を計画しよう
(計画委員と教師が活用、全員の考えを示し、分類する)
3年:学級の歌や旗を作ろう
(教師と計画委員が活用、全員のアイデアを分類して示す)
2年:クラスのもくひょうをきめよう
(教師が活用、グループでまとめたアイデアを示す)
1年:クラスのきらきらしゅうかいをけいかくしよう
(教師が活用、一人一人の意見を示す)

02 協働的な学びで、リーフレット作成

  
5年国語 委員会活動紹介のリーフレットを作ろう


相手に伝えるため、友達と協力して必要な情報を整理し、グループで構成を考えて分担し、印刷物(新聞、リーフレットやポスターなど)を作成します。そして、読み手にとって魅力的で分かりやすくなるよう助言し合って、よりよいものにブラッシュアップします。それらの活動を通して、事実と感想、意見の違いを区別して書く力、写真や資料も活用しながら目的や意図に応じて詳しく書く力を養います。


リーフレットをデジタルで作成します。クラス内の同じ委員会の者同士が集まって(2~4人)グループを作り、一人一人がタブレットの授業支援アプリ(MetaMoji Note、ClassRoom)を使って、共同作業で作成します。これは、委員会の内容を、次年度に委員会に入る4年生に見せて伝えるためのものです。

このアプリは、グループ学習ページを使えば、子どもには自分のグループの学習レイヤーしか見えません。他のグループからは書き込めないので、安心してグループで作成することができます。また相談しながら、レイアウトも自由に変えられます。そして、絵文字やスタンプがあることで、子どもにとっては、文章を飾る楽しいアイテム付きのアプリとして人気です。


委員会活動の内容を分かりやすく4年生に伝えるという、学習課題を確かめます。

何を中心にどのようなことを書くのか、どんな資料が必要かを考え、同じ委員会メンバーで話し合います。

タブレットを使って、書くための取材や情報集めをします。

仲間とレイアウトを考え、分担してタブレットでデジタルリーフレットを作ります。

他の委員会の同級生と友達とリーフレットを読み合い、感想を伝え合います。

4年生にデジタルリーフレットを簡単に紹介し、後でじっくり読んでもらうよう伝えます。


デジタルのリーフレットだったので、文章を容易に修正できました。写真や資料を伝えたいことに合わせて撮影したり選択したりすることもできました。また、互いに読み合って文章を評価し合い、推敲したので質も高まりました。4年生から、「とても分かりやすかった。〇〇委員会に入りたくなった」と嬉しい言葉が届きました。

国語の学習なので、文章力を付けることを常に念頭に置いておくべきです。しかし、目的や相手によって、どのような資料や写真が効果的かを考え、文章に対応させることができることも重要な学力です。

また、授業支援アプリを初めて共同で使う場合は、子どもたちも、レイヤーの仕組みや考え方を理解して、アプリの使い方に慣れておく必要があります。そして各グループで作成中、教師はモニターで常にそれぞれの進捗状況を把握しておきましょう。


印刷物を作成する協働的な国語の学習は、他学年でもできます。
●4年生国語 「仲間新聞を作ろう」
●6年生国語 「コロナ感染防止ポスターを作ろう」
授業支援アプリを使って学習するのに適しています。テーマを変えて作ることも大切でしょう。


西尾 環(にしお・たまき)●熊本県公立小学校教諭。小学校教諭として学校現場一筋。体育主任、研究主任、教務主任などを歴任。熊本大学教育学部情報教育研究会、熊本県市図画工作・美術教育研究会、学級づくり研究会、D-project(デジタル表現研究会)、ArtMile共同壁画プロジェクトなどで長年活動する。ADE2011、ロイロノート認定ティーチャー、シンキングツールアドバイザーなどの資格を持つ。
過去に、「日本子どもの版画指導者賞」「ちゅうでん教育大賞優秀賞」「D-pro booksアワード賞」など受賞。著書に「ゼロから学べる図画工作授業づくり」(明治図書出版)、分担執筆に「楽しい!学級づくり5・6年」(小学館)など多数。


タブレットで変わる授業デザイン カバー

<教育技術MOOK>
タブレットで変わる授業デザイン

GIGAスクール構想で、学校現場も本格的なタブレット活用の時代です。ICTの先進的な熊本市のベテラン教師が執筆。小学1年生から6年生までの、タブレットを活用した様々な授業実践を紹介しています。タブレット1人1台の時代に、すぐに役立つ授業デザインが満載です。

著/西尾 環 
発行/小学館
B5判/80頁
ISBN:9784091126047


構成/浅原孝子 イラスト/藤崎知子

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